おーばー！〜弱小女子野球部の監督に元最強選手の男子高校生が就任してハーレムになった件〜【明鈴高校女子野球部一年生前編】

球速と立ち上がり

　四番の諏訪亜澄は凡退に終わり、一回裏の守備が始まる。

　ピッチャーの豊川黒絵は上背があり、165cmの巧を悠に超えている。

「180cmくらいか……？」

　バレー部やバスケットボール部に入っても活躍できそうな彼女は、すでに100キロ前後のスピードボールを誇る。プロ女子野球の最速は130キロ程度、平均でも110キロ前後ということを考えると、球速においてはプロ一歩手前のレベルだ。

　ただ、残念なことにボールのキレが足りないという点もあるが、成長次第では良い投手になるだろう。

　初球。内角へのストレート。ストライクとなった投球だが、相手はのけぞった。ここまでのスピードボールは強豪ならいてもおかしくないが、そこら辺の高校にゴロゴロいるわけではなく驚いているのだろう。

「珠姫さん。彼女の最高球速わかりますか？」

　巧は隣でスコアを取っているマネージャー、本田珠姫に声をかける。彼女はスコアを取りながら答えた。

「うちにあるスピードガン誤差あるから正確じゃないけど、そのときは108キロとか出たからだいたい100キロ台後半くらいかな？」

「なるほど」

　スピードガンに誤差があるのはいかがなものかとと思うが、目安がわかるだけまだマシだと思おう。

　そして二球目、三球目とストレート。もう一つ問題があるとすればストレートしか投げれないところだ。伸び代はあるため、今後の成長は楽しみなピッチャーだ。

　スピードに慣れていない相手バッターは次々と三振に倒れ、初回は三者凡退と上々の立ち上がりだった。