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第6話 復讐は密のように甘かった
復讐は蜂蜜のように甘かった 6ページ目
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このメンバーと一緒だから笑顔でいられる。
このメンバーと出会えたことが私の宝物なの。
ただひとつ心残りなのは──。
ここに管君がいてくれたら、嬉しかったな。
はっ、なんでそう思っちゃうのよ。あんな人、私の好きなタイプじゃないし、綾崎さんにデレデレしてもんね。それに、校則で校内恋愛を決めたじゃないの。だから、こんなこと考えるのは、今日でおしまいよ……。
結局、私たちが帰る時間になっても、管君はリベンジャーズルームには戻らなかった。心に何かが引っかかる感じがしたけど、気のせいだと言い聞かせ、私は静かに家路へついた。
「なんだか緊張するよ。うまく喋れるかなぁ」
昨日の打ち合わせ通り、私は今放送室にいる。
目の前には、奈乃ちゃんが用意してくれた原稿があり、何度も黙読し内容を頭の中へと叩き込む。原稿を持つ小さな手が小刻みに震え、心音は周囲に聞こえそうなくらい大きな音を奏でる。
そのふたつが私から冷静さを奪おうとすると──。
「落ち着いてね、会長。ちゃんと、そばにはボクがいるから」
「葵ちゃん……。うん、そうだよね、私はひとりじゃないもんねっ」
そうだよ、今ここにいるのは私だけじゃない。
奈乃ちゃんや葵ちゃんと一緒なのよ。
それに、ここにはいない早紀先輩だって、心では繋がってるんだからっ。何も恐れることなんて、まっくないんだからねっ。
「みなさん、こんにちは、生徒会長の西園寺朱音です。本日はお昼休みの時間を借り、大切なお知らせをお伝えいたします。その内容は──」
心臓が飛び出しそうになるくらい、心拍数が跳ね上がる。
頭が真っ白になり、原稿の文字が霞んでしまった。
私の口から言葉が失われ始めると、両肩に確かな温もりを感じたの。その正体は振り返らなくてもわかるよ。だって、奈乃ちゃんと葵ちゃんが、私に勇気を与えてくれたのだから。
二人から渡された勇気が私を奮い立たせる。
何度も言い聞かせるのは、『私はひとりじゃない』という言葉。
完全に立ち直った私は、深呼吸を一回だけして、再び原稿を読み始めた。
「当学園の理事長、並びに加地先生に対して、不適切な学園関係者の可能性がある、と申し出がありました。よって、両名に対する不信任投票を開催いたします。投票日は三日後、詳しい内容については、当学園のHPをご覧ください。この学園が明るくなると、リベンジャーズ一同は願っております。以上」
ふぅー、無事に原稿を読み終えたよ。
マイクのスイッチもオフにしたからね。
それにしても、試験が終わった直後みたいで、全身から力が抜けちゃったよ。
このまま、ずっとぐったりしていたいよぉぉぉぉぉぉ。
「朱音先輩、お疲れ様ですー」
「会長、お疲れ様だよ。ご褒美でボクから熱いハグをプレゼントするよ」
「二人ともありがと。でも、熱いハグは葵ちゃんへのご褒美だと思うよっ」
「それは気のせいだよ。一度試せばそうじゃないって、わかるはずだよ」
「そうね、何事も試す必要があるかも──って、そんなことないからぁぁぁぁぁぁ」
宣戦布告した以上、もうあとには引けない。けど、頼れる仲間たちがいるから、私は笑顔を絶やさないでいられるのよ。
いつまでも、幸せな時間がずっと続けば──。
それを実現するには、あの三人への復讐が必要不可欠。
だから私は──前に歩き続けるしかないのよ。
このメンバーと出会えたことが私の宝物なの。
ただひとつ心残りなのは──。
ここに管君がいてくれたら、嬉しかったな。
はっ、なんでそう思っちゃうのよ。あんな人、私の好きなタイプじゃないし、綾崎さんにデレデレしてもんね。それに、校則で校内恋愛を決めたじゃないの。だから、こんなこと考えるのは、今日でおしまいよ……。
結局、私たちが帰る時間になっても、管君はリベンジャーズルームには戻らなかった。心に何かが引っかかる感じがしたけど、気のせいだと言い聞かせ、私は静かに家路へついた。
「なんだか緊張するよ。うまく喋れるかなぁ」
昨日の打ち合わせ通り、私は今放送室にいる。
目の前には、奈乃ちゃんが用意してくれた原稿があり、何度も黙読し内容を頭の中へと叩き込む。原稿を持つ小さな手が小刻みに震え、心音は周囲に聞こえそうなくらい大きな音を奏でる。
そのふたつが私から冷静さを奪おうとすると──。
「落ち着いてね、会長。ちゃんと、そばにはボクがいるから」
「葵ちゃん……。うん、そうだよね、私はひとりじゃないもんねっ」
そうだよ、今ここにいるのは私だけじゃない。
奈乃ちゃんや葵ちゃんと一緒なのよ。
それに、ここにはいない早紀先輩だって、心では繋がってるんだからっ。何も恐れることなんて、まっくないんだからねっ。
「みなさん、こんにちは、生徒会長の西園寺朱音です。本日はお昼休みの時間を借り、大切なお知らせをお伝えいたします。その内容は──」
心臓が飛び出しそうになるくらい、心拍数が跳ね上がる。
頭が真っ白になり、原稿の文字が霞んでしまった。
私の口から言葉が失われ始めると、両肩に確かな温もりを感じたの。その正体は振り返らなくてもわかるよ。だって、奈乃ちゃんと葵ちゃんが、私に勇気を与えてくれたのだから。
二人から渡された勇気が私を奮い立たせる。
何度も言い聞かせるのは、『私はひとりじゃない』という言葉。
完全に立ち直った私は、深呼吸を一回だけして、再び原稿を読み始めた。
「当学園の理事長、並びに加地先生に対して、不適切な学園関係者の可能性がある、と申し出がありました。よって、両名に対する不信任投票を開催いたします。投票日は三日後、詳しい内容については、当学園のHPをご覧ください。この学園が明るくなると、リベンジャーズ一同は願っております。以上」
ふぅー、無事に原稿を読み終えたよ。
マイクのスイッチもオフにしたからね。
それにしても、試験が終わった直後みたいで、全身から力が抜けちゃったよ。
このまま、ずっとぐったりしていたいよぉぉぉぉぉぉ。
「朱音先輩、お疲れ様ですー」
「会長、お疲れ様だよ。ご褒美でボクから熱いハグをプレゼントするよ」
「二人ともありがと。でも、熱いハグは葵ちゃんへのご褒美だと思うよっ」
「それは気のせいだよ。一度試せばそうじゃないって、わかるはずだよ」
「そうね、何事も試す必要があるかも──って、そんなことないからぁぁぁぁぁぁ」
宣戦布告した以上、もうあとには引けない。けど、頼れる仲間たちがいるから、私は笑顔を絶やさないでいられるのよ。
いつまでも、幸せな時間がずっと続けば──。
それを実現するには、あの三人への復讐が必要不可欠。
だから私は──前に歩き続けるしかないのよ。
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