ツンデレヒロインの逆襲

朽木昴

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最終話 フラれた恨みはどこへいく

フラれた恨みはどこへいく 2ページ目

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「何をひとり芝居してるんですかー? いきなりいなくなるから、みんな心配してますよー?」

「な、奈乃ちゃん、いつからそこに……」

「安心して、私が来たのはついさっきだよー。ちょうど頭を抱えながら、何かを叫びそうな瞬間しか見てないからー」

「はうっ、そ、それは忘れて欲しいんだけどっ」

「わかりましたー。では、記録にだけ残して、記憶からは消しておきますねー」

「出来れば両方から消して欲しいんですけどぉぉぉぉぉぉぉ」

 ちゃんと消してくれるよねっ、私信じてるからねっ。

「冗談ですよ、冗談。それより、どうして急に部屋から飛び出したりしたんですかー?」

「そ、それは……」

 そんなこと言われたって、私にもわからないもん。

 こっちが逆に教えてもらいたいぐらいだよ。

 だって、管君が私にウソついたのが悔しくて、気がついたら──えっ、ウソ……そんなこと私は認めない。絶対に認めないんだから。

 だって私が……管君のことを好き、だなんて。

 ありえない、そんなこと、絶対にありえないよ。好きになる理由がないじゃない。

 だいたい、私の好きなタイプって──ごめん、イケメンだったよね。

 あははは……。

 で、でも、仮にそうだとしてもだよ? 私には成すべきことがあるんだし、それに、校内恋愛は校則で禁止しちゃたわけで。このまま、自分の気持ちを打ち明けでもしたら、特大ブーメランで私がボランティア地獄に落ちゃうよ。

 それとも復讐を諦めて、素直な気持ちを管君に伝えた方が幸せなのかな。

 うぅ、私はいったいどうすればいいのよっ。

 ……いいえ、私が迷う必要なんてないのよ。

 だって私は──クイーン・オブ・ツンデレじゃない。それならやることは決まってるでしょ。

「べ、別になんでもないよっ。ちょっと、気分転換で外の空気を吸いたかっただけ、なんだからねっ。だいたい、私がリアコン王子のことなんて、気にするはずかないもの。さっ、気分転換もしたことだし、奈乃ちゃん、リベンジャーズルームに戻ろっか」

「朱音先輩がいいなら、それでいいですけどねー」

「うん、いいの、今はこれでいいんだから。だって、私は復讐しないといけない相手がいるんだもん」

 そうよ、優先すべきは拓馬への復讐なのよ。
 だからこの気持ちは──パンドラの箱へゴーなんだからねっ。


 管君への気持ちを心の奥に押し殺して、私は奈乃ちゃんと一緒にリベンジャーズルームへと戻り始める。その帰り道では、奈乃ちゃんが空気を読んだみたいで、深く追求されることはなかったの。

 もしツッコまれでもしたら、うっかり本音を話しちゃったかもしれないかな。
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