ツンデレヒロインの逆襲

朽木昴

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第2話 復讐の下準備と悪女な後輩

復讐の下準備と悪女な後輩 10ページ目

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 心の中での不毛な戦いが終わると、私は空き教室へと到着した。そこには机やイスはほとんどなく、窓から差し込む夕陽だけが、このファッションショーの観客だった。


 誰もこないとはいえ、教室で着替えるのかぁ。

 ある意味罰ゲームだよ。

 奈乃さんが気を利かせて、窓を塞いでくれたけど、緊張で心臓がとびだしちゃいそう。

 こうなったら、早いとこ着替えを済ましちゃおっと。

「ねー、奈乃さん、この衣装……でいいの、かな?」

「私の見込んだ通りですねー。朱音先輩は、巫女装束がよくお似合いですよー」

「そ、そうかな。そんなに、似合ってるの、かな」

「私にデレても仕方ないですけどねー。それじゃ、時間がもったいないので、じゃんじゃん撮りますよー」

 本当に、巫女装束を選挙ポスターにするのかな。

 自分で言うのもなんだけど、確かに可愛すぎるよね。胸を除けば……。

 そう、胸を──って、なんで私がダメージ受けてるのよ。別に胸なんてなくたって、いいじゃないの。

 人間は中身が大事なんだからねっ。

「えっと、ポーズはこんな感じでいいの?」

「全然大丈夫ですよー。……巫女装束はこれくらいでいいかな。朱音先輩、次の衣装に着替えてくださいねー」

「ふぇっ!? まだ撮るの」

「もちろんですよー。あらゆるパターンを撮り、その中からベストな一枚を選ぶんですよ。だから、次にいってみましょうー」

 そっか、そうだよね。

 一枚だけだと、それがベストショットとは限らないもんね。うん、奈乃さんはただの悪女じゃない、計算高い悪女だよ。

 さて、次の衣装は……。

 えっ、このメイド服を……着るの?

 確かに憧れてはいましたけど、なんのイベントもないのに着るのは、少し抵抗が……。

 ううん、これも生徒会長に君臨するためよ。それに比べたら、私のちっぽけなプライドなんて、紙切れ同然の価値しかないんだから。

「ど、どうですか。変じゃ……ないですよ、ね?」

「最高ですよ、朱音先輩。その恥じらい方は満点です。これなら、高く売れ……きっと、得票数が増えること間違いなしですから」

「ま、待って、今、高く売れるとか言わなかった? まさか、この写真を売ったりしないよね?」

「もう、朱音先輩は心配性なんですからー。そんなこと言うわけないですよー。さて、やっぱり選挙ポスターは、制服一択しかありません。朱音先輩、早く着替えてくださいね」

 えっ、結局元サヤなの……。

 はっ、悪女の小遣い稼ぎに乗せられたわけね。

 油断よ、あんな写真が流出したら、二度と学校にいけなくなるじゃないの。
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