5 / 83
第1話 ツンデレ誕生
ツンデレ誕生 5ページ目
しおりを挟む
「契約するかはおいときまして、あの、その、ツンデレって簡単になれるモノなんですか? 誰でもなれるのでしたら、話ぐらい聞こうかなって」
「ツンデレは、誰でもなれるわけではないのじゃ。選ばれし者、すなわち、この聖なる場所へ辿り着けた者だけが、なれるのじゃよ」
「そ、そうなんですか……。では、ここに辿り着けた私なら、その、ツンデレになれるんですよね?」
「うむ。だが、なれるのではない、ソナタはツンデレ女王としての素質がある。つまり、ツンデレとして生まれ変わるのが、運命ということじゃよ」
「運命……。陰キャな私が生まれ変われる……」
『運命』と『生まれ変われる』、その言葉に私は心が揺れ動いてしまう。断る気満々のはずが、不思議とツンデレという言葉に惹かれていく。
気がつけば、私の心はツンデレという魅力の塊に支配されていた。もし、陰キャからツンデレへとクラスチェンジできたのなら、鷺ノ宮君と付き合える可能性が高くなるし……。
「そうじゃよ、ソナタがここに導かれたのも運命。ソナタがツンデレという新しい道へ進むのは、この世界の理。つまり、頂点に君臨することが可能なのじゃ!」
「世界の理……。陰キャな私がツンデレとして、世界の頂点に君臨できる……そういうことなんですかっ!」
陰キャでも勝ち組になれる可能性。
いや、勝ち組どころではない、世界の頂点に君臨だなんて。この怪しい言葉を私は完全に信じ、ツンデレへのジョブチェンジを決めた。
わずか数分という短い時間での決断。
陰キャを卒業でき新たな道が私を待っている。
それなら、迷うという選択肢は私に存在しないのよ。
「もちろん、それも可能じゃよ。意中の殿方を手中に収めるのだって、呼吸するのと同じくらい簡単なことじゃよ」
「意中の相手……。わ、わかりました。私、契約します。そして、必ずやツンデレを極めてみせます!」
「うむ、それがいい。この契約書に、住所、氏名、年齢と学校名を書けば契約成立じゃ」
「はいっ! で、でも……お金って、結構かかるんですよね……」
高校生の私にとって、金銭問題は非常に大きい。私の一ヶ月のお小遣いは一万円、これ以上は払うのは無理なのだ。もちろんその一万円には──推し活代も含まれている。
だから、このチャンスはもったいないけれど、金額によっては断ろうと思っていた。
「そうじゃの、本物のツンデレを学ぶのじゃから、安くはないのぉ。入会金込みで学割をつけて──」
学割なんてあるのね。
でもこれは好都合よ、少しでも安くなれば、推し活に影響なんて……。
「トータル十万円(税込)じゃな」
「じ、十万円!?」
「そう、驚かんでくれ。今なら無利子の分割払いがあるのじゃ」
「ぶ、分割払い……ですか」
毎月一万円払っても十ヶ月かかる。
しかも、推し活がまったくできなくなるおまけつき。
こんな理不尽な生活を耐えられるわけないよ。
「ツンデレは、誰でもなれるわけではないのじゃ。選ばれし者、すなわち、この聖なる場所へ辿り着けた者だけが、なれるのじゃよ」
「そ、そうなんですか……。では、ここに辿り着けた私なら、その、ツンデレになれるんですよね?」
「うむ。だが、なれるのではない、ソナタはツンデレ女王としての素質がある。つまり、ツンデレとして生まれ変わるのが、運命ということじゃよ」
「運命……。陰キャな私が生まれ変われる……」
『運命』と『生まれ変われる』、その言葉に私は心が揺れ動いてしまう。断る気満々のはずが、不思議とツンデレという言葉に惹かれていく。
気がつけば、私の心はツンデレという魅力の塊に支配されていた。もし、陰キャからツンデレへとクラスチェンジできたのなら、鷺ノ宮君と付き合える可能性が高くなるし……。
「そうじゃよ、ソナタがここに導かれたのも運命。ソナタがツンデレという新しい道へ進むのは、この世界の理。つまり、頂点に君臨することが可能なのじゃ!」
「世界の理……。陰キャな私がツンデレとして、世界の頂点に君臨できる……そういうことなんですかっ!」
陰キャでも勝ち組になれる可能性。
いや、勝ち組どころではない、世界の頂点に君臨だなんて。この怪しい言葉を私は完全に信じ、ツンデレへのジョブチェンジを決めた。
わずか数分という短い時間での決断。
陰キャを卒業でき新たな道が私を待っている。
それなら、迷うという選択肢は私に存在しないのよ。
「もちろん、それも可能じゃよ。意中の殿方を手中に収めるのだって、呼吸するのと同じくらい簡単なことじゃよ」
「意中の相手……。わ、わかりました。私、契約します。そして、必ずやツンデレを極めてみせます!」
「うむ、それがいい。この契約書に、住所、氏名、年齢と学校名を書けば契約成立じゃ」
「はいっ! で、でも……お金って、結構かかるんですよね……」
高校生の私にとって、金銭問題は非常に大きい。私の一ヶ月のお小遣いは一万円、これ以上は払うのは無理なのだ。もちろんその一万円には──推し活代も含まれている。
だから、このチャンスはもったいないけれど、金額によっては断ろうと思っていた。
「そうじゃの、本物のツンデレを学ぶのじゃから、安くはないのぉ。入会金込みで学割をつけて──」
学割なんてあるのね。
でもこれは好都合よ、少しでも安くなれば、推し活に影響なんて……。
「トータル十万円(税込)じゃな」
「じ、十万円!?」
「そう、驚かんでくれ。今なら無利子の分割払いがあるのじゃ」
「ぶ、分割払い……ですか」
毎月一万円払っても十ヶ月かかる。
しかも、推し活がまったくできなくなるおまけつき。
こんな理不尽な生活を耐えられるわけないよ。
0
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説

Color4
dupi94
青春
高校一年生の岡本行雄は、自分のすべてから目を背けるほどの事故から始まった悲惨な中学時代を経て、新たなスタートを心待ちにしていた。すべてが順調に始まったと思ったそのとき、彼は教室に懐かしい顔ぶれを見つけました。全員が異なる挨拶をしており、何が起こったのかについての記憶がまだ残っています。ユキオは、前に進みたいなら、まず自分の過去と向き合わなければならないことを知っていました。新しい友達の助けを借りて、彼は幼なじみとの間の壊れた絆を修復するプロセスを開始しました。


僕とやっちゃん
山中聡士
青春
高校2年生の浅野タケシは、クラスで浮いた存在。彼がひそかに思いを寄せるのは、クラスの誰もが憧れるキョウちゃんこと、坂本京香だ。
ある日、タケシは同じくクラスで浮いた存在の内田靖子、通称やっちゃんに「キョウちゃんのこと、好きなんでしょ?」と声をかけられる。
読書好きのタケシとやっちゃんは、たちまち意気投合。
やっちゃんとの出会いをきっかけに、タケシの日常は変わり始める。
これは、ちょっと変わった高校生たちの、ちょっと変わった青春物語。


三姉妹の姉達は、弟の俺に甘すぎる!
佐々木雄太
青春
四月——
新たに高校生になった有村敦也。
二つ隣町の高校に通う事になったのだが、
そこでは、予想外の出来事が起こった。
本来、いるはずのない同じ歳の三人の姉が、同じ教室にいた。
長女・唯【ゆい】
次女・里菜【りな】
三女・咲弥【さや】
この三人の姉に甘やかされる敦也にとって、
高校デビューするはずだった、初日。
敦也の高校三年間は、地獄の運命へと導かれるのであった。
カクヨム・小説家になろうでも好評連載中!

坊主の誓い
S.H.L
青春
新任教師・高橋真由子は、生徒たちと共に挑む野球部設立の道で、かけがえのない絆と覚悟を手に入れていく。試合に勝てば坊主になるという約束を交わした真由子は、生徒たちの成長を見守りながら、自らも変わり始める。試合で勝利を掴んだその先に待つのは、髪を失うことで得る新たな自分。坊主という覚悟が、教師と生徒の絆をさらに深め、彼らの未来への新たな一歩を導く。青春の汗と涙、そして覚悟を描く感動の物語。
ヤマネ姫の幸福論
ふくろう
青春
秋の長野行き中央本線、特急あずさの座席に座る一組の男女。
一見、恋人同士に見えるが、これが最初で最後の二人の旅行になるかもしれない。
彼らは霧ヶ峰高原に、「森の妖精」と呼ばれる小動物の棲み家を訪ね、夢のように楽しい二日間を過ごす。
しかし、運命の時は、刻一刻と迫っていた。
主人公達の恋の行方、霧ヶ峰の生き物のお話に添えて、世界中で愛されてきた好編「幸福論」を交え、お読みいただける方に、少しでも清々しく、優しい気持ちになっていただけますよう、精一杯、書いてます!
どうぞ、よろしくお願いいたします!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる