ツンデレヒロインの逆襲

朽木昴

文字の大きさ
上 下
1 / 83
第1話 ツンデレ誕生

ツンデレ誕生 1ページ目

しおりを挟む
 ツンデレこそが最強の属性。

 たとえ、負けフラグの代名詞になり下がろうとも、私は絶対に諦めない。過去の栄光を取り戻すまで戦い続けるのよ。

 だって、真のヒロインはツンデレに決まってるんですから。

 口ではツンデレキャラ最高とか言っておいて、リアルじゃウザいとか、ホント意味わからない。みんな本当にワガママなのよ。

 だから私は決めたの。

 ツンデレこそが真の女王だと、絶対に認めさせてみせます。そう、今ここにツンデレ普及宣言をしました。

 はい、ここはテストに必ず出るところだから、忘れないように。

 この私が、全世界にツンデレブームを巻き起こして、あ、げ、る。


 私の名は西園寺朱音さいおんじあかね。今年から、高校二年生になったばかりのピチピチ十六歳JKよ。赤い髪は肩まであって、贔屓目に見れば美少女なの。

 えっ、ピチピチが死語ですって? そんなわけありません、現に私のような現役のJKが使っているのですからね。

 でもそんなこと、どうでもいいの。

 だって今日は、付き合い始めてちょうど一ヶ月の記念日。相手はもちろん、金坂学園で指折りのイケメン、鷺ノ宮拓馬さぎのみやたくまなのです。

 カレったら、大切な話があるって、朝から私を校舎裏に呼び出したの。きっと、サプライズプレゼントでも、用意してくれてるのかしら。

 ほら、早速カレがやってきました。プレゼントは何かな、イヤリングかな、それともペアリングとかかな。もうなんでもいいよ。拓馬からのプレゼントなら、私喜んじゃうんだからね。

「ごめん、朱音。待たせちゃったかな」

「まったく、ホントくるのが遅いわよ。危うく干物になる寸前だったじゃないの。で、でも、この私を待たせていいのは……拓馬だけ、なんだからね」

「それで、朝早くから呼び出した理由なんだけど……」

 来たわよ、ついにサプライズプレゼントよ。

 こういうのって、貰えるとわかっていても胸が高鳴るのよね。

「早く理由を教えてくれないかしら? 私、焦らされるのって、大っ嫌いなの。か、勘違いしないでよね。拓馬以外の人って、意味なんだから……」

「大丈夫、焦らしたりなんてしない、だからハッキリ言おう。俺と別れてくれ!」

「へっ……」

 思わず固まってしまいました。確か今日は、エイプリルフールでしたっけ。ううん、そんなはずはない、だってそれは三日前なんだし。ということは──幻聴、そうよ、これは幻聴に違いない。

 『ツンデレ』が好きな拓馬がそんなこと言うわけが──。

「ほら、よくツンデレ最強とか言うじゃん? 実際はどうなんかなって思ったんだけど、やっぱり、イラッとくるよね。というわけで、たった今から、俺とお前はただの他人なっ」

「ち、ちょっと、拓馬。冗談、よね、エイプリルフールはとっくに終わって──」

「ふっ、冥土の土産に教えてあげよう。実は俺、ツンデレ貧乳よりも、魔性的な巨乳の方が好きなんだ。いやぁ、真逆なタイプと一ヶ月も付き合っただなんて、俺にしては頑張ったよな。それじゃ、バイバイ~、二度と会うことないけどね~」

「ははははは……」

 これは夢ね、きっと私はまだ暖かいお布団の中にいて、目が覚めたら『夢でよかった』ってオチなのよ。こんな始業式の日にフラれるだなんて、現実世界なわけが──あるに決まってるし。もう最悪よ、春は出会いと別れの季節だけど、ワンシーズンに同じ人で経験するなんて、ありえなさすぎるよ。

 学校……サボっちゃおうかな。

 フラれた直後に学校なんて、行けるわけないし。
 いやいや、ダメよ、それは絶対にダメ、なんだから。

 って、もうこんな時間、急がないと遅刻しちゃうじゃないのぉぉぉぉ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

家路

tsu
青春
主人公が青春時代に偶然出会った三人の女の子との思い出話。

僕とやっちゃん

山中聡士
青春
高校2年生の浅野タケシは、クラスで浮いた存在。彼がひそかに思いを寄せるのは、クラスの誰もが憧れるキョウちゃんこと、坂本京香だ。 ある日、タケシは同じくクラスで浮いた存在の内田靖子、通称やっちゃんに「キョウちゃんのこと、好きなんでしょ?」と声をかけられる。 読書好きのタケシとやっちゃんは、たちまち意気投合。 やっちゃんとの出会いをきっかけに、タケシの日常は変わり始める。 これは、ちょっと変わった高校生たちの、ちょっと変わった青春物語。

将棋部の眼鏡美少女を抱いた

junk
青春
将棋部の青春恋愛ストーリーです

三姉妹の姉達は、弟の俺に甘すぎる!

佐々木雄太
青春
四月—— 新たに高校生になった有村敦也。 二つ隣町の高校に通う事になったのだが、 そこでは、予想外の出来事が起こった。 本来、いるはずのない同じ歳の三人の姉が、同じ教室にいた。 長女・唯【ゆい】 次女・里菜【りな】 三女・咲弥【さや】 この三人の姉に甘やかされる敦也にとって、 高校デビューするはずだった、初日。 敦也の高校三年間は、地獄の運命へと導かれるのであった。 カクヨム・小説家になろうでも好評連載中!

坊主の誓い

S.H.L
青春
新任教師・高橋真由子は、生徒たちと共に挑む野球部設立の道で、かけがえのない絆と覚悟を手に入れていく。試合に勝てば坊主になるという約束を交わした真由子は、生徒たちの成長を見守りながら、自らも変わり始める。試合で勝利を掴んだその先に待つのは、髪を失うことで得る新たな自分。坊主という覚悟が、教師と生徒の絆をさらに深め、彼らの未来への新たな一歩を導く。青春の汗と涙、そして覚悟を描く感動の物語。

ヤマネ姫の幸福論

ふくろう
青春
秋の長野行き中央本線、特急あずさの座席に座る一組の男女。 一見、恋人同士に見えるが、これが最初で最後の二人の旅行になるかもしれない。 彼らは霧ヶ峰高原に、「森の妖精」と呼ばれる小動物の棲み家を訪ね、夢のように楽しい二日間を過ごす。 しかし、運命の時は、刻一刻と迫っていた。 主人公達の恋の行方、霧ヶ峰の生き物のお話に添えて、世界中で愛されてきた好編「幸福論」を交え、お読みいただける方に、少しでも清々しく、優しい気持ちになっていただけますよう、精一杯、書いてます! どうぞ、よろしくお願いいたします!

切り札の男

古野ジョン
青春
野球への未練から、毎日のようにバッティングセンターに通う高校一年生の久保雄大。 ある日、野球部のマネージャーだという滝川まなに野球部に入るよう頼まれる。 理由を聞くと、「三年の兄をプロ野球選手にするため、少しでも大会で勝ち上がりたい」のだという。 そんな簡単にプロ野球に入れるわけがない。そう思った久保は、つい彼女と口論してしまう。 その結果、「兄の球を打ってみろ」とけしかけられてしまった。 彼はその挑発に乗ってしまうが…… 小説家になろう・カクヨム・ハーメルンにも掲載しています。

処理中です...