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第3話 生徒会選挙はツンデレで
生徒会選挙はツンデレで 2ページ目
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「はぁ、はぁ、はぁ、な、なんとか間に合ったよ……」
「あれ、朱音先輩、朝見かけないと思ったら、寝坊してたのですねー」
「な、奈乃さん、お、おはよう。え、えっと、魔性の罠にハマり寝坊しちゃいました。あはははは……」
「どうやら、まだ寝ぼけているようですねー。そろそろ始業の時間なので、続きはお昼休みにしましょう。屋上で待ってますので、か、な、ら、ず、来てくださいね」
奈乃さんひょっとして──ご機嫌ナナメなのかな。
そっか、奈乃さんも寝坊して、朝ごはん食べてないからピリピリしてるんだね。
やっぱり、朝ごはんはちゃんと食べないとっ。
こうして私は、ご機嫌ナナメな奈乃さんと一緒に校舎の中へ歩いていった。
約束の昼休みまでは約四時間ほどある。
とはいっても、まだ一限目が始まったばかりですけどね。
だけど、授業開始と同時に私はかつてない強敵に襲われてしまったんだ。
その強敵とは──。
えっ、この痛みはいったい……。
まさか、授業中なのに魔性さんから攻撃なのかな。だ、ダメ、この攻撃は反則、だよ。こんなの、私に耐えられるわけないもん。
最強属性のツンデレとはいえ、この攻撃を防ぐ術など存在しない。いや、ツンデレだけでなく、私を苦しめるこの攻撃は、すべてのヒロインにとっての弱点なのだから。
キュルルルルル──。
はうっ、授業中に鳴ってしまいました。もう、恥ずかしすぎて顔が真っ赤だよ。
寝坊したからといって、朝ごはんを抜いたのが敗因でした。こんな卑劣な手を使うだなんて、魔性さんはあなどれませんね。
でも──これだけ大きな音なのに、誰も気づかないのは元陰キャのおかげかな。うん、このスキルだけは陰キャに感謝しないとねっ。
……私はもう陰キャじゃないけど。
「長い、本当に長かった……。やっと念願のお昼になったよ。やっぱり人間は、朝ごはんを食べないとダメだよねっ」
「寝坊するのがいけないんですよ、朱音先輩」
「奈乃さん、やっときたね。さぁ、お昼しようよ、今すぐ食べよう。私のHPゲージはすでに真っ赤なんだからねっ」
待ち焦がれた奈乃さんが屋上に現れると、私は我を忘れて飛びついてしまった。
そこに感じる確かな温かい感触──などなく、私のおでこは鉄のトビラと正面衝突していた。
「いったーい、なんで避けるのー」
「もちろん、身の危険を感じたからですよー。朝の続きは、お昼を食べてからにしましょうか」
「その方が助かるよ。私、そろそろ活動限界が近くて、倒れちゃいそうだよ」
ふらふらになりながら、私はフェンス際のベンチに座りお弁当を広げた。半日以上ぶりの食べ物に、口から思わずヨダレがたれそうになる。
お母さんが作ってくれた色とりどりのお弁当。
私は目を輝かせながら、腹の中へと放りこみ始める。心にしみ渡る美味しさで瞳には涙が浮かび、私はこの至福の時間を堪能した。
「あれ、朱音先輩、朝見かけないと思ったら、寝坊してたのですねー」
「な、奈乃さん、お、おはよう。え、えっと、魔性の罠にハマり寝坊しちゃいました。あはははは……」
「どうやら、まだ寝ぼけているようですねー。そろそろ始業の時間なので、続きはお昼休みにしましょう。屋上で待ってますので、か、な、ら、ず、来てくださいね」
奈乃さんひょっとして──ご機嫌ナナメなのかな。
そっか、奈乃さんも寝坊して、朝ごはん食べてないからピリピリしてるんだね。
やっぱり、朝ごはんはちゃんと食べないとっ。
こうして私は、ご機嫌ナナメな奈乃さんと一緒に校舎の中へ歩いていった。
約束の昼休みまでは約四時間ほどある。
とはいっても、まだ一限目が始まったばかりですけどね。
だけど、授業開始と同時に私はかつてない強敵に襲われてしまったんだ。
その強敵とは──。
えっ、この痛みはいったい……。
まさか、授業中なのに魔性さんから攻撃なのかな。だ、ダメ、この攻撃は反則、だよ。こんなの、私に耐えられるわけないもん。
最強属性のツンデレとはいえ、この攻撃を防ぐ術など存在しない。いや、ツンデレだけでなく、私を苦しめるこの攻撃は、すべてのヒロインにとっての弱点なのだから。
キュルルルルル──。
はうっ、授業中に鳴ってしまいました。もう、恥ずかしすぎて顔が真っ赤だよ。
寝坊したからといって、朝ごはんを抜いたのが敗因でした。こんな卑劣な手を使うだなんて、魔性さんはあなどれませんね。
でも──これだけ大きな音なのに、誰も気づかないのは元陰キャのおかげかな。うん、このスキルだけは陰キャに感謝しないとねっ。
……私はもう陰キャじゃないけど。
「長い、本当に長かった……。やっと念願のお昼になったよ。やっぱり人間は、朝ごはんを食べないとダメだよねっ」
「寝坊するのがいけないんですよ、朱音先輩」
「奈乃さん、やっときたね。さぁ、お昼しようよ、今すぐ食べよう。私のHPゲージはすでに真っ赤なんだからねっ」
待ち焦がれた奈乃さんが屋上に現れると、私は我を忘れて飛びついてしまった。
そこに感じる確かな温かい感触──などなく、私のおでこは鉄のトビラと正面衝突していた。
「いったーい、なんで避けるのー」
「もちろん、身の危険を感じたからですよー。朝の続きは、お昼を食べてからにしましょうか」
「その方が助かるよ。私、そろそろ活動限界が近くて、倒れちゃいそうだよ」
ふらふらになりながら、私はフェンス際のベンチに座りお弁当を広げた。半日以上ぶりの食べ物に、口から思わずヨダレがたれそうになる。
お母さんが作ってくれた色とりどりのお弁当。
私は目を輝かせながら、腹の中へと放りこみ始める。心にしみ渡る美味しさで瞳には涙が浮かび、私はこの至福の時間を堪能した。
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