ツンデレヒロインの逆襲

朽木昴

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第5話 真剣な話には笑いがつきもの

真剣な話には笑いがつきもの 4ページ目

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「来栖先輩、僕が何か悪いことしたんですかっ」

「うん、万死に値することをしたんだよ。だって──」

 えっ、管君が葵ちゃんに何かしたってことなの。
 いくらリアコン王子とはいえ、怒らせるようなことをするとは──。

「リアコン王子は、ボクの会長を敵視してるから。毎回、ボクの会長と反対意見を言って困らせてるし。ひょっとして、わざと敵に回ることで、ボクから会長を奪う作戦かな」

 あははは、そんなことだろうと思ったけどね。管君が誰かを傷つけるなんて、私には想像できないもん。どんなにイジっても、管君が女子に怒鳴ることは絶対にないし。

 って、こ、これは、別に心配してるわけじゃないのよ。私の居場所で空気悪くなるのがイヤなだけ、なんだから。そうよ、ただそれだけなのよ。

「違いますからぁぁぁぁぁぁ」

「ねー、リアコン王子なんてどうでといいからー、早くなのちゃんのスマホを見ようよー。サキはそっちにしか興味がないのだー」

「私も興味があるかなー。記者魂が疼くというか、禁断のメモリーに何が残ってるのか楽しみだよー」

「きっと何気ない写真とかに決まってるんだからっ。みんな期待しすぎると、後悔するだけだよっ。奈乃ちゃん、パスコードとかって──」

「外してあるから安心してねー」

 はっ、ツンデレの直感が言ってる。これは狡猾な罠よ。その証拠に奈乃ちゃんが天使の笑顔を浮かべてるもの。

 くっ、今ならまだ間に合う、大人しくスマホを奈乃ちゃんに返して──って、それはできないじゃない。

 だって、早紀先輩が光り輝く瞳で見てるんだもん。あの顔を見せられたら、期待に応えるしかないよ。

 こうなったら腹を括るしかないようね。奈乃ちゃんが何も仕掛けてない可能性もあるし。

 宝くじで一等が当たるような確率だけど……。

「う、うん。それじゃ、スマホの中身を──って、これは……!?」

「会長の巫女装束姿は即死級だよ。メイド服も可愛すぎて、ボクはこのまま冥土に旅立ってしまいそう」

「わぁー、可愛いなー。サキも着てみたいよー、朱音会長、これはどこで撮ったのー?」

「これはスクープですね。タイトルはツンデレ会長の隠された趣味。きっとツンデレを地獄に落とせるほど、悪名が広がるに違いないよ」

 予想通りの結果で涙がでちゃうよ。

 そうよね、奈乃ちゃんは腹黒系悪女でしたもんね。

 微かな希望を抱くこと自体間違いだったもんね。

 でも、これはさすがに恥ずかしすぎだよ。おかげで、顔が熱くなってきちゃったじゃない。いやいやいや、それどころじゃないよ、新聞にでも書かれたりしたら……お先真っ暗な高校生活が待ってるだけになるじゃないのっ!

 そうよ、私は陰キャは卒業してツンデレとなったんだから、あの頃に戻るなんてクイーン・オブ・ツンデレの名折れだよ。
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