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第2話 復讐の下準備と悪女な後輩
復讐の下準備と悪女な後輩 7ページ目
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「では、公約も決まったことですから、早速ポスター作りに取り掛かりましょう」
「私の手伝いばかりだけど、奈乃さんの方は大丈夫なのかな?」
「私の方は何もしなくても、当選が確定しているので平気ですよ。まぁ、一応、げぼ……有志の人たちが色々とやってくれてますからね」
入学して間もないのに、すでに下僕までいるとか、なんて恐ろしい一年生なの。
というより、当選が決まってるっていったい……。
まさか、弱みノートを使って脅してるのね。
やっぱり奈乃さんは悪女を極めてるよ。
世が世なら天下に名を轟かせているに違いないね。
うん、きっとそうだよ、第六天悪女神崎奈乃とか、言われること間違いないかな。
「あれ、奈乃さん。弱みノートに何を書いているんですか?」
「いえ、大したことではありませんよ。朱音先輩が私のこと、悪女なんて呼んでたぐらいしか書いてませんからー」
「べ、別に悪女なんて言ってないわよ。ただ、時代が時代なら、奈乃さんは第六天悪女と呼ばれて──はっ、まさか、カマをかけたのねーーーーーっ!」
「やっぱり、ね。でも、私はそんなこと気にしないので、ポスターの話に移りましょうよー」
気にしてないわけないじゃなーい。
この短時間でスリーアウトどころか、弱み貯金までできるなんて、これが悪女の極みなのね。
でも、負けてられないもん。
悪女なんかよりも、ツンデレの方が勝るんだからっ。
そうよ、私はこのツンデレで生徒会長の座に君臨し、復讐を果たす使命があるのよ。
だって、ツンデレを制す者は世界を制するんですから。
「ところで、ポスターってどんな感じのがいいんだろ。やっぱり、スーツ着てドヤ顔決めてるヤツとかな……」
「ふっ、これだから元陰キャは……。スーツは百歩譲っていいとしたも、どの世界にドヤ顔で選挙ポスターを作る人がいるんですか」
「も、元陰キャは関係ないじゃないっ。それに、これは……そうよ、奈乃さんを少し試したのよ。本当に、それだけ、なんだから……」
「まぁ、それでいいですけどねー。何を着て写真を撮るかは、私に考えがあるんですよ。だから、任せてもらえませんかー?」
「それは助かります。でも、衣装とかってお金がかかるんじゃ?」
「そこは大丈夫です。演劇部という、私の忠実な下僕たちから借りる予定なので。カメラとかポスター制作とかも、手足となってくれるファンがいるんですよー」
『下僕』とハッキリ断言してますし。
もはや隠さなくなりましたね。
きっとファンの人たちも、奈乃さんに弱みを握られこき使われるのね。
「それは助かります。私、奈乃さんと出会えて感謝してるんですよっ」
「あ、ありがとう。でも、褒めたところで、弱みノートからは消しませんけどー」
「くっ、奈乃さんのケチー」
この日はこれで解散となった。
帰り道で思い浮かべるのは奈乃さんとの会話。
私が学校であんなに話すのは多分初めて。
性格は腹黒く悪女という言葉が似合うけど、きっと根は悪くない子だと思う。
だって、私はフラれてかなりショックだったの。
だから奈乃さんは、それを見て元気づけようと、私に近づいてきたんだろうね。
奈乃さんは確かに悪女だけど、でも、私は嫌いにはなれない。年下だけど頼れるお姉さんって感じかな、悪女だけど。
これ、大切なことなので二度言いました。いえ、『思いました』ですね。
そんなことを考えながら、私は推しの待つ家へと早歩きで帰っていった。
「私の手伝いばかりだけど、奈乃さんの方は大丈夫なのかな?」
「私の方は何もしなくても、当選が確定しているので平気ですよ。まぁ、一応、げぼ……有志の人たちが色々とやってくれてますからね」
入学して間もないのに、すでに下僕までいるとか、なんて恐ろしい一年生なの。
というより、当選が決まってるっていったい……。
まさか、弱みノートを使って脅してるのね。
やっぱり奈乃さんは悪女を極めてるよ。
世が世なら天下に名を轟かせているに違いないね。
うん、きっとそうだよ、第六天悪女神崎奈乃とか、言われること間違いないかな。
「あれ、奈乃さん。弱みノートに何を書いているんですか?」
「いえ、大したことではありませんよ。朱音先輩が私のこと、悪女なんて呼んでたぐらいしか書いてませんからー」
「べ、別に悪女なんて言ってないわよ。ただ、時代が時代なら、奈乃さんは第六天悪女と呼ばれて──はっ、まさか、カマをかけたのねーーーーーっ!」
「やっぱり、ね。でも、私はそんなこと気にしないので、ポスターの話に移りましょうよー」
気にしてないわけないじゃなーい。
この短時間でスリーアウトどころか、弱み貯金までできるなんて、これが悪女の極みなのね。
でも、負けてられないもん。
悪女なんかよりも、ツンデレの方が勝るんだからっ。
そうよ、私はこのツンデレで生徒会長の座に君臨し、復讐を果たす使命があるのよ。
だって、ツンデレを制す者は世界を制するんですから。
「ところで、ポスターってどんな感じのがいいんだろ。やっぱり、スーツ着てドヤ顔決めてるヤツとかな……」
「ふっ、これだから元陰キャは……。スーツは百歩譲っていいとしたも、どの世界にドヤ顔で選挙ポスターを作る人がいるんですか」
「も、元陰キャは関係ないじゃないっ。それに、これは……そうよ、奈乃さんを少し試したのよ。本当に、それだけ、なんだから……」
「まぁ、それでいいですけどねー。何を着て写真を撮るかは、私に考えがあるんですよ。だから、任せてもらえませんかー?」
「それは助かります。でも、衣装とかってお金がかかるんじゃ?」
「そこは大丈夫です。演劇部という、私の忠実な下僕たちから借りる予定なので。カメラとかポスター制作とかも、手足となってくれるファンがいるんですよー」
『下僕』とハッキリ断言してますし。
もはや隠さなくなりましたね。
きっとファンの人たちも、奈乃さんに弱みを握られこき使われるのね。
「それは助かります。私、奈乃さんと出会えて感謝してるんですよっ」
「あ、ありがとう。でも、褒めたところで、弱みノートからは消しませんけどー」
「くっ、奈乃さんのケチー」
この日はこれで解散となった。
帰り道で思い浮かべるのは奈乃さんとの会話。
私が学校であんなに話すのは多分初めて。
性格は腹黒く悪女という言葉が似合うけど、きっと根は悪くない子だと思う。
だって、私はフラれてかなりショックだったの。
だから奈乃さんは、それを見て元気づけようと、私に近づいてきたんだろうね。
奈乃さんは確かに悪女だけど、でも、私は嫌いにはなれない。年下だけど頼れるお姉さんって感じかな、悪女だけど。
これ、大切なことなので二度言いました。いえ、『思いました』ですね。
そんなことを考えながら、私は推しの待つ家へと早歩きで帰っていった。
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