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第15話 手紙を出すわたくしは可愛いかしら?

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 正式に国王となったレオの隣にはレーナがいる。
 まだ婚約という形だがすでに王妃扱い。
 その権力は国王であるレオを超えそうなほど。

 美貌の前に意見する者などいない。着実に下地を作り上げていった。

「やっとここまでたどり着きましたわ。道はまだまだ長いですから油断は禁物ね」

 大きな部屋にレーナひとりだけ。
 ここは婚約者専用として用意された部屋で、今は机に向かい何かを書いている最中。

 これも復讐の一部。
 書いているのは二通の手紙だ。
 一通はセーナへで、もう一通はというと──。

「ふふふ、これで完璧ですわ。この計画で復讐はさらに進みますわ」

 不敵な笑みを浮かべレーナは手紙に封をする。
 あとはこの手紙を届けて貰うだけ。メイドを呼び出すとすぐ届けるよう命令した。


 手紙の一通はグラッセ公爵家へすぐに届けられた。
 受け取ったのはセーナ、すぐにレーナからの手紙だと分かり、開封して中身を確認しようとしていた。

「お姉様から手紙だなんて。きっと復讐に関するものに違いないわね」

 双子特有の力なのだろう。レーナからの手紙は、次の手伝いについてだと感じ取る。次なる計画はどんなものなのか。期待と不安が半々で混じり合う中、セーナは尊敬する姉からの手紙に目を通した。

『セーナにお願いありますの。明日の夜、そうね20時にお城の裏庭に来て欲しいのよ。そこでレオ国王と密会を演じてもらいたいの。レオ国王にはわたくしがおびき出しますわ』

 ようやく自分が役に立てる──セーナは復讐の手伝いが出来るのを心から喜んでいた。が、それと同時に湧き上がる初めての感情がセーナを困惑させる。

 レオと会える喜び。なぜ、喜ばなければならない?
 姉を傷つけた相手は、たとえ王族だろうと許すはずがない。
 それなのに、憎しみと未知の感情がブレンドされ心を大きく揺らがす。

 このままでは目的を達成できない。セーナは心を凍らせて感情を固定した。

「もう大丈夫ですわ。わたくしのお姉様を傷つけた罪は重いのですから。万死に値する屈辱を与えなければなりませんし」

 冷徹な瞳でレーナの力になろうと固く誓いを立てる。
 この先は絶対に揺らいだりしない。
 外道にはそれ相応の罰を与える必要がある。

 勝負のドレス服に身を包み、セーナは自己暗示でレーナへと変貌した。

「これでバッチリかしら。変……じゃないですわよね」

 鏡の前で身だしなみをチェックするセーナ。
 凍らせた心が溶けないよう注意しながら、念入りに時間をかけて何度も見直す。

 平常心を保たなければ──その言葉を頭に繰り返し、セーナは約束の地へと向かっていった。
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