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第四部 私の心はミシェルとともに
その1
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「初めてことねの部屋に来たけど、思ったより綺麗にしてるようね」
「お母さん、どうして、今さら私のアパートに来たのよ」
私は何を期待してるんだろう。
もしかして、昔みたいに私を愛してくれるって思ってるのかな。ううん、そんなこと私は期待していない。お母さんは私を捨てたのよ、そんな簡単に許せるわけないから。
そんなことより──私は本当にネックレスを持ってたんだね。写真もそうだったけど、本当に私はミシェルの運命の人でいいんだよね。
「だから、ことねのために、このネックレスを持ってきたのよ。まさか、あのとき会った人が王子様だったなんてねぇ。私もビックリしちゃった」
「お母さんは、あのときのことを覚えてるの?」
「そりゃ、覚えてるわよ。突然ことねがいなくなるんだもん。慌てて探したに決まってるじゃないの」
昔は心配してくれてたんだね。
それはそうだよね、だってあの頃は弟がまだ生まれてなかったもん。お母さんとお父さんが変わったのは、弟が生まれてからなんだし。
それにしても、これがミシェルと約束したときのネックレスかぁ。すごく綺麗だし、見てるだけで心が洗われるようだよ。
こんなステキなネックレスを忘れるだなんて、私ってよほど余裕がなかったんだね。これも全部、お母さんとお父さんが悪いんだよ。私から普通の幸せを奪ったんだから……。
「そうだったんだ……」
「それより、そちらのお方がミシェル王子よね?」
「うん、そうだよ」
「あのときは本当に助かりました。今でも感謝を忘れていませんよ」
「いえいえー、あの時間は僕にとっても大切なモノとなりまーした。それで、琴音、この方は琴音のお母さんなのでーすか?」
「えっ、うん……。一応、お母さんなんだよ」
『一応』なんだから……。血の繋がりがあるとはいえ、この数年は私を実の子扱いしてなかったし。でも、戸籍上は母親になってるから本当のお母さんなんだけど、一応をつけないと、あの出来事がなかったように感じてしまう。
だって、私がお父さんから虐待を受けてたのに、お母さんは見て見ぬふりしてたんだよ? そんな人を普通にお母さんだなんて、私には呼べないよ……。
「ことね、一応ってなんですかっ。実の母親に向かってなんて言い方なのっ。ミシェル王子、すみません、私のしつけがなっていなくて」
何よ、しつけがなってないって。
あんなのは、しつけでもなんでもない。私はがサンドバッグになってるを見て、ただ楽しんでただけじゃないの。
私の言葉なんて聞こえないフリして、近所の人たちの前だけ仲のいい親子を演じてたのは誰よ。
やっぱり何も変わってないのかな。
ネックレスを届けてくれたのは嬉しいけど、ここに来た目的は本当にそれだけなのかな。お願いだから、やっと手に入れたこの幸せな時間だけは、どうか壊さないで欲しい。
そう思うのは無理ないよ。だって、理由もなく私の中で不安が膨れ上がっていってるんだから。
確かに目の前にいるのは、紛れもないあのお母さんだよ。私から愛を奪った張本人のお母さん本人なの。だって、お母さんの性格がいきなり変わるなんて、私には思えないし。
「そんなことはないでーすよ。琴音は礼儀正しくて優しい人でーす」
「そう言っていただけると、ありがたいですね」
うん、お母さんを信じられないよ。何の連絡もなしに私を訪ねて来たんだよ? 何か企んでるに決まってるもん。それとも、お父さんに何か言われて来たのかな。むぅ、絶対に何か隠してるはずだよね。
なんの前触れもなく訪ねてきたお母さんに、私は疑念を抱いてしまう。だって、こんなことは一度もなかったの。
入学式のときだって姿を見せなかった。
ひとり暮らしを始めるときも──ううん、このときは来ない方が嬉しかったけど。
ミシェルと話し込んでいるお母さんを見て、私は完全に不機嫌となり、鋭い目つきで睨んでいた。
「それでですね、ミシェル王子。このネックレスがあれば、ことねはミシェル王子と結婚できるのでしょうか?」
「お母さん、どうしてそんなこと言うのよっ」
「どうしてって……ことねの幸せのために決まってるじゃないの」
えっ、本当に私の幸せを願っているの?
もしかして、ちゃんと心を入れ替えて、昔みたいに私を愛してくれるの?
もしそうなら──私はあの出来事を許してもいい。普通の幸せな生活が送れるなら、あの苦痛はなかったことにしてもいいよ。
お母さんを見る目が次第に穏やかになっていく。
ミシェルのように信じていいんだよね?
二度と私を裏切ったりしないよね?
すぐ目の前にある幸せに、私の心は大きく揺れ動いていた。ミシェルだけじゃなく、家族との関係も戻せるなら、私だけがガマンすればいいだけ。
絶対に許さないと決めたはずだけど、もう一度だけなら信じてもいいかな。普通の幸せなら、少しぐらい欲張っても構わないよね。
「ありがとう、お母さん。私、嬉しくて涙が出ちゃうよ」
「もう、ことねったらっ。そうだ、ミシェル王子もことねも、夕食まだでしょ? せっかくだから、私が作ってあげるわね」
「琴音のお母さんの手料理は楽しみでーす」
「私もお母さんの手料理は、久しぶりだよ」
お母さんの温かい料理を最後に食べたのは、いつだったかな。食事が変わったのは、お母さんが弟を身ごもったときだよね。
あれは確か……小学五年生の頃だったはず。
ごく普通のご飯は私の前から消え、朝食はコンビニのおにぎりやサンドイッチ、夕食なんてスーパーで買ってきた半額のお弁当だった。
冷たいお弁当は、たとえレンジで温めても、本当の温かさを感じることはない。生まれてくる弟を優先したために、お母さんの手料理が私の前から姿を消してしまった。
『美味しい』というその言葉は、お父さんに怒られたくないから出たモノ。もちろん本音は、お母さんの手料理には遠く及ばないほど美味しくなかった。
もしここで、お父さんに逆らいでもしたら──あの地下室が私を待ってるだけ。だから、作り笑顔でウソをつくしか、私の選択肢はなかったの。
「すぐ作るから、二人とも待っててね」
あの後ろ姿を見るのも久しぶりだった。小さい頃はよく手伝ってたんだけど、いつから手伝わなくなったかな。
今のお父さんと暮らし始めたとき?
ううん、手伝わなくなったのはもう少し前から。あれは、お母さんが最初のお父さんとケンカしてからだよ。いつもお母さんが不機嫌になって、怖くなった私は手伝うのをやめてしまったの。
それしても、今日のお母さんはご機嫌だよね。
キッチンから鼻歌が聞けえてくるし。
あの歌を聞いてると、なんだか心が落ち着くよ。懐かしさもあるけど、楽しかった頃の思い出が私の中に蘇ってくるからね。
「二人ともお待たせっ。冷蔵庫にあるもので作ってみたんだげ、お口に合うかしら」
「これが日本で言う、おふくろの味というやつでーすね。美味しそうな香りがしてまーす」
「懐かしさを感じるかな。お母さんごめんね、急に作ってもらったりして」
「これくらい気にしなくてもいいのよー。さっ、温かいうちに召し上がってね」
湯気が立つお母さんの手料理かぁ。
当たり前に食べてた頃は何も感じなかったけど、やっぱりお母さんの味が一番だよね。ただ美味しいだけじない、そこに愛情という隠し味があるんだから。
数年ぶりに食べるお母さんの手料理に、私の口元は自然な笑みが浮かんでしまう。静かに目を瞑ると、頭の中で再生されるほな、お母さんと一緒にした料理。私もお母さんも満面の笑みで何かを話していた。
「お母さん、どうして、今さら私のアパートに来たのよ」
私は何を期待してるんだろう。
もしかして、昔みたいに私を愛してくれるって思ってるのかな。ううん、そんなこと私は期待していない。お母さんは私を捨てたのよ、そんな簡単に許せるわけないから。
そんなことより──私は本当にネックレスを持ってたんだね。写真もそうだったけど、本当に私はミシェルの運命の人でいいんだよね。
「だから、ことねのために、このネックレスを持ってきたのよ。まさか、あのとき会った人が王子様だったなんてねぇ。私もビックリしちゃった」
「お母さんは、あのときのことを覚えてるの?」
「そりゃ、覚えてるわよ。突然ことねがいなくなるんだもん。慌てて探したに決まってるじゃないの」
昔は心配してくれてたんだね。
それはそうだよね、だってあの頃は弟がまだ生まれてなかったもん。お母さんとお父さんが変わったのは、弟が生まれてからなんだし。
それにしても、これがミシェルと約束したときのネックレスかぁ。すごく綺麗だし、見てるだけで心が洗われるようだよ。
こんなステキなネックレスを忘れるだなんて、私ってよほど余裕がなかったんだね。これも全部、お母さんとお父さんが悪いんだよ。私から普通の幸せを奪ったんだから……。
「そうだったんだ……」
「それより、そちらのお方がミシェル王子よね?」
「うん、そうだよ」
「あのときは本当に助かりました。今でも感謝を忘れていませんよ」
「いえいえー、あの時間は僕にとっても大切なモノとなりまーした。それで、琴音、この方は琴音のお母さんなのでーすか?」
「えっ、うん……。一応、お母さんなんだよ」
『一応』なんだから……。血の繋がりがあるとはいえ、この数年は私を実の子扱いしてなかったし。でも、戸籍上は母親になってるから本当のお母さんなんだけど、一応をつけないと、あの出来事がなかったように感じてしまう。
だって、私がお父さんから虐待を受けてたのに、お母さんは見て見ぬふりしてたんだよ? そんな人を普通にお母さんだなんて、私には呼べないよ……。
「ことね、一応ってなんですかっ。実の母親に向かってなんて言い方なのっ。ミシェル王子、すみません、私のしつけがなっていなくて」
何よ、しつけがなってないって。
あんなのは、しつけでもなんでもない。私はがサンドバッグになってるを見て、ただ楽しんでただけじゃないの。
私の言葉なんて聞こえないフリして、近所の人たちの前だけ仲のいい親子を演じてたのは誰よ。
やっぱり何も変わってないのかな。
ネックレスを届けてくれたのは嬉しいけど、ここに来た目的は本当にそれだけなのかな。お願いだから、やっと手に入れたこの幸せな時間だけは、どうか壊さないで欲しい。
そう思うのは無理ないよ。だって、理由もなく私の中で不安が膨れ上がっていってるんだから。
確かに目の前にいるのは、紛れもないあのお母さんだよ。私から愛を奪った張本人のお母さん本人なの。だって、お母さんの性格がいきなり変わるなんて、私には思えないし。
「そんなことはないでーすよ。琴音は礼儀正しくて優しい人でーす」
「そう言っていただけると、ありがたいですね」
うん、お母さんを信じられないよ。何の連絡もなしに私を訪ねて来たんだよ? 何か企んでるに決まってるもん。それとも、お父さんに何か言われて来たのかな。むぅ、絶対に何か隠してるはずだよね。
なんの前触れもなく訪ねてきたお母さんに、私は疑念を抱いてしまう。だって、こんなことは一度もなかったの。
入学式のときだって姿を見せなかった。
ひとり暮らしを始めるときも──ううん、このときは来ない方が嬉しかったけど。
ミシェルと話し込んでいるお母さんを見て、私は完全に不機嫌となり、鋭い目つきで睨んでいた。
「それでですね、ミシェル王子。このネックレスがあれば、ことねはミシェル王子と結婚できるのでしょうか?」
「お母さん、どうしてそんなこと言うのよっ」
「どうしてって……ことねの幸せのために決まってるじゃないの」
えっ、本当に私の幸せを願っているの?
もしかして、ちゃんと心を入れ替えて、昔みたいに私を愛してくれるの?
もしそうなら──私はあの出来事を許してもいい。普通の幸せな生活が送れるなら、あの苦痛はなかったことにしてもいいよ。
お母さんを見る目が次第に穏やかになっていく。
ミシェルのように信じていいんだよね?
二度と私を裏切ったりしないよね?
すぐ目の前にある幸せに、私の心は大きく揺れ動いていた。ミシェルだけじゃなく、家族との関係も戻せるなら、私だけがガマンすればいいだけ。
絶対に許さないと決めたはずだけど、もう一度だけなら信じてもいいかな。普通の幸せなら、少しぐらい欲張っても構わないよね。
「ありがとう、お母さん。私、嬉しくて涙が出ちゃうよ」
「もう、ことねったらっ。そうだ、ミシェル王子もことねも、夕食まだでしょ? せっかくだから、私が作ってあげるわね」
「琴音のお母さんの手料理は楽しみでーす」
「私もお母さんの手料理は、久しぶりだよ」
お母さんの温かい料理を最後に食べたのは、いつだったかな。食事が変わったのは、お母さんが弟を身ごもったときだよね。
あれは確か……小学五年生の頃だったはず。
ごく普通のご飯は私の前から消え、朝食はコンビニのおにぎりやサンドイッチ、夕食なんてスーパーで買ってきた半額のお弁当だった。
冷たいお弁当は、たとえレンジで温めても、本当の温かさを感じることはない。生まれてくる弟を優先したために、お母さんの手料理が私の前から姿を消してしまった。
『美味しい』というその言葉は、お父さんに怒られたくないから出たモノ。もちろん本音は、お母さんの手料理には遠く及ばないほど美味しくなかった。
もしここで、お父さんに逆らいでもしたら──あの地下室が私を待ってるだけ。だから、作り笑顔でウソをつくしか、私の選択肢はなかったの。
「すぐ作るから、二人とも待っててね」
あの後ろ姿を見るのも久しぶりだった。小さい頃はよく手伝ってたんだけど、いつから手伝わなくなったかな。
今のお父さんと暮らし始めたとき?
ううん、手伝わなくなったのはもう少し前から。あれは、お母さんが最初のお父さんとケンカしてからだよ。いつもお母さんが不機嫌になって、怖くなった私は手伝うのをやめてしまったの。
それしても、今日のお母さんはご機嫌だよね。
キッチンから鼻歌が聞けえてくるし。
あの歌を聞いてると、なんだか心が落ち着くよ。懐かしさもあるけど、楽しかった頃の思い出が私の中に蘇ってくるからね。
「二人ともお待たせっ。冷蔵庫にあるもので作ってみたんだげ、お口に合うかしら」
「これが日本で言う、おふくろの味というやつでーすね。美味しそうな香りがしてまーす」
「懐かしさを感じるかな。お母さんごめんね、急に作ってもらったりして」
「これくらい気にしなくてもいいのよー。さっ、温かいうちに召し上がってね」
湯気が立つお母さんの手料理かぁ。
当たり前に食べてた頃は何も感じなかったけど、やっぱりお母さんの味が一番だよね。ただ美味しいだけじない、そこに愛情という隠し味があるんだから。
数年ぶりに食べるお母さんの手料理に、私の口元は自然な笑みが浮かんでしまう。静かに目を瞑ると、頭の中で再生されるほな、お母さんと一緒にした料理。私もお母さんも満面の笑みで何かを話していた。
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