ツンデレヒロインの逆襲

朽木昴

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第2話 復讐の下準備と悪女な後輩

復讐の下準備と悪女な後輩 4ページ目

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「まっ、いいですよっ。私は細かいことは気にしませんので。そ、れ、と、奈乃さんならどういう公約にするのか、聞かせてくれないかな。べ、別に中身をパクろうだなんて、これぽっちも考えてないんだからねっ」

「私の考える公約ですかー? そうですねー、陰キャの廃止なんて、いいんじゃないですかー」

「なんで、私を見つめながら笑顔なのか、疑問がありますけど」

「冗談に決まってるじゃないですかー。半分はねっ」

 半分は本気ってことじゃない。

 だいたい、私は陰キャじゃ──確かに昔はそうだったけど。今は陰キャを卒業して、立派なツンデレなのよ。

「それじゃそろそろ、本当の公約を聞かせて欲しいなっ」

「仕方ないですね、真面目に答えますか。でも、その前に聞かせてください。どうして、陰キャからツンデレにクラスチェンジした朱音先輩が、生徒会長になろうとしてるんですか?」

「そ、それはですね。えっと、その……」

 言えないよ、本当の理由なんて、言えるわけないもん。フラれた元カレと担任教師に復讐したいだからなんて、口が裂けても言えるわけないよ。

 勉強よりも頭を使って理由を考えたけど、私には思いつかなかった。元陰キャは頭の使い方も──って、それは関係ないか。

 それにしても、あのジト目は強敵だね。冷や汗が止まらなくなるし。

 こうなったら──。

「このことは、ここだけの話にしてよね。約束……だからね?」

「朱音先輩、私は誰にも話したりしませんよ。だって、弱みはいざってときに、役立つじゃないですか」

 天使の笑顔なのに、聞こえてくる言葉は悪魔だよ。薄々とは気づいていたけど、奈乃さんの属性は腹黒だよね。Mにしか需要なさそうだけど。

 でも、敵に回さなければ、心強いこと間違いなし。

 今回は仕方がないですけど、なるべく弱みを見せないようにしないとね。

「私が生徒会長になる理由はね──って、そのノートはなんですか?」

「ふふふふふ、気にしないでください。ただの弱みノートですから。これにメモしてから、あとでスマホに移すんです。名前検索で、すぐに弱みがわかるから、便利なんですよー」

 今どれだけあるのか、聞くのが怖いわね。

 ひょっとして、全生徒の分あるのかな。ううん、さすがにそれはないよね。

 だって、私の弱みなんてまだ知らないはずだし。

「ちなみにー、朱音先輩のも登録済みですよ。この前、ツンデレ貧乳だからフラれたって、ちゃんと書きましたので」

 ノォォォォォォ。なんでそれを知ってるんですか。

 思わず、お茶を吹き出しそうになったじゃないの。

 誰からなの、いったい誰から私の秘密を聞いたっていうのよ。まさか、担任教師から漏れたのかしら。

 それだと、他にも知ってる人がいる、ってことになるよね。

 落ち着きなさい朱音、慌てないで情報源を聞きだすのよ。
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