ツンデレヒロインの逆襲

朽木昴

文字の大きさ
上 下
54 / 83
第5話 真剣な話には笑いがつきもの

真剣な話には笑いがつきもの 4ページ目

しおりを挟む
「来栖先輩、僕が何か悪いことしたんですかっ」

「うん、万死に値することをしたんだよ。だって──」

 えっ、管君が葵ちゃんに何かしたってことなの。
 いくらリアコン王子とはいえ、怒らせるようなことをするとは──。

「リアコン王子は、ボクの会長を敵視してるから。毎回、ボクの会長と反対意見を言って困らせてるし。ひょっとして、わざと敵に回ることで、ボクから会長を奪う作戦かな」

 あははは、そんなことだろうと思ったけどね。管君が誰かを傷つけるなんて、私には想像できないもん。どんなにイジっても、管君が女子に怒鳴ることは絶対にないし。

 って、こ、これは、別に心配してるわけじゃないのよ。私の居場所で空気悪くなるのがイヤなだけ、なんだから。そうよ、ただそれだけなのよ。

「違いますからぁぁぁぁぁぁ」

「ねー、リアコン王子なんてどうでといいからー、早くなのちゃんのスマホを見ようよー。サキはそっちにしか興味がないのだー」

「私も興味があるかなー。記者魂が疼くというか、禁断のメモリーに何が残ってるのか楽しみだよー」

「きっと何気ない写真とかに決まってるんだからっ。みんな期待しすぎると、後悔するだけだよっ。奈乃ちゃん、パスコードとかって──」

「外してあるから安心してねー」

 はっ、ツンデレの直感が言ってる。これは狡猾な罠よ。その証拠に奈乃ちゃんが天使の笑顔を浮かべてるもの。

 くっ、今ならまだ間に合う、大人しくスマホを奈乃ちゃんに返して──って、それはできないじゃない。

 だって、早紀先輩が光り輝く瞳で見てるんだもん。あの顔を見せられたら、期待に応えるしかないよ。

 こうなったら腹を括るしかないようね。奈乃ちゃんが何も仕掛けてない可能性もあるし。

 宝くじで一等が当たるような確率だけど……。

「う、うん。それじゃ、スマホの中身を──って、これは……!?」

「会長の巫女装束姿は即死級だよ。メイド服も可愛すぎて、ボクはこのまま冥土に旅立ってしまいそう」

「わぁー、可愛いなー。サキも着てみたいよー、朱音会長、これはどこで撮ったのー?」

「これはスクープですね。タイトルはツンデレ会長の隠された趣味。きっとツンデレを地獄に落とせるほど、悪名が広がるに違いないよ」

 予想通りの結果で涙がでちゃうよ。

 そうよね、奈乃ちゃんは腹黒系悪女でしたもんね。

 微かな希望を抱くこと自体間違いだったもんね。

 でも、これはさすがに恥ずかしすぎだよ。おかげで、顔が熱くなってきちゃったじゃない。いやいやいや、それどころじゃないよ、新聞にでも書かれたりしたら……お先真っ暗な高校生活が待ってるだけになるじゃないのっ!

 そうよ、私は陰キャは卒業してツンデレとなったんだから、あの頃に戻るなんてクイーン・オブ・ツンデレの名折れだよ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ひょっとしてHEAVEN !?

シェリンカ
青春
【第13回ドリーム小説大賞奨励賞受賞】 三年つきあった彼氏に、ある日突然ふられた おかげで唯一の取り柄(?)だった成績がガタ落ち…… たいして面白味もない中途半端なこの進学校で、私の居場所っていったいどこだろう 手をさし伸べてくれたのは――学園一のイケメン王子だった! 「今すぐ俺と一緒に来て」って……どういうこと!? 恋と友情と青春の学園生徒会物語――開幕!

何故か超絶美少女に嫌われる日常

やまたけ
青春
K市内一と言われる超絶美少女の高校三年生柊美久。そして同じ高校三年生の武智悠斗は、何故か彼女に絡まれ疎まれる。何をしたのか覚えがないが、とにかく何かと文句を言われる毎日。だが、それでも彼女に歯向かえない事情があるようで……。疋田美里という、主人公がバイト先で知り合った可愛い女子高生。彼女の存在がより一層、この物語を複雑化させていくようで。 しょっぱなヒロインから嫌われるという、ちょっとひねくれた恋愛小説。

善意一〇〇%の金髪ギャル~彼女を交通事故から救ったら感謝とか同情とか罪悪感を抱えられ俺にかまってくるようになりました~

みずがめ
青春
高校入学前、俺は車に撥ねられそうになっている女性を助けた。そこまではよかったけど、代わりに俺が交通事故に遭ってしまい入院するはめになった。 入学式当日。未だに入院中の俺は高校生活のスタートダッシュに失敗したと落ち込む。 そこへ現れたのは縁もゆかりもないと思っていた金髪ギャルであった。しかし彼女こそ俺が事故から助けた少女だったのだ。 「助けてくれた、お礼……したいし」 苦手な金髪ギャルだろうが、恥じらう乙女の前に健全な男子が逆らえるわけがなかった。 こうして始まった俺と金髪ギャルの関係は、なんやかんやあって(本編にて)ハッピーエンドへと向かっていくのであった。 表紙絵は、あっきコタロウさんのフリーイラストです。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

セーラー服美人女子高生 ライバル同士の一騎討ち

ヒロワークス
ライト文芸
女子高の2年生まで校内一の美女でスポーツも万能だった立花美帆。しかし、3年生になってすぐ、同じ学年に、美帆と並ぶほどの美女でスポーツも万能な逢沢真凛が転校してきた。 クラスは、隣りだったが、春のスポーツ大会と夏の水泳大会でライバル関係が芽生える。 それに加えて、美帆と真凛は、隣りの男子校の俊介に恋をし、どちらが俊介と付き合えるかを競う恋敵でもあった。 そして、秋の体育祭では、美帆と真凛が走り高跳びや100メートル走、騎馬戦で対決! その結果、放課後の体育館で一騎討ちをすることに。

【完結】カワイイ子猫のつくり方

龍野ゆうき
青春
子猫を助けようとして樹から落下。それだけでも災難なのに、あれ?気が付いたら私…猫になってる!?そんな自分(猫)に手を差し伸べてくれたのは天敵のアイツだった。 無愛想毒舌眼鏡男と獣化主人公の間に生まれる恋?ちょっぴりファンタジーなラブコメ。

黄昏は悲しき堕天使達のシュプール

Mr.M
青春
『ほろ苦い青春と淡い初恋の思い出は・・  黄昏色に染まる校庭で沈みゆく太陽と共に  儚くも露と消えていく』 ある朝、 目を覚ますとそこは二十年前の世界だった。 小学校六年生に戻った俺を取り巻く 懐かしい顔ぶれ。 優しい先生。 いじめっ子のグループ。 クラスで一番美しい少女。 そして。 密かに想い続けていた初恋の少女。 この世界は嘘と欺瞞に満ちている。 愛を語るには幼過ぎる少女達と 愛を語るには汚れ過ぎた大人。 少女は天使の様な微笑みで嘘を吐き、 大人は平然と他人を騙す。 ある時、 俺は隣のクラスの一人の少女の名前を思い出した。 そしてそれは大きな謎と後悔を俺に残した。 夕日に少女の涙が落ちる時、 俺は彼女達の笑顔と 失われた真実を 取り戻すことができるのだろうか。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

処理中です...