ツンデレヒロインの逆襲

朽木昴

文字の大きさ
上 下
79 / 83
最終話 フラれた恨みはどこへいく

フラれた恨みはどこへいく 7ページ目

しおりを挟む
「それより、早紀副会長。私が早紀副会長に言ったのは『舞星さんのスマホにある証拠を見せてもらう』だったと思うんですけどー?」

「はにゃ? そういえば、そうだったのだー」

「そ、そうよね、それくらい常識だもんねっ。べ、別に知らなかったわけじゃ、ないのよ。ただ、みんなを試しただけ、なんだから」

「ツンデレで誤魔化してもダメですよー、朱音先輩っ」

「うぅ、奈乃ちゃんのいじわるぅぅぅぅぅぅ」

「なんでわたくしは、こんな人に投票してしまったのかしら。まぁいいわ、拓馬さんとのイチャラブを探せばいいんですね」

「数日以内のイチャラブでお願いしますねー」

 イチャラブってどんな内容なんだろう。

 そもそも、私と拓馬はそんなやり取りしてましたっけ?

 うん、ラインは私の一方通行だったよね。

 電話は全部私からかけてたし、唯一拓馬から電話がきたのはフラれた日の朝だけ。

 これってもしかして……本当に付き合ってたのかな。

 でも、学校が終われば途中まで一緒に帰ってたし、デートだって二回もしてるんだから。

 ファミレスでご飯だけ食べるだけで──って、今考えると、それはデートとは言わないじゃないよね。

 しかも、私がお金を出した記憶しかないよっ。
 これってつまり──ただご飯奢っただけじゃない!

 こんなんで満足してた当時の私っていったい……。あぅ、自己嫌悪で心が闇堕ちしちゃいそうだよ。

「ところで舞星さん、拓馬とのイチャラブは見つかりましたか? ぜひ内容を見てみたいんですけどっ」

「このラインとかどうでしょう?」


『おはよう、マイハニー(ハートマーク)。きららの胸は俺だけのモノだから、誰にも渡すんじゃないぜ? それと、貰ったプレゼントだけど、カノジョたちの中で二番目に高価なモノだったな』


 色々とツッコミどころ満載のラインですね。朝から胸の話題とか、私に対する当てつけなのねっ。それに、まるで胸にしか興味がない感じとか最低よ。最初は貧乳ツンデレが好きとか言ってたクセにね。

 だいたい、プレゼントの価値とかわざわざ言う必要ないでしょ。気持ちが大切じゃないの気持ちが! ま、まぁ、いくら気持ちがこもってても、愛の歌(自作)とかはさすがに引きますけど。

「この人、自意識過剰だね。胸は大きければいいというわけじゃないよ。だって、ボ、ク、の、会長は胸がなくても十分魅力的なんだから」

「あ、あの、葵ちゃん? 私は胸がないわけじゃないからね? 誰がなんて言おうと、世間一般的なレベルのサイズだよ? だから──そんな目で見ないでよぉぉぉぉぉぉ」

「ボクはそんな会長をすべて受け入れるよ。だから、安心してこの胸に飛び込んでよ。そして、ボクと会長の新婚生活を始めようか」

「絶対に始めないからぁぁぁぁぁぁ」

 落として上げるなんて高度なテクニックを使うとは、葵ちゃん、学習したのね。

「他のやり取りとかはないのー? サキも騙されないようにするため、ゲス男のやり方を色々と知りたいのだー」

「あっ、それなら、このやり取りとかいいかと思いますわ」


『今日さ、すっげー美人見かけたんだよね。マジやばいってぐらいさ。べ、別に告白とかするつもりないんだけど、とりあえずキープしようと思ったんだ。だから、とりあえずラインゲットしたぜ。あっ、こんなこと言えるのは、お前だけだからな?』


 ツンデレになりきれてないからぁぁぁぁぁぁ。

 というよりも、堂々と浮気宣言してますし。

 あっ、拓馬はそういう人でしたね。

 ツンデレっぽく言えば、なんでも許されるとかありえないです。これは立派なツンハラですねっ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

Color4

dupi94
青春
高校一年生の岡本行雄は、自分のすべてから目を背けるほどの事故から始まった悲惨な中学時代を経て、新たなスタートを心待ちにしていた。すべてが順調に始まったと思ったそのとき、彼は教室に懐かしい顔ぶれを見つけました。全員が異なる挨拶をしており、何が起こったのかについての記憶がまだ残っています。ユキオは、前に進みたいなら、まず自分の過去と向き合わなければならないことを知っていました。新しい友達の助けを借りて、彼は幼なじみとの間の壊れた絆を修復するプロセスを開始しました。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

家路

tsu
青春
主人公が青春時代に偶然出会った三人の女の子との思い出話。

僕とやっちゃん

山中聡士
青春
高校2年生の浅野タケシは、クラスで浮いた存在。彼がひそかに思いを寄せるのは、クラスの誰もが憧れるキョウちゃんこと、坂本京香だ。 ある日、タケシは同じくクラスで浮いた存在の内田靖子、通称やっちゃんに「キョウちゃんのこと、好きなんでしょ?」と声をかけられる。 読書好きのタケシとやっちゃんは、たちまち意気投合。 やっちゃんとの出会いをきっかけに、タケシの日常は変わり始める。 これは、ちょっと変わった高校生たちの、ちょっと変わった青春物語。

将棋部の眼鏡美少女を抱いた

junk
青春
将棋部の青春恋愛ストーリーです

三姉妹の姉達は、弟の俺に甘すぎる!

佐々木雄太
青春
四月—— 新たに高校生になった有村敦也。 二つ隣町の高校に通う事になったのだが、 そこでは、予想外の出来事が起こった。 本来、いるはずのない同じ歳の三人の姉が、同じ教室にいた。 長女・唯【ゆい】 次女・里菜【りな】 三女・咲弥【さや】 この三人の姉に甘やかされる敦也にとって、 高校デビューするはずだった、初日。 敦也の高校三年間は、地獄の運命へと導かれるのであった。 カクヨム・小説家になろうでも好評連載中!

坊主の誓い

S.H.L
青春
新任教師・高橋真由子は、生徒たちと共に挑む野球部設立の道で、かけがえのない絆と覚悟を手に入れていく。試合に勝てば坊主になるという約束を交わした真由子は、生徒たちの成長を見守りながら、自らも変わり始める。試合で勝利を掴んだその先に待つのは、髪を失うことで得る新たな自分。坊主という覚悟が、教師と生徒の絆をさらに深め、彼らの未来への新たな一歩を導く。青春の汗と涙、そして覚悟を描く感動の物語。

ヤマネ姫の幸福論

ふくろう
青春
秋の長野行き中央本線、特急あずさの座席に座る一組の男女。 一見、恋人同士に見えるが、これが最初で最後の二人の旅行になるかもしれない。 彼らは霧ヶ峰高原に、「森の妖精」と呼ばれる小動物の棲み家を訪ね、夢のように楽しい二日間を過ごす。 しかし、運命の時は、刻一刻と迫っていた。 主人公達の恋の行方、霧ヶ峰の生き物のお話に添えて、世界中で愛されてきた好編「幸福論」を交え、お読みいただける方に、少しでも清々しく、優しい気持ちになっていただけますよう、精一杯、書いてます! どうぞ、よろしくお願いいたします!

処理中です...