ツンデレヒロインの逆襲

朽木昴

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第6話 復讐は密のように甘かった

復讐は蜂蜜のように甘かった 3ページ目

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「リアコン王子だけずるいよ。会長、ボクにもそれをやって欲しいかな。できれば口移しで」

「そ、そんなこと、できるわけ──」

「でも朱音先輩、リアコン王子にはやりましたよねー? 口移しじゃないけどー」

「うっ、そ、それは……」

「さすが奈乃さんだよ。ボクの味方になってくれるなんて」

「ま、待って、そ、そうだ、それは校内恋愛に含ま──」

「それを言ったらリアコン王子との時点で……」

 くっ、完全に逃げ場がなくなったよ。

 だいたい、口移しだなんて、たとえ同性でも恥ずかしすぎますっ。

 もうー、なんで私だけこんな目にあうのよー。

 ポジティブに考えればツンデレ効果なんだけど、なんか納得いかないよぉぉぉぉぉぉ。

「わかったよ、葵ちゃんとやるよ。で、でも、口移しじゃなくて、ポッキーを咥えるから、反対側からかじってねっ。お、折れたらそこでお終いなんだからっ」

「今日はなんて素晴らしい日なんだ。この記念日をぜひとも写真に収めたいよ」

「し、写真は絶対にダメだからぁぁぁぁぁぁ」

 こうなったら覚悟を決めるしかありません。まずはポッキーを咥えてっと……。こ、これはかなりの恥ずかしさだよ。うぅ、目なんて開けてられないから、閉じて静かに終わるのを待ってようかな。

 聞こえてくるのはポッキーをかじる音。

 緊張から胸が高鳴っていく。

 今にも飛び出しそうな心臓が心地良さを与えてくれる。

 それに、肌を掠める葵ちゃんの吐息がくすぐったい。って、まさか──。

「──!? んーーーーーーっ」

「あっ、折れちゃった。もう少しで会長の可憐な唇を奪えたのに、残念」

「こ、こ、これで終わりだからねっ。追加オーダーなんてダメだからねっ」

 顔が熱い、熱すぎるよ。

 きっと、ううん、絶対に真っ赤に染まってるし。

 教師追放という新たな歴史を刻む前に、私の黒歴史が刻まれるとは思わなかったよ。

「朱音会長、なんだか楽しそー。サキもやってみたいー」

「早紀先輩はダメですっ。そ、それよりも、新しい校則をポスターにして早めに掲示しないと、みんなが困るよね」

「それならご心配なくー、パソコン部の方々がすでに作ってますのでー。出来上がったら掲示までしてくれるので、私たちは何もしなくて大丈夫ですよー。ついでに言うと、新聞部も校内新聞に書くみたいですよー」

 奈乃ちゃんは相変わらず頼りになるよね。

 本当に心から感謝してるんだから。

 あの腹黒さえなければ好感度マックスなんだけどなぁ。

 でも、奈乃ちゃんから腹黒さを取ったら──何も残らなくなるね。

 新聞部は……うん、どうでもいいよ。あんなエセお嬢様が部長だなんて、いつか潰してやるんだからねっ。
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