ツンデレヒロインの逆襲

朽木昴

文字の大きさ
上 下
9 / 83
第2話 復讐の下準備と悪女な後輩

復讐の下準備と悪女な後輩 2ページ目

しおりを挟む
「そうなんだ。ライバルだけど、一緒に頑張りましょう。私は西園寺朱音よ、二年生だけどよろしくね」

「はいっ。私は会計に立候補するんですけど、西園寺先輩は何に立候補するんですか?」

「私は会長だから安心していいよ」

「被ってなくて、よかったです。それなら、裏工作で妨害する必要ありませんから」

 あれ、裏工作って何かな。

 しかも妨害って……。

 きっと、聞き間違いよね。

 こんな可愛い顔してるんだから、そんな腹黒いこと、言うわけないもんね。

「えっと、裏工作とかって、私の聞き間違いよね? 神崎さんがそんなこと言うわけが──」

「えっ、もしかして、心の声が漏れてましたか? もう、私ったらうっかりさんです。一年生で立候補するなら、会長より会計が無難かなって、思っただけですよ。それと、来年会長へ立候補するための足場固めだなんて、これぽっちも思ってませんよ?」

 天使の笑顔でこの子は何を言ってるのよ。

 黒い、考えが黒すぎだよ、初々しさなんて、微塵の欠片もないよ。

 うん、私の直感がこう告げてるわ。関わるとろくなことがないって。

「そ、そうなんだ。それじゃ、私はこれで──」

「逃がさないですよ、先輩っ。私の本心を知られたからにはね?」

 怖いよ、この子怖すぎさんだよ。私の腕を掴んで、逃げられないようにしてるし。

 というより、なんでこんなにも爽やかな笑顔なの。とりあえず、この場から逃げないと危険すぎるよ。

「大丈夫、私はこう見えて口が堅いから。だから──」

「冗談ですよ、先輩。そんなに怯えないでください。そうだ、ここで会ったのも運命です。二人で協力して選挙に挑みませんか?」

「気持ちは嬉しいんだけど、私にはもう──」

「そうですか、陰キャオーラで、友だちがいないと思ってたんですけどね。それは残念です、本当に残念ですよ」

 陰キャだなんて、初対面のしかも先輩に対して言うことなの。

 確かに、手伝ってくれる友だちはいないけど。

 でも、ここで弱みなんて見せられない。もし弱みなんて握られたら──せっかくツンデレ覚醒したのが台無しになっちゃうじゃない。

「べ、別に友だちがいないってわけじゃないのよ。ただ、私と合わないだけ、なんだから。ただ、それだけだよ……」

「なるほど、陰キャを卒業し、ツンデレへ目覚めたというわけですか。これは、面白いおもち……類まれなき才能ですね。私、俄然興味が湧いてきました」

 おもちゃって、言いかけましたよね。

 先輩私のに、面白いおもちゃを見つけたって思ってるよね。

 しかも、なんで陰キャからツンデレにジョブチェンジしたって、知ってるのよ。

 ここで誤魔化して逃げてもあとが面倒だよね。放っておいても、何しでかすかわからないですし。それこそ私の邪魔なんてされたら、計画がすべて水の泡よ。それなら、味方にしておいた方が得だよね。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ひょっとしてHEAVEN !?

シェリンカ
青春
【第13回ドリーム小説大賞奨励賞受賞】 三年つきあった彼氏に、ある日突然ふられた おかげで唯一の取り柄(?)だった成績がガタ落ち…… たいして面白味もない中途半端なこの進学校で、私の居場所っていったいどこだろう 手をさし伸べてくれたのは――学園一のイケメン王子だった! 「今すぐ俺と一緒に来て」って……どういうこと!? 恋と友情と青春の学園生徒会物語――開幕!

何故か超絶美少女に嫌われる日常

やまたけ
青春
K市内一と言われる超絶美少女の高校三年生柊美久。そして同じ高校三年生の武智悠斗は、何故か彼女に絡まれ疎まれる。何をしたのか覚えがないが、とにかく何かと文句を言われる毎日。だが、それでも彼女に歯向かえない事情があるようで……。疋田美里という、主人公がバイト先で知り合った可愛い女子高生。彼女の存在がより一層、この物語を複雑化させていくようで。 しょっぱなヒロインから嫌われるという、ちょっとひねくれた恋愛小説。

善意一〇〇%の金髪ギャル~彼女を交通事故から救ったら感謝とか同情とか罪悪感を抱えられ俺にかまってくるようになりました~

みずがめ
青春
高校入学前、俺は車に撥ねられそうになっている女性を助けた。そこまではよかったけど、代わりに俺が交通事故に遭ってしまい入院するはめになった。 入学式当日。未だに入院中の俺は高校生活のスタートダッシュに失敗したと落ち込む。 そこへ現れたのは縁もゆかりもないと思っていた金髪ギャルであった。しかし彼女こそ俺が事故から助けた少女だったのだ。 「助けてくれた、お礼……したいし」 苦手な金髪ギャルだろうが、恥じらう乙女の前に健全な男子が逆らえるわけがなかった。 こうして始まった俺と金髪ギャルの関係は、なんやかんやあって(本編にて)ハッピーエンドへと向かっていくのであった。 表紙絵は、あっきコタロウさんのフリーイラストです。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

私の隣は、心が見えない男の子

舟渡あさひ
青春
人の心を五感で感じ取れる少女、人見一透。 隣の席の男子は九十九くん。一透は彼の心が上手く読み取れない。 二人はこの春から、同じクラスの高校生。 一透は九十九くんの心の様子が気になって、彼の観察を始めることにしました。 きっと彼が、私の求める答えを持っている。そう信じて。

セーラー服美人女子高生 ライバル同士の一騎討ち

ヒロワークス
ライト文芸
女子高の2年生まで校内一の美女でスポーツも万能だった立花美帆。しかし、3年生になってすぐ、同じ学年に、美帆と並ぶほどの美女でスポーツも万能な逢沢真凛が転校してきた。 クラスは、隣りだったが、春のスポーツ大会と夏の水泳大会でライバル関係が芽生える。 それに加えて、美帆と真凛は、隣りの男子校の俊介に恋をし、どちらが俊介と付き合えるかを競う恋敵でもあった。 そして、秋の体育祭では、美帆と真凛が走り高跳びや100メートル走、騎馬戦で対決! その結果、放課後の体育館で一騎討ちをすることに。

青天のヘキレキ

ましら佳
青春
⌘ 青天のヘキレキ 高校の保健養護教諭である金沢環《かなざわたまき》。 上司にも同僚にも生徒からも精神的にどつき回される生活。 思わぬ事故に巻き込まれ、修学旅行の引率先の沼に落ちて神将・毘沙門天の手違いで、問題児である生徒と入れ替わってしまう。 可愛い女子とイケメン男子ではなく、オバちゃんと問題児の中身の取り違えで、ギャップの大きい生活に戸惑い、落としどころを探って行く。 お互いの抱えている問題に、否応なく向き合って行くが・・・・。 出会いは化学変化。 いわゆる“入れ替わり”系のお話を一度書いてみたくて考えたものです。 お楽しみいただけますように。 他コンテンツにも掲載中です。

【完結】カワイイ子猫のつくり方

龍野ゆうき
青春
子猫を助けようとして樹から落下。それだけでも災難なのに、あれ?気が付いたら私…猫になってる!?そんな自分(猫)に手を差し伸べてくれたのは天敵のアイツだった。 無愛想毒舌眼鏡男と獣化主人公の間に生まれる恋?ちょっぴりファンタジーなラブコメ。

処理中です...