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第2話 復讐の下準備と悪女な後輩
復讐の下準備と悪女な後輩 12ページ目
しおりを挟む「部長さん、朱音先輩のポスター見せてもらえますかー?」
「はっ、麗しき奈乃様のため、パソコン部の総力をあげ、作らせていただきました。今すぐにお持ちいたしますので、奈乃様専用のイスに座りお待ちください」
「なるべく早くお願いしますねー」
何よ、『麗しき奈乃様』って。
しかも専用のイスまであるなんて。
だいたい、心を深く傷つけられたのではないんですの!
はっ、これはまさか……パソコン部というのは、Mの集団というわけですね。用語にソフトとかハードとかありますし。
つまりパソコン部とは、ハードとソフトをバランスよく使いこなし、自分の欲望を満たそうとするのね。そうよ、たとえ、保存し忘れで数時間の作業が無駄になったとしても、何度でもやり直すんですもの。
Mを極めた者たちの集団、それこそがパソコン部の正体なのですね。
おそるべしパソコン部……。
「はうっ、い、いったーい。奈乃さん、いきなり叩くのは反則だよ……」
「朱音先輩を偏見的妄想の世界から戻したんですよー。それとも、ノートに書いた方がよかったですかー?」
「い、いえ、ノートは遠慮しておきます……。って、なんで、私が考えてることをわかったのよー。奈乃さんって実は、エスパーとかなんですかっ?」
「そんなわけないですから。朱音先輩がわかりやすいだけですよー」
「私って、そんなに顔に出やすいのかな?」
「ですねー。隠し事とかできなそうですし。まぁ、それはいいんですけど、完成したポスターはこれですよー」
あっ、すっかり忘れてました。
パソコン部というM集団のせいよ。
奈乃さんに服従するなんて──っと、また顔に出てしまいますね。
「これが選挙ポスターなんですね。なんか本格的で──」
確か制服にするって言ってたのに、巫女装束でしかも胸の辺りが私より……。
待って、これは選挙ポスターじゃないよ。
だって背景が喫茶店っぽいもん。
どうみても、アイドルのポスターみたいな仕上がり具合だし、これは──。
「奈乃さん? これってまさか……」
「えっ、選挙ポスターが気に入らなかったんですかー?」
「これのどこが選挙ポスターなんですっ」
「どこがって、ちゃんと真面目に作って……。あっ、間違って、販売用のポスターを渡してたみたいですね。本物はこっちですよー」
何よ販売用って。誰に対して売るつもりなのよ。
だって、あのときにデータは消したって約束したじゃない。
はっ、私としたことが完全に油断しました。あれは罠だったんですね。
さすが悪女……なんて狡猾な手口なの。
くぅ、悪女だというのに完全に信じちゃうなんて、もう、私のばかーっ。
いや、これはチャンス、大チャンス到来よ。悪女の弱みを握る絶好の機会なんだから。
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