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第3話 生徒会選挙はツンデレで
生徒会選挙はツンデレで 9ページ目
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「奈乃さん、本当にごめんなさい。一生懸命、書いてくれたのに、私、それを無駄にしてしまって……。言い訳になっちゃうけど、舞星さんと言い合いになって、それで、その……」
「まぁ、それは知ってますけどねー。ちょっと、からかっただけですよー。玉子焼き、美味しかったです、ごちそうさまですねっ」
へっ……。『からかった』って、玉子焼きが辛かったということ? ウソよ、玉子焼きが辛いだなんて、そんなわけ──って、そうじゃないからっ。
これはハメられたのよ、またこの悪女にしてやられたのね。
知ってたのに私を試すだなんて──。
はっ、まさか、狙いは最初から玉子焼きだったというわけね。ツンデレをもてあそぶなんて、腹黒系悪女は本当に恐ろしいよ。
「知ってたなら、先に言ってくれてもよかったのにー。謝って損したじゃないの。で、でも、明日はちゃんと言うからねっ!」
「やっぱり朱音先輩は面白い人ですよ。1ポイントは冗談ですけど、ちゃんと誠意を見せたら、きっと支持率は上がりますからー」
「奈乃さん……」
「そうでないと、私が遊べなくなってしまうじゃないですかー」
これは照れ隠しね、絶対にそうよ。こういう照れがあるから、奈乃さんが可愛く見えるのよ。
あぁ、もう、その角度が可愛すぎるのよ。こうやって悪女萌えを作っていくのね。
あざとい、あざとすぎるよ奈乃さん。
こうして私の平和なお昼は、悪女の罠と戦いながら過ぎていく。確実に浸透する悪女萌えは、私から理性を奪い──って、そんなわけないからっ。
危うく奈乃さんの思い通りになるところだったよ。
でも、こういう付き合い方もあるんのかな。
べ、別に今までが寂しかったわけじゃないけど、ただ、うん、悪くない気分だよ。
奈乃さんが考えてくれた演説内容なら、絶対に勝てる、ううん、勝たないといけないのよ。
「奈乃さん、私、必ず生徒会長になるからねっ。絶対、生徒会で一緒に頑張ろうね!」
「私は問題ないんですけどー。でも、そうしてくれないと、私が困るもん。だって──」
屋上に吹き荒れる突然の風。
この春一番らしき風で、奈乃さんの言葉を聞き逃してしまう。いつものイジり系だと一瞬思ったけど、奈乃さんの顔は今までに見たことのない笑顔だった。
「えっ? 今、なんて言ったのよ。風が強くて聞こえなかったんだけどっ」
「いじりがいのある人が生徒会長じゃないと、つまらないと言ったんですよー。朱音先輩は面白い人ですからねー」
「はうっ。私はいじられ役じゃないからぁぁぁぁ」
青空に届きそうな叫び声で全力否定したけど、私の心はどこか嬉しそうだった。これが友だちと言えるのかわからない。
今ハッキリしてるのは、奈乃さんは私にとって大切な人ということ。私は心の底から、この関係がずっと続けばいいと願っていた。
でも──私にはM属性なんてまったくないんだよ。
明日、明日こそは、奈乃さんが考えてくれた演説内容で、さらなる支持率アップを狙うと、心に固く誓いを立てる。もちろん、魔性──ではなく、舞星さんの自爆も期待しながら。
「まぁ、それは知ってますけどねー。ちょっと、からかっただけですよー。玉子焼き、美味しかったです、ごちそうさまですねっ」
へっ……。『からかった』って、玉子焼きが辛かったということ? ウソよ、玉子焼きが辛いだなんて、そんなわけ──って、そうじゃないからっ。
これはハメられたのよ、またこの悪女にしてやられたのね。
知ってたのに私を試すだなんて──。
はっ、まさか、狙いは最初から玉子焼きだったというわけね。ツンデレをもてあそぶなんて、腹黒系悪女は本当に恐ろしいよ。
「知ってたなら、先に言ってくれてもよかったのにー。謝って損したじゃないの。で、でも、明日はちゃんと言うからねっ!」
「やっぱり朱音先輩は面白い人ですよ。1ポイントは冗談ですけど、ちゃんと誠意を見せたら、きっと支持率は上がりますからー」
「奈乃さん……」
「そうでないと、私が遊べなくなってしまうじゃないですかー」
これは照れ隠しね、絶対にそうよ。こういう照れがあるから、奈乃さんが可愛く見えるのよ。
あぁ、もう、その角度が可愛すぎるのよ。こうやって悪女萌えを作っていくのね。
あざとい、あざとすぎるよ奈乃さん。
こうして私の平和なお昼は、悪女の罠と戦いながら過ぎていく。確実に浸透する悪女萌えは、私から理性を奪い──って、そんなわけないからっ。
危うく奈乃さんの思い通りになるところだったよ。
でも、こういう付き合い方もあるんのかな。
べ、別に今までが寂しかったわけじゃないけど、ただ、うん、悪くない気分だよ。
奈乃さんが考えてくれた演説内容なら、絶対に勝てる、ううん、勝たないといけないのよ。
「奈乃さん、私、必ず生徒会長になるからねっ。絶対、生徒会で一緒に頑張ろうね!」
「私は問題ないんですけどー。でも、そうしてくれないと、私が困るもん。だって──」
屋上に吹き荒れる突然の風。
この春一番らしき風で、奈乃さんの言葉を聞き逃してしまう。いつものイジり系だと一瞬思ったけど、奈乃さんの顔は今までに見たことのない笑顔だった。
「えっ? 今、なんて言ったのよ。風が強くて聞こえなかったんだけどっ」
「いじりがいのある人が生徒会長じゃないと、つまらないと言ったんですよー。朱音先輩は面白い人ですからねー」
「はうっ。私はいじられ役じゃないからぁぁぁぁ」
青空に届きそうな叫び声で全力否定したけど、私の心はどこか嬉しそうだった。これが友だちと言えるのかわからない。
今ハッキリしてるのは、奈乃さんは私にとって大切な人ということ。私は心の底から、この関係がずっと続けばいいと願っていた。
でも──私にはM属性なんてまったくないんだよ。
明日、明日こそは、奈乃さんが考えてくれた演説内容で、さらなる支持率アップを狙うと、心に固く誓いを立てる。もちろん、魔性──ではなく、舞星さんの自爆も期待しながら。
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