10 / 83
第2話 復讐の下準備と悪女な後輩
復讐の下準備と悪女な後輩 3ページ目
しおりを挟む
「──コホン。私が陰キャかどうかは、おいておきまして。可愛い後輩を助けるのも、優しい先輩の役目。だから、お互い協力しましょうか。決して、私に友だちがいないとか、そういう理由じゃないですからねっ」
「あー、まぁ、そういうことに、しておきますねー。朱音先輩とは長い付き合いになりそうです。よろしくお願いしますねー」
私は神崎さんと結託して、選挙戦へ望むことにした。熱い握手で共闘を誓うも、神崎さんの手は文字通り暖かった。
いや、普通の人よりもかなり熱く感じる。
手のひらが熱いと心が冷たいだなんて、ただの迷信だよね。
だから、神崎さんの視線が悪魔っぽいのも、私の気のせいに決まってるから……。
「こちらこそよろしくね、神崎さん」
「私のことは奈乃って呼んでください、朱音先輩っ」
「う、うん。奈乃さん、ね」
主導権を握られたら気がしますけど、大丈夫、私にはまだ勝機は残ってる。いくら元陰キャだからって、後輩には負けられないもん。
私は職員室の重いトビラを開け、奈乃さんと一緒に想いの詰まった立候補用紙を提出した。
これでもうあとには引けない。すべては拓馬と担任教師へ復讐するため、会長の座につかなければならない。
ツンデレ貧乳こそが正義。
ツンデレを制するモノは世界を制す。
マスターおなつの言葉を信じ、私は大きな一歩を踏み出した。
「思ったより、あっさり受け取ってもらえたよね」
「ただ提出するだけですから。それより、朱音先輩、公約とかちゃんと考えてるんですか? まさか、白紙だなんてオチはないですよね?」
「ギクッ。も、もちろんだよ。公約のひとつやふたつ、私にとっては、朝飯前だからね」
「それじゃ、今考えている公約を言ってみてください」
「え、えっと……。あ、明るい学園生活とか……?」
「朱音先輩……。それって、この学園の教育理念ですよ?」
何も考えてなかったなんて、奈乃さんに言えるわけもなく。
私が不意に口にしたのは、学園の教育理念。
ジト目で奈乃さんが見つめるも、すぐに満面の笑みに変わっていた。
「こ、これは奈乃さんを試しただけ、なんですからねっ」
「私にツンデレされても、意味がありませんよ。やはり、元陰キャには荷が重いようですね。でも、安心してくださいね? 私が一緒に考えてあげますから」
「ま、待って、元陰キャとか言わないでーーーーーーっ」
私の心の声はスルーされ、奈乃さんに図書室へと連れていかれる。その力は思ったより強く、私は流れに身を任せるしかなかった。
「ここなら静かなので、じっくり公約を考えられますよ」
「うぅ、私ってこういうの苦手なんですよ」
「大丈夫、大丈夫ですよ、朱音先輩。私の言う通りに動けば、何も心配ありません。そうすれば、私が影の支配者になれますので」
「ねー、今影の支配者って言ったよね? まさか、私を操り人形にでもしようとしてるんじゃないでしょうね?」
「……気のせいですよ、朱音先輩」
あからさまに視線を逸らしましたわよ。
見た目は可愛いのに、この子の心は真っ黒だよ。
気をつけないと、利用するだけ利用して、あっさり可燃ゴミのように捨てられちゃうよ。
これは試練、そう、神が与えし試練なのよ。ツンデレマスターになったなら、色んな属性をその手中に収めなさいってことなのね。
いいわよ、やってやるわ。これぐらいできないと、復讐だなんて成し遂げられないもの。
鬼よ、心を鬼にするのよ、朱音。あの修行で挫けぬ心を学んだじゃない。このままだとクイーン・オブ・ツンデレの名が泣いてしまうからね。
「あー、まぁ、そういうことに、しておきますねー。朱音先輩とは長い付き合いになりそうです。よろしくお願いしますねー」
私は神崎さんと結託して、選挙戦へ望むことにした。熱い握手で共闘を誓うも、神崎さんの手は文字通り暖かった。
いや、普通の人よりもかなり熱く感じる。
手のひらが熱いと心が冷たいだなんて、ただの迷信だよね。
だから、神崎さんの視線が悪魔っぽいのも、私の気のせいに決まってるから……。
「こちらこそよろしくね、神崎さん」
「私のことは奈乃って呼んでください、朱音先輩っ」
「う、うん。奈乃さん、ね」
主導権を握られたら気がしますけど、大丈夫、私にはまだ勝機は残ってる。いくら元陰キャだからって、後輩には負けられないもん。
私は職員室の重いトビラを開け、奈乃さんと一緒に想いの詰まった立候補用紙を提出した。
これでもうあとには引けない。すべては拓馬と担任教師へ復讐するため、会長の座につかなければならない。
ツンデレ貧乳こそが正義。
ツンデレを制するモノは世界を制す。
マスターおなつの言葉を信じ、私は大きな一歩を踏み出した。
「思ったより、あっさり受け取ってもらえたよね」
「ただ提出するだけですから。それより、朱音先輩、公約とかちゃんと考えてるんですか? まさか、白紙だなんてオチはないですよね?」
「ギクッ。も、もちろんだよ。公約のひとつやふたつ、私にとっては、朝飯前だからね」
「それじゃ、今考えている公約を言ってみてください」
「え、えっと……。あ、明るい学園生活とか……?」
「朱音先輩……。それって、この学園の教育理念ですよ?」
何も考えてなかったなんて、奈乃さんに言えるわけもなく。
私が不意に口にしたのは、学園の教育理念。
ジト目で奈乃さんが見つめるも、すぐに満面の笑みに変わっていた。
「こ、これは奈乃さんを試しただけ、なんですからねっ」
「私にツンデレされても、意味がありませんよ。やはり、元陰キャには荷が重いようですね。でも、安心してくださいね? 私が一緒に考えてあげますから」
「ま、待って、元陰キャとか言わないでーーーーーーっ」
私の心の声はスルーされ、奈乃さんに図書室へと連れていかれる。その力は思ったより強く、私は流れに身を任せるしかなかった。
「ここなら静かなので、じっくり公約を考えられますよ」
「うぅ、私ってこういうの苦手なんですよ」
「大丈夫、大丈夫ですよ、朱音先輩。私の言う通りに動けば、何も心配ありません。そうすれば、私が影の支配者になれますので」
「ねー、今影の支配者って言ったよね? まさか、私を操り人形にでもしようとしてるんじゃないでしょうね?」
「……気のせいですよ、朱音先輩」
あからさまに視線を逸らしましたわよ。
見た目は可愛いのに、この子の心は真っ黒だよ。
気をつけないと、利用するだけ利用して、あっさり可燃ゴミのように捨てられちゃうよ。
これは試練、そう、神が与えし試練なのよ。ツンデレマスターになったなら、色んな属性をその手中に収めなさいってことなのね。
いいわよ、やってやるわ。これぐらいできないと、復讐だなんて成し遂げられないもの。
鬼よ、心を鬼にするのよ、朱音。あの修行で挫けぬ心を学んだじゃない。このままだとクイーン・オブ・ツンデレの名が泣いてしまうからね。
0
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説
何故か超絶美少女に嫌われる日常
やまたけ
青春
K市内一と言われる超絶美少女の高校三年生柊美久。そして同じ高校三年生の武智悠斗は、何故か彼女に絡まれ疎まれる。何をしたのか覚えがないが、とにかく何かと文句を言われる毎日。だが、それでも彼女に歯向かえない事情があるようで……。疋田美里という、主人公がバイト先で知り合った可愛い女子高生。彼女の存在がより一層、この物語を複雑化させていくようで。
しょっぱなヒロインから嫌われるという、ちょっとひねくれた恋愛小説。
善意一〇〇%の金髪ギャル~彼女を交通事故から救ったら感謝とか同情とか罪悪感を抱えられ俺にかまってくるようになりました~
みずがめ
青春
高校入学前、俺は車に撥ねられそうになっている女性を助けた。そこまではよかったけど、代わりに俺が交通事故に遭ってしまい入院するはめになった。
入学式当日。未だに入院中の俺は高校生活のスタートダッシュに失敗したと落ち込む。
そこへ現れたのは縁もゆかりもないと思っていた金髪ギャルであった。しかし彼女こそ俺が事故から助けた少女だったのだ。
「助けてくれた、お礼……したいし」
苦手な金髪ギャルだろうが、恥じらう乙女の前に健全な男子が逆らえるわけがなかった。
こうして始まった俺と金髪ギャルの関係は、なんやかんやあって(本編にて)ハッピーエンドへと向かっていくのであった。
表紙絵は、あっきコタロウさんのフリーイラストです。

【完結】カワイイ子猫のつくり方
龍野ゆうき
青春
子猫を助けようとして樹から落下。それだけでも災難なのに、あれ?気が付いたら私…猫になってる!?そんな自分(猫)に手を差し伸べてくれたのは天敵のアイツだった。
無愛想毒舌眼鏡男と獣化主人公の間に生まれる恋?ちょっぴりファンタジーなラブコメ。
セーラー服美人女子高生 ライバル同士の一騎討ち
ヒロワークス
ライト文芸
女子高の2年生まで校内一の美女でスポーツも万能だった立花美帆。しかし、3年生になってすぐ、同じ学年に、美帆と並ぶほどの美女でスポーツも万能な逢沢真凛が転校してきた。
クラスは、隣りだったが、春のスポーツ大会と夏の水泳大会でライバル関係が芽生える。
それに加えて、美帆と真凛は、隣りの男子校の俊介に恋をし、どちらが俊介と付き合えるかを競う恋敵でもあった。
そして、秋の体育祭では、美帆と真凛が走り高跳びや100メートル走、騎馬戦で対決!
その結果、放課後の体育館で一騎討ちをすることに。
黄昏は悲しき堕天使達のシュプール
Mr.M
青春
『ほろ苦い青春と淡い初恋の思い出は・・
黄昏色に染まる校庭で沈みゆく太陽と共に
儚くも露と消えていく』
ある朝、
目を覚ますとそこは二十年前の世界だった。
小学校六年生に戻った俺を取り巻く
懐かしい顔ぶれ。
優しい先生。
いじめっ子のグループ。
クラスで一番美しい少女。
そして。
密かに想い続けていた初恋の少女。
この世界は嘘と欺瞞に満ちている。
愛を語るには幼過ぎる少女達と
愛を語るには汚れ過ぎた大人。
少女は天使の様な微笑みで嘘を吐き、
大人は平然と他人を騙す。
ある時、
俺は隣のクラスの一人の少女の名前を思い出した。
そしてそれは大きな謎と後悔を俺に残した。
夕日に少女の涙が落ちる時、
俺は彼女達の笑顔と
失われた真実を
取り戻すことができるのだろうか。

深海の星空
柴野日向
青春
「あなたが、少しでも笑っていてくれるなら、ぼくはもう、何もいらないんです」
ひねくれた孤高の少女と、真面目すぎる新聞配達の少年は、深い海の底で出会った。誰にも言えない秘密を抱え、塞がらない傷を見せ合い、ただ求めるのは、歩む深海に差し込む光。
少しずつ縮まる距離の中、明らかになるのは、少女の最も嫌う人間と、望まれなかった少年との残酷な繋がり。
やがて立ち塞がる絶望に、一縷の希望を見出す二人は、再び手を繋ぐことができるのか。
世界の片隅で、小さな幸福へと手を伸ばす、少年少女の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる