ツンデレヒロインの逆襲

朽木昴

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第2話 復讐の下準備と悪女な後輩

復讐の下準備と悪女な後輩 9ページ目

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「……決まったんですかー?」

「決まりましたよ。でも、今回は奈乃さんの出番がなさそうですね。このクイーン・オブ・ツンデレに相応しい衣装は──このウェディングドレスだよっ!」

 勝った、勝ったよマスターおなつ。

 私、ついに悪女を制しましたの。

 でも、これは始まりにすぎない。

 私の目標は、この学校で生徒会長に君臨し、復讐を果たすこと。

 だから、これぐらいで喜ぶ──って、奈乃さんの視線が痛いんですけど。お、おかしいな、私の選択が間違ってるはずないのに……。

「……朱音先輩。ま、さ、か、選挙ポスターで、ウェディングドレスを着るわけないですよねー?」

「ふぇっ!? も、もちろんその予定だけど……」

 あ、あれ……。待って、なんで、そんなにも哀れみの目で私を見てるのよ。

 この華やかさなら、どの衣装にも負けないはずなのに……。

「どこの世界に、ウェディングドレスで選挙ポスターを作る人がいるんですか。朱音先輩、結婚式場のポスターと勘違いしてませんかー?」

「はうっ、こ、これは、ちょっとした、ジョークだからねっ。そんな本気に……」

「まったく、ドヤ顔といい、ウェディングドレスといい。あっ、婚前にウェディングドレスを着ると、婚期が遅れるって迷信があるみたいですよー?」

 な、なんですって。

 そんなトラップが仕掛けられていたとは……。

 くっ……、悪女の罠にハマるなんて、一生の不覚です。

 まずい、このままだと、悪女の思うツボになっちゃう。こうなったら、ツンデレを使って上手く誤魔化すしか……。

「そ、そんなことぐらい、知ってましたよ。ちょっと、奈乃さんの知識を試しただけ、なんですから。そのために、これを選んだ、だけなのよ。だから、次、次が本番、なんだからねっ」

 よ、よし、これでこのターンは練習扱いになるはず。

 あとは、さりげなく次の衣装を選んで……。

「えっ、そんなこと、ダメに決まってますよー。では約束通り、私が衣装を選びますね。安心してください、ちゃんとしたのを選びますので」

 ダメでしたぁぁぁぁぁぁ。

 その『安心』が一番安心できないのに。

 ピンチよ、これは人生最大のピンチ到来です。

 なんとかしなければ、このまま私の黒歴史が刻まれちゃうっ。


 私が心の叫びをあげている間、奈乃さんはニヤけながら衣装を何着か選んでいた。それを持参した紙袋に詰め込むと、私を次なる場所へ連れていこうとした。

「今度はどこへいくのよ」

「空き教室に決まってますよー。そこで写真を撮るのです」

「えっ、き、今日撮るの!?」

「はい、カメラは写真部から借りてきましたし。あっ、教室には私と朱音先輩しかいないので、何も心配いりませんよー」

 だから何度も言い──じゃなく、思いますけど、それが一番の心配なんだってばぁぁぁぁ。

 もう、こうなったら、パンドラの箱に入る覚悟を決めるしかないかな。
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