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第三部 ミシェルの目的と素性
その4
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「ミシェル、本当に信じていいの?」
「あぁ、もちろんさ。僕は絶対に琴音を悲しませない。約束するよ」
「うん……。ありがと、ミシェル。それに、その……そろそろ、離れてくれると嬉しいんだけど。別にイヤではないの、ただ、少し恥ずかしいから……」
「おっと、これは失礼しましーた。これでは警察に通報されてしまーいますね」
「や、やっぱり、離れたらダメ、だよ。もし今離れたら──本当に通報しちゃうんだから」
もう少しだけ、この優しさに包まれていたい。
この温もりを自分だけのモノにしていたい。
だって私の心音は、こんなにも心地よいリズムを奏でているんだから。
私は静かに目を瞑り、ミシェルの温かい手の甲にそっと自分の手を重ねる。彼から伝わる温もりで、さっきまで心に燻っていた黒いモヤは消え去り、かわりに眩い光のオーラが私を優しく包んでくれた。
人を好きになるって、辛いこともあるけど、こういう嬉しさもあるんだね。私、ミシェルを好きになってよかったよ。たとえどんな結果になっても、私はずっとミシェルのことを──。
この日、私の記憶はここで途絶えてしまった。いつお風呂に入ったのか、ベッドにはどうやって入ったのか。もしかして、すべてが最初から夢だったのか……。私は答えを知る術もなく運命の日の朝を迎えた。
「ミシェル、いってくるね。学校で待ってるから、ちゃんと来てよねっ」
「もちろんでーす。必ず行きまーすので、学校で待っていてくーださい」
爽やかな青空が、運命の日を見守っているように見えた。学校に着いた私は、HRが終わるとすぐに、ミシェルを手伝うため職員室へと足を運んだ。
そこで先生から言われた役割は引き剥がし役。
つまり、女子生徒がなかなか離れなかったら、私が強引に引き離して、次の女子生徒に順番をまわすの。なんていうか一番損な役割よね。
そんなことしたら、目の敵にされるのは間違いないし。
でも、友だちがいない私にとっては、どうでもいいんだけどね。
「それでは、澤村さんお願いしますね?」
「わかりました、先生。では、体育館で準備に取りかかりますね」
先生に一礼して、私は体育館へと早足で向かい始めた。
誰に嫌われようともいい、ミシェルにだけ嫌われなければそれでいいの。だって私の心はすでに──ミシェル色に染っていたのだから。
「琴音、遅いでーす。僕は待ちくたびれまーした」
「ちょっと、ミシェル、学校ではあまり馴れ馴れしくしないでよっ」
「どうしてですかー? 琴音は僕が嫌いになってしまいましたかー?」
「そ、そうじゃないのよ。私がミシェルを嫌いになるはずないもん。だって、ミシェルと仲がいいって知られたら、学校にいられなくなっちゃうから」
「わかりまーした。琴音がそう言うなら、学校では『澤村さん』と呼びまーすね」
自分でそれを望んだのに──呼び方が変わっただけで、ミシェルとの距離が遠くなったように感じてしまう。鋭い刃物が胸に突き刺さり、私は激しい痛みに襲われていた。
名前をどう呼ばれたからって、ミシェルとの関係が変わるわけないじゃない。それに、ミシェルが私を捨てるわけないもの。
そうよ、ミシェルは絶対に、私を悲しませたりしないんだからね。私との約束を破るわけないんだもん……。
降って湧いた不安を振り払い、私はミシェルの運命の人探しの準備に取りかかる。とは言っても、机やパイプイスを並べるだけなので、準備はあっという間に終わりを告げた。
これで準備が完全に整い、私はミシェルの隣で静かに始まるのを待っていた。緊張が最高潮に達する中、運命の人が本当に現れないのか、心の中は不安でいっぱいだった。
「それでは時間になりましたので、ミシェル王子の『運命の人探し』を始めたいと思います。では、準備通りに案内しますー」
ようやく始まったけど、ミシェルが運命の人は現れないって言ってたよね。なんでそう言いきれるんだろう。
まるで運命の人が誰だか知っているような──でも、知ってたなら、なんでその人に言わないのかな。だって、ミシェルは運命の人が好きで、しかも私の笑顔も好きって──いったいどういうことなの。
ただ確実にわかってるのは、ミシェルが私に何かを隠してるってことだよ。なんでそれを話してくれないのかは、わからないけど……。
「きゃーっ、ミシェル王子様っ。握手してもらえますかっ」
「それくらい、かまいませーん」
「あぁ、夢みたいです、本物の王子様と握手できるなんて、私、嬉しすぎて倒れちゃいそうです」
この人は握手ぐらいで何を言ってるのよ。
私なんてミシェルに……二回もハグしてもらったんだからね。
二回目なんて──恋人のようなハグだったんだよっ。
嫉妬心丸出しで女子生徒をつい睨んでしまう。その怒りは女子生徒だけでなく、笑顔で握手するミシェルにも向けていた。
むぅ、ミシェルもミシェルよねっ。
あんなにデレデレしちゃってさっ。
私のときにはそんな顔しなかったのに。
そうよ、あんな作り笑顔、私の前では──。
それがわかってるのに、なんで私はイライラしてるの。
どうして、ミシェルが他の子と話してると胸が苦しくなるの。どうしてなの……。
「そろそろ時間なので、ミシェル……王子から離れてもらえないでしょうか?」
「えー、少しくらいオーバーしたっていいじゃないっ。心が狭すぎるんじゃないー?」
誰が心が狭いって言うのよっ。
ワガママなのはアナタの方でしょ。
だいたい、運命の人がアナタなわけないよ。こんな傲慢な人がミシェルの運命の人なわけないし、そもそもミシェルは、運命の人は現れないって言ってたからね。
「後ろがつかえてますので、運命の人でなければお引き取りください」
まったく、この人はいつまで手を握ってるつもりなのよ。
ミシェルもさっさと手を離せばいいのにっ。
それにしても……凄い人の列だよね。この中に本当にミシェルの運命の人はいないのかな。これだけいるんだから、もしかしたらってことも──ううん、ミシェルが来ないって言ったんだから、私はそれを信じるだけよ。
強気な言葉の裏では、『もしかしたら』という不安が膨らみ始める。八つ当たりで女子生徒を強引に引き離し、私は不安を少しでも和らげようとした。
「はい、次の人どーぞー」
「ミシェル王子、お会いできて光栄です。これが、あのとき頂いたネックレスにございます」
「これでーすか、確かによく似ていまーすね。ではー、僕とどこで出会ったのか、覚えていまーすか?」
えっ、まさかこの人が運命の人なの。
確かにミシェルの言う通り、私が見てもよく似てるけど、そんなことって……。もし、この人が運命の人だったら、ミシェルは私にウソをついてたってとこに……。
ミシェル、私は本当に信じていいのよね?
あの言葉、『私を悲しませる結果にはさせない』それを信じていいんだよね?
不安が限界まで膨れ上がる中、私は息をのみ女子生徒からの言葉に耳を傾けていた。
「え、えっと、それはですね……。そ、そうだっ、木々が生い茂る公園で私はミシェル王子と出会ったんです」
あれっ、そう言えば私も似たような記憶があったよね。
あれは確か──そうよ、思い出したよ。道に迷って泣いてたら、綺麗なお花畑みたいのが見えて、他人の庭だと知らずに、つい中に入っちゃったんだよね。
まさか、あんな広い庭を個人が持ってるだなんて知らなかったし。
懐かしい思い出よね。しかも、私はひとりの男の子とそこで出会ったんだよね。泣いてる私の頭を優しく撫でてくれてんだよ。
「あぁ、もちろんさ。僕は絶対に琴音を悲しませない。約束するよ」
「うん……。ありがと、ミシェル。それに、その……そろそろ、離れてくれると嬉しいんだけど。別にイヤではないの、ただ、少し恥ずかしいから……」
「おっと、これは失礼しましーた。これでは警察に通報されてしまーいますね」
「や、やっぱり、離れたらダメ、だよ。もし今離れたら──本当に通報しちゃうんだから」
もう少しだけ、この優しさに包まれていたい。
この温もりを自分だけのモノにしていたい。
だって私の心音は、こんなにも心地よいリズムを奏でているんだから。
私は静かに目を瞑り、ミシェルの温かい手の甲にそっと自分の手を重ねる。彼から伝わる温もりで、さっきまで心に燻っていた黒いモヤは消え去り、かわりに眩い光のオーラが私を優しく包んでくれた。
人を好きになるって、辛いこともあるけど、こういう嬉しさもあるんだね。私、ミシェルを好きになってよかったよ。たとえどんな結果になっても、私はずっとミシェルのことを──。
この日、私の記憶はここで途絶えてしまった。いつお風呂に入ったのか、ベッドにはどうやって入ったのか。もしかして、すべてが最初から夢だったのか……。私は答えを知る術もなく運命の日の朝を迎えた。
「ミシェル、いってくるね。学校で待ってるから、ちゃんと来てよねっ」
「もちろんでーす。必ず行きまーすので、学校で待っていてくーださい」
爽やかな青空が、運命の日を見守っているように見えた。学校に着いた私は、HRが終わるとすぐに、ミシェルを手伝うため職員室へと足を運んだ。
そこで先生から言われた役割は引き剥がし役。
つまり、女子生徒がなかなか離れなかったら、私が強引に引き離して、次の女子生徒に順番をまわすの。なんていうか一番損な役割よね。
そんなことしたら、目の敵にされるのは間違いないし。
でも、友だちがいない私にとっては、どうでもいいんだけどね。
「それでは、澤村さんお願いしますね?」
「わかりました、先生。では、体育館で準備に取りかかりますね」
先生に一礼して、私は体育館へと早足で向かい始めた。
誰に嫌われようともいい、ミシェルにだけ嫌われなければそれでいいの。だって私の心はすでに──ミシェル色に染っていたのだから。
「琴音、遅いでーす。僕は待ちくたびれまーした」
「ちょっと、ミシェル、学校ではあまり馴れ馴れしくしないでよっ」
「どうしてですかー? 琴音は僕が嫌いになってしまいましたかー?」
「そ、そうじゃないのよ。私がミシェルを嫌いになるはずないもん。だって、ミシェルと仲がいいって知られたら、学校にいられなくなっちゃうから」
「わかりまーした。琴音がそう言うなら、学校では『澤村さん』と呼びまーすね」
自分でそれを望んだのに──呼び方が変わっただけで、ミシェルとの距離が遠くなったように感じてしまう。鋭い刃物が胸に突き刺さり、私は激しい痛みに襲われていた。
名前をどう呼ばれたからって、ミシェルとの関係が変わるわけないじゃない。それに、ミシェルが私を捨てるわけないもの。
そうよ、ミシェルは絶対に、私を悲しませたりしないんだからね。私との約束を破るわけないんだもん……。
降って湧いた不安を振り払い、私はミシェルの運命の人探しの準備に取りかかる。とは言っても、机やパイプイスを並べるだけなので、準備はあっという間に終わりを告げた。
これで準備が完全に整い、私はミシェルの隣で静かに始まるのを待っていた。緊張が最高潮に達する中、運命の人が本当に現れないのか、心の中は不安でいっぱいだった。
「それでは時間になりましたので、ミシェル王子の『運命の人探し』を始めたいと思います。では、準備通りに案内しますー」
ようやく始まったけど、ミシェルが運命の人は現れないって言ってたよね。なんでそう言いきれるんだろう。
まるで運命の人が誰だか知っているような──でも、知ってたなら、なんでその人に言わないのかな。だって、ミシェルは運命の人が好きで、しかも私の笑顔も好きって──いったいどういうことなの。
ただ確実にわかってるのは、ミシェルが私に何かを隠してるってことだよ。なんでそれを話してくれないのかは、わからないけど……。
「きゃーっ、ミシェル王子様っ。握手してもらえますかっ」
「それくらい、かまいませーん」
「あぁ、夢みたいです、本物の王子様と握手できるなんて、私、嬉しすぎて倒れちゃいそうです」
この人は握手ぐらいで何を言ってるのよ。
私なんてミシェルに……二回もハグしてもらったんだからね。
二回目なんて──恋人のようなハグだったんだよっ。
嫉妬心丸出しで女子生徒をつい睨んでしまう。その怒りは女子生徒だけでなく、笑顔で握手するミシェルにも向けていた。
むぅ、ミシェルもミシェルよねっ。
あんなにデレデレしちゃってさっ。
私のときにはそんな顔しなかったのに。
そうよ、あんな作り笑顔、私の前では──。
それがわかってるのに、なんで私はイライラしてるの。
どうして、ミシェルが他の子と話してると胸が苦しくなるの。どうしてなの……。
「そろそろ時間なので、ミシェル……王子から離れてもらえないでしょうか?」
「えー、少しくらいオーバーしたっていいじゃないっ。心が狭すぎるんじゃないー?」
誰が心が狭いって言うのよっ。
ワガママなのはアナタの方でしょ。
だいたい、運命の人がアナタなわけないよ。こんな傲慢な人がミシェルの運命の人なわけないし、そもそもミシェルは、運命の人は現れないって言ってたからね。
「後ろがつかえてますので、運命の人でなければお引き取りください」
まったく、この人はいつまで手を握ってるつもりなのよ。
ミシェルもさっさと手を離せばいいのにっ。
それにしても……凄い人の列だよね。この中に本当にミシェルの運命の人はいないのかな。これだけいるんだから、もしかしたらってことも──ううん、ミシェルが来ないって言ったんだから、私はそれを信じるだけよ。
強気な言葉の裏では、『もしかしたら』という不安が膨らみ始める。八つ当たりで女子生徒を強引に引き離し、私は不安を少しでも和らげようとした。
「はい、次の人どーぞー」
「ミシェル王子、お会いできて光栄です。これが、あのとき頂いたネックレスにございます」
「これでーすか、確かによく似ていまーすね。ではー、僕とどこで出会ったのか、覚えていまーすか?」
えっ、まさかこの人が運命の人なの。
確かにミシェルの言う通り、私が見てもよく似てるけど、そんなことって……。もし、この人が運命の人だったら、ミシェルは私にウソをついてたってとこに……。
ミシェル、私は本当に信じていいのよね?
あの言葉、『私を悲しませる結果にはさせない』それを信じていいんだよね?
不安が限界まで膨れ上がる中、私は息をのみ女子生徒からの言葉に耳を傾けていた。
「え、えっと、それはですね……。そ、そうだっ、木々が生い茂る公園で私はミシェル王子と出会ったんです」
あれっ、そう言えば私も似たような記憶があったよね。
あれは確か──そうよ、思い出したよ。道に迷って泣いてたら、綺麗なお花畑みたいのが見えて、他人の庭だと知らずに、つい中に入っちゃったんだよね。
まさか、あんな広い庭を個人が持ってるだなんて知らなかったし。
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