上 下
117 / 199

第二十七章「クラン戦」(8)

しおりを挟む


「前線部隊撤退完了!!」
「ソリマチ隊、ただちに展開開始!! 重装騎兵部隊は援護せよ!!」

 ヴェンツェルの指揮でソリマチ隊長の部隊が前進する。
 ソリマチ隊長たちが引きずっている鋼鉄製の尖った部品は、若獅子祭の時に作った移動式馬防柵ばぼうさくの改良品だ。
 あの時の馬防柵よりもコンパクトだが、木製ではなく鋼鉄製なので、強度はあの時の比ではない。
 馬防柵は野盗対策にもなるので、あの時に作った移動式の馬防柵は、ヴァイリス警備隊や領地の治安維持に悩む貴族たちから発注依頼が殺到していた。
 これはリザーディアンたちの鍛造技術が優れていたので、試しにソリマチさんたちと共同開発してみた、いわば新商品の試作品なのだ。
 今後のクラン運営のための金策の一つだ。
 クラン戦まで日がなかったので三台しか作れなかったが、隘路あいろが多い今回の戦いではこの三台で十分に役に立つはずだ。



「止まれ、止まれぇ!!」

 敵の騎兵部隊が鋼鉄製の馬防柵を前に足を止め、本陣への突撃を中断する。

「城攻めで防衛陣を張っている……? ベルゲングリューンという男、何を考えている?」
「ふん、このままでは勝てぬと踏んで悪あがきをしているのだろうよ」
「……だが、悪あがきとはその場しのぎでするものだ。この馬防柵は入念に用意されたものではないか……」
「いずれにしても、無理に攻める必要はないだろう。数の上では我々が有利だ。クラン戦には制限時間があるからな。このまま時間切れまで待っていれば労せずして勝てる」

 さすが、熟練の冒険者たちが集まっているだけあって、冷静な判断だ。
 こちらの前線部隊は後退し、敵主力部隊は馬防柵を挟んで膠着こうちゃく状態に入った。

『ヴェンツェル、ユリシール殿は?』
『ガンツさんたち冒険者部隊が五人がかりで運搬してくれた。問題ない』
『よかった、ありがとう』

 ガンツさんたちも、ユリシール殿の甲冑の中身を見たらぶったまげるに違いない。
 ちなみに、鉄仮面卿ことメアリーは最初から正体に気付いていたそうだ。
 さすがである。
 記事にしちゃだめだよって一応言うと、「当たり前じゃないですか!!」って逆ギレされた。
 本当は記事にしたくしてしたくてたまらないんだと思う。

『一応こちらの準備は終わったが……、ベル、仕掛けるか?』
『うーん、ヴェンツェルはどう思う?』
『さすがに手練てだれが多いだけあって、前線への集結が思ったほどではないな。これでは期待していたほどの効果は見込めないだろう』
『そうなんだよね。長期戦に持ち込む気なんだろうな、もう一手、何かが欲しいところなんだけど……』
『すまない、ベル。話は後だ』

 ヴェンツェルは通信を切って、前線部隊に向かって指揮棒タクトを振った。

「弓兵部隊の矢が来るぞ!! キム、エタン、トーマス、重装騎士アーマーナイト隊は弓に備えろ! 広域魔法防護プロテクション!!」

「さ、ようやく出番がきたぜ」

 キムがトーマスの肩をがしっと掴んで笑う。

「うん、行こう!」

 キムが、僕特製の可変盾ヴァリアブルシールドを強く握ると、ジャキッと小気味のいい音を立てて、軽量の中型盾から大盾へと拡張された。
 その瞬間、大盾が魔法金属ミスリル特有の青白い光を放ち、一気に重量感が増した。 

「キムくん、そ、それ……」
「ああ、まつおさんがわざわざ設計して特注したんだってさ。あいつもマメな奴だぜ……」

 トーマスや周囲の驚愕の表情に機嫌を良くしたキムが、照れくさそうに言った。

「前の盾をうんこまみれにした償いのつもりなんだろうが……、そんな気、遣わなくていいってのに」

 キムはそう言いながら、みんなを引率して最前線に立ちはだかる。
 弓兵の矢の嵐が降り注ぐ、敵陣の真っ只中に。

「な、なんだあいつ……」
「いかれてやがる……」
「くっ……、こちらが攻めないからって、ナメやがって……」
「名前すらバカにしてやがる……」

 鋼鉄の馬防柵ごしに待機している冒険者部隊が、キムの盾を見てざわついている。
 僕がキムの盾に施した工夫は三つある。
 一つは中型盾の上下を拡張した大盾に変形するという機構。
 もう一つは、視界確保だ。
 大型盾は身体の半分以上を覆うので、敵の姿や動きを視認しづらい。
 そこで、盾の上部に無色透明な水晶の龍の鱗を埋め込んだことで、視界が確保できるようにしたのだ。
 素材は、リザーディアンの集落で、はじまりの勇者が水晶の龍を殺害した遺留品であるとして長老たちが僕たちに突きつけた水晶の龍のあごの一部を使った。

 そしてもう一つの仕掛けは……。

「へっ、よくわからんが、どうやら俺の新型盾に恐れをなしたらしいな」
「「「「「そういうことじゃねぇよ!!!!」」」」」

 冒険者部隊が得意満面のキムに食って掛かった。
 
「『御存知!!』ってなんだ? 御存知じゃねぇし!」
「最強タンクってなんだよ!」
「てめぇ、突撃する時は覚えてろよ!! キムラMK2!!!」
「へっ、そうかそうか。まつおさんばかり目立ってたが、とうとう日陰者の俺の名も冒険者達の間で噂されるようになったってわけか……。最強タンクなんて呼ばれていたとは……」
「「「「「だから、そういうことじゃねぇよ!!!!」」」」」

 敵陣営の冒険者達が一斉にツッコんだ。

(ぷぷっ、大成功……)

 僕はキム達のやりとりを見て必死に笑いをこらえた。

「……あれ、キムは気付いてないの?」

 前線から戻ってきて身体を休めていたユキが言った。

「魔法光の反射の関係で、正面から見ないとわからないんだ」
「……あんたもエグいことするわね……ぷっ……ぷぷっ……」
「そう言いながら、ユキもめちゃくちゃ笑いをこらえてるじゃないか」

 僕がキムの盾に施した三つ目の仕掛け……それは、刻印だ。
 キムの魔法盾には肉眼では見えない小さな溝が掘ってあって、大盾に変形すると、魔法金属の発する青白い光によって、盾全体にある文字列がハッキリと浮かび上がるようになっている。

「だ、だって『御存知!! 最強タンク、キムラMK2参上!!』って……、ぷぷっ、あはははっ!! もうだめ、おなかいたい……っ」
「ぷぷっ、でも効果テキメンだったでしょ? 壁役タンクはいかに敵の憎悪ヘイトを自分に集めるかが重要なんだ。血の気の多い冒険者達があんなのを見たら……」
「あとでバレたら、あんたキムに追いかけ回されるわよ……」
「何言ってるんだ、一緒に笑ったユキとメルと閣下も共犯でしょ」
「え、メル? ジルベール?」

 ユキが後ろを振り向いて、メルとジルベールが馬から落ちそうなほど笑い転げているのを確認した。
 
「とりあえず、流れ矢が当たったら大変だから、あんたはもう少し後方に下がってたほうがいいんじゃない?」

 こちらに飛んできた矢をカランビットナイフでキン、と弾いて、ユキが言った。
 弓兵部隊の一斉射撃のほとんどはキムやトーマス、エタンと彼が率いる重装騎士アーマーナイト隊がほぼ完全に防いでいるものの、たまにこちらにも矢が飛来してきている。

「うーん、そうなんだけどねー。アレが気になるんだよね」

 僕は高台の上にいる灰色のフードを着た男を指差した。
 その風貌からして明らかに魔導師ウィザードの類なのだが、なぜか杖を持たず、こちらをじっと見据えている。
 
「なに、アイツ……」
「ヴェンツェルの話だと、召喚魔法師サモナーらしい」
召喚魔法師サモナー……、そんなものまで抱えているの。さすが大手クランね……」
「ずっとこちらの様子をうかがっていたんだけど、弓兵が動き出してから前に出てきた。そろそろ仕掛けてくると思うんだ」

 案の定、僕がそう言うや否や、灰色のローブを身にまとった男は虚空に向かって指二本で、まるで一筆書きで何かを描くように指を3回動かした。
「えーと、下から上に『/』こう書いて、上から下に『\』こうで、右から左に『_』こう書く。次にそこから下に『/』、左から大きく『_』こう書いて、下から上に『\』こう、次に右に『―』こう書いて、そこから上から下に大きく『/』で、下から上に大きく『\』こう書いて、最後に大きく『―』こうか……」
「……さっきから何言ってんの?」

 ユキが怪訝そうに僕の顔を見上げた。

「あの召喚魔法師サモナーの手の動きを真似したんだ」
「……それ、何か意味があるの?」
「さぁ……。でも、これ、なんの形だろうと思って」

 僕は召喚魔法師サモナーの手順通りに指を動かしてみながら考える。
 三角形と三角形が重なったような星形のような形……。

「あ、そうか! 一筆書きで六芒星ろくぼうせいの形を描いてるんだ!」
「ちょ、ちょっと! そんなこと言ってる場合じゃないわよ!! 来たわ!!」

 召喚魔法師が指をかざした虚空に青白い魔法陣が浮かび上がり、その瞬間、遠目でもわかるような巨大な魔物モンスターが姿を現した。
 いや、魔物というよりは……魔獣のような……。

「あ、あれは……地獄の番犬ヘルハウンドッ?!」
「ヘルハウンド?! ケルベロスの頭が1つみたいなやつ?」 

 ケルベロスは魔王の居城を守ると言われている、三つの頭を持つ魔犬だ。
 ヴァイリス市民にとっては馴染みがある名前だけど、ほとんど伝説上の魔物モンスターで、『いい子にしてないとケルベロスに食われちまうよ!』みたいな使い方をされる。

「そうよ! ケルベロスほどじゃないけど、相当強いわ。しかも……三体もいる! 速い! もう来るわよ!!」
「うわっ、っていうかあいつら、僕を狙ってない?!」
「だから下がってなさいって言ったのに! バカ!」
「そんなこと言われても、何が来るか見ておかないとわかんないじゃん!」

 僕とユキがギャーギャー言ってる間に、巨大な魔犬三体が高台から一斉に飛び立った。
 そのへんの馬ぐらいありそうな体躯は黒い体毛で覆われていて、咆哮は上げず、それが逆に不気味だ。
 ハッ、ハッ、と息を吐きながら、自陣営の冒険者たちを器用にかきわけ、鋼鉄製の馬防柵をなんなく飛び越えると、キムたちの盾の上に飛び乗った。

「うわっ……、くそっ!!」
「うそだろ……キムが……押し切られてる……」
「すまん、そっちに行くぞ!!」

 盾ごと押し倒されたキムやその他の防衛隊に構わず、ヘルハウンドたちが一気にこちらに迫ってくる。

「ベル、気をつけて!!」

 メルの鋭い声が響いた。

「ユキ、即答頼む! ブレス攻撃はある? 属性は?」 
「火炎のブレスを吐いてくる!」
「ゾフィア、閣下、メル、加勢を頼む! 後衛職は下がって! ブレスの巻き添えを食らわないように! 残りの人たちはギュンターさんを守って! 奴らを絶対に近づけないで!」

 僕は急いで指示を出し、鞘にある小鳥遊たかなしの柄に手を掛けた。
 刀身は、まだ抜かない。
 ミスティ先輩との戦いから、僕は鞘をギリギリまで抜かない戦法の研究をしていた。
 ヘルハウンドのような敏速な敵に攻撃をかわさせないためには、なるべく鞘を見せないように深く構え……。

(だめだっ、速いっ!!)

「殿っ!!」
「ベルッ!!」

 一気に飛び込んできた一体のヘルハウンドに、僕は攻撃をあきらめ、左腕をかざした。
 地獄の番犬が僕の腕に喰らい付こうとするその瞬間、左手に水晶龍の盾が出現し、その瞬間、まばゆい閃光が放たれる。

「ギャウッ!!!!」

 視界を奪われたヘルハウンドがたじろいだ隙に、僕は足を踏み込んで小鳥遊を振り抜いた。
 シュパァァァッ――!!
 首から胴体にかけて、斬撃がキレイに入った確かな感触。
 だが……。

「グルルルルゥゥッ!!!」
「殿ッ、気をつけろ!! こやつは相当、身体が分厚い!!」
「みたいだね……」

 もう一体と交戦しているゾフィアと背中合わせになりながら、僕が答える。
 致命的なダメージを与えたと思われた斬撃だったが、思ったほどのダメージとならず、鮮血が噴き出るようなこともない。

「卿、これは長期戦は避けられんぞ。離脱できるタイミングがあれば卿だけ離れ、全体の指揮を続行したほうが良いのではないか」
「うん、それができるといいんだけどね……」
「ベル、ジルベール、それもちょっと厳しそうよ。……敵の大魔法が来る」

(大魔法……? さっきのオールバックくんの反撃に懲りてないのか……?)

 ……いや、先程の大魔法からずいぶん時間が経っている。
 知的生命体と戦闘する時には、絶対に考えていなければならないことがある。
 それは、交戦時間が長くなれば長くなるほど、必ず何か対策をしてくるということだ。

「オールバックくん! いる?!」
「ヘルハウンドと戦闘中に会話とは器用なことだな。ああ、状況は把握している。ただ、敵が何をしてくるかはわからない」
「君の弱点はナニ? あっ、火炎ブレスが来るぞ!! みんな、僕の側に集まって!!」

 アウローラのマントはブレス攻撃への耐性がある。
 僕はマントを広げてヘルハウンドが吐き出した炎のブレスを受け止め、交戦中のゾフィア、メル、ジルベールがその中に入る。

「……会話、続けたほうがいいのか?」
「聞いてる! 落ち着いて話を続けて!」

 遠慮がちに尋ねるオールバックくんに、僕は答えた。

「まず、無属性魔法だな。他の魔導師が魔法防壁バリアで防ぐのと変わらない。属性防御と違って無効化までには至らないということだ。反射リフレクションも使えない。……ちなみに、君の隕石群召喚魔法は無属性な上に、無数の隕石が飛んでくるので対象オブジェクトが多すぎるので反射どころではないし、仮に反射できたとしても対象は詠唱者ではなく、宇宙という……」
「落ち着いて話をしすぎだから!! 大魔法来るから!! 無属性の大魔法って他にはあるの?」
「あるにはあるが、ほとんどが失われた魔法だ。単体魔法でいくつかあるぐらいだな。つまり私の弱点は……」
「ユキ、近くにいるよね?!」
「いる! ギュンターさんたちにブレスが届きそうだったから援護してた! 何? クロ―に持ち替えて加勢するよ!」
「こいつらの耐性って何?! 回答2秒で!」
「え、えっと、炎と雷!!」
『っ!! メッコリン先生! ジルヴィア姉さん、いる?!』
『今日はベルちゃんにいっぱい頼ってもらってお姉ちゃん幸せ。 右側から柵を越えようとした一団にお仕置きしてきたところよ。どうしたの?』
『っ、矢が刺さった……』

 僕は思わず息を飲んだ。

『っ?! メッコリン先生、大丈夫なの?! すぐに治療を……』
『だ、大丈夫だ……。……その、ケツに刺さったんだ……』
『で、でも先生、大丈夫ですか? これ、右のお尻と左のお尻の肉をまっすぐに貫通しているんじゃありません……?』
『だ、大丈夫です、ジルヴィア先生。大丈夫ですからローブをめくらないでください……。出血もあまりありませんし、たぶん、抜かずにそのままにしていたほうがいいんじゃないかと……』
『どんだけ柔らかいケツしてんですか、メッコリン先生……』
『ぷっ……、ダ、ダメでしょう、ベルちゃん、そんなことメッコリン先生に言ったら……ぷぷっ』
『貴女が一番笑っているじゃないですか……。ローブをめくらないでください』

 お尻に響くのか、メッコリン先生が力なくツッコんだ。

『それ、早めに処置して、やじりを切ってから引き抜くんですよ。放置したり、無理して一気に引き抜いたら穴が広がって、いろんなところからうんこが出るようになりますからね!』
『ぷぷっ!!』
『もう二人とも俺のケツのことは放っておいてくれ!! ジルヴィア先生! ぴろぴろローブをめくらないで!!』

 くだらないことを話しているうちに、魔法陣の色がどんどん濃くなっていく。

『ああっ、もう間に合わない!! 先生たち、炎と雷属性、どっちの防護が得意ですか?!』
『私は攻撃魔法專門だから、全部苦手よ』
『私は魔法付与エンチャント專門だから、全部苦手だ』
『それをさっさと聞きたかったのに! ケツメッコリン!』
『ケ、ケツメッコリン……』

 僕はもう一人のアテに連絡を入れた。

『ユ、ユリシール殿! ユリシール殿はいらっしゃいますか?!』
『話は聞こえておった。安心せい、私はあらゆる全属性の防護魔法が使える』

 聞こえておったって……。
 普通はそれ、聞こえないんですよ、王女殿下。

『さすがです! こちらまで来てもらえますか? 雷魔法の防護をお願いします!!』
『ああ。大船に乗ったつもりでそこにいるがよい』

 ユリシール殿は自信満々にそう言って、通信を切った。

『オールバックくん、炎魔法の防護をお願い! もうすぐ雷魔法の防護担当も来る!』
『……なるほど、敵は双属性で来るということか……!! たしかにそれなら私の属性変更バリアチェンジでも防ぎきれんが……しかし、そんな芸当が……』
『今は他を考えている時間はない! 無属性の大魔法は考えにくいし、仮にそうなら防ぎようがない。そうでないなら、ヘルハウンドに効果がない属性を使ってくるはずだ! それに賭ける!』

 そこまでオールバックくんに伝えてから、僕は周りを見渡した。
 ユリシール殿はどこにいるのだろうか……。
 ガシャ……ガシャ……。
 最前線の重装歩兵アーマーナイト部隊の方から、ずっしりとした足音が聞こえる。
 どうやら、矢が効かないことをいいことに、前線部隊に混じってファイアーボールを連打していたらしい。

 ああ……。
 ユリシール殿……それでは……。
 それでは間に合いません……。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

【完結】家族にサヨナラ。皆様ゴキゲンヨウ。

くま
恋愛
「すまない、アデライトを愛してしまった」 「ソフィア、私の事許してくれるわよね?」 いきなり婚約破棄をする婚約者と、それが当たり前だと言い張る姉。そしてその事を家族は姉達を責めない。 「病弱なアデライトに譲ってあげなさい」と…… 私は昔から家族からは二番目扱いをされていた。いや、二番目どころでもなかった。私だって、兄や姉、妹達のように愛されたかった……だけど、いつも優先されるのは他のキョウダイばかり……我慢ばかりの毎日。 「マカロン家の長男であり次期当主のジェイコブをきちんと、敬い立てなさい」 「はい、お父様、お母様」 「長女のアデライトは体が弱いのですよ。ソフィア、貴女がきちんと長女の代わりに動くのですよ」 「……はい」 「妹のアメリーはまだ幼い。お前は我慢しなさい。下の子を面倒見るのは当然なのだから」 「はい、わかりました」 パーティー、私の誕生日、どれも私だけのなんてなかった。親はいつも私以外のキョウダイばかり、 兄も姉や妹ばかり構ってばかり。姉は病弱だからと言い私に八つ当たりするばかり。妹は我儘放題。 誰も私の言葉を聞いてくれない。 誰も私を見てくれない。 そして婚約者だったオスカー様もその一人だ。病弱な姉を守ってあげたいと婚約破棄してすぐに姉と婚約をした。家族は姉を祝福していた。私に一言も…慰めもせず。 ある日、熱にうなされ誰もお見舞いにきてくれなかった時、前世を思い出す。前世の私は家族と仲良くもしており、色々と明るい性格の持ち主さん。 「……なんか、馬鹿みたいだわ!」 もう、我慢もやめよう!家族の前で良い子になるのはもうやめる! ふるゆわ設定です。 ※家族という呪縛から解き放たれ自分自身を見つめ、好きな事を見つけだすソフィアを応援して下さい! ※ざまあ話とか読むのは好きだけど書くとなると難しいので…読者様が望むような結末に納得いかないかもしれません。🙇‍♀️でも頑張るます。それでもよければ、どうぞ! 追加文 番外編も現在進行中です。こちらはまた別な主人公です。

婚約者の幼馴染?それが何か?

仏白目
恋愛
タバサは学園で婚約者のリカルドと食堂で昼食をとっていた 「あ〜、リカルドここにいたの?もう、待っててっていったのにぃ〜」 目の前にいる私の事はガン無視である 「マリサ・・・これからはタバサと昼食は一緒にとるから、君は遠慮してくれないか?」 リカルドにそう言われたマリサは 「酷いわ!リカルド!私達あんなに愛し合っていたのに、私を捨てるの?」 ん?愛し合っていた?今聞き捨てならない言葉が・・・ 「マリサ!誤解を招くような言い方はやめてくれ!僕たちは幼馴染ってだけだろう?」 「そんな!リカルド酷い!」 マリサはテーブルに突っ伏してワアワア泣き出した、およそ貴族令嬢とは思えない姿を晒している  この騒ぎ自体 とんだ恥晒しだわ タバサは席を立ち 冷めた目でリカルドを見ると、「この事は父に相談します、お先に失礼しますわ」 「まってくれタバサ!誤解なんだ」 リカルドを置いて、タバサは席を立った

裏切りの代償

志波 連
恋愛
伯爵令嬢であるキャンディは婚約者ニックの浮気を知り、婚約解消を願い出るが1年間の再教育を施すというニックの父親の言葉に願いを取り下げ、家出を決行した。 家庭教師という職を得て充実した日々を送るキャンディの前に父親が現れた。 連れ帰られ無理やりニックと結婚させられたキャンディだったが、子供もできてこれも人生だと思い直し、ニックの妻として人生を全うしようとする。 しかしある日ニックが浮気をしていることをしり、我慢の限界を迎えたキャンディは、友人の手を借りながら人生を切り開いていくのだった。 他サイトでも掲載しています。 R15を保険で追加しました。 表紙は写真AC様よりダウンロードしました。

寵愛のいる旦那様との結婚生活が終わる。もし、次があるのなら緩やかに、優しい人と恋がしたい。

にのまえ
恋愛
リルガルド国。公爵令嬢リイーヤ・ロイアルは令嬢ながら、剣に明け暮れていた。 父に頼まれて参加をした王女のデビュタントの舞踏会で、伯爵家コール・デトロイトと知り合い恋に落ちる。 恋に浮かれて、剣を捨た。 コールと結婚をして初夜を迎えた。 リイーヤはナイトドレスを身に付け、鼓動を高鳴らせて旦那様を待っていた。しかし寝室に訪れた旦那から出た言葉は「私は君を抱くことはない」「私には心から愛する人がいる」だった。 ショックを受けて、旦那には愛してもられないと知る。しかし離縁したくてもリルガルド国では離縁は許されない。しかしリイーヤは二年待ち子供がいなければ離縁できると知る。 結婚二周年の食事の席で、旦那は義理両親にリイーヤに子供ができたと言い出した。それに反論して自分は生娘だと医師の診断書を見せる。 混乱した食堂を後にして、リイーヤは馬に乗り伯爵家から出て行き国境を越え違う国へと向かう。 もし、次があるのなら優しい人と恋がしたいと…… お読みいただき、ありがとうございます。 エブリスタで四月に『完結』した話に差し替えいたいと思っております。内容はさほど、変わっておりません。 それにあたり、栞を挟んでいただいている方、すみません。

【完】あの、……どなたでしょうか?

桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー  爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」 見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は……… 「あの、……どなたのことでしょうか?」 まさかの意味不明発言!! 今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!! 結末やいかに!! ******************* 執筆終了済みです。

【完結】20年後の真実

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。 マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。 それから20年。 マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。 そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。 おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。 全4話書き上げ済み。

婚約者に消えろと言われたので湖に飛び込んだら、気づけば三年が経っていました。

束原ミヤコ
恋愛
公爵令嬢シャロンは、王太子オリバーの婚約者に選ばれてから、厳しい王妃教育に耐えていた。 だが、十六歳になり貴族学園に入学すると、オリバーはすでに子爵令嬢エミリアと浮気をしていた。 そしてある冬のこと。オリバーに「私の為に消えろ」というような意味のことを告げられる。 全てを諦めたシャロンは、精霊の湖と呼ばれている学園の裏庭にある湖に飛び込んだ。 気づくと、見知らぬ場所に寝かされていた。 そこにはかつて、病弱で体の小さかった辺境伯家の息子アダムがいた。 すっかり立派になったアダムは「あれから三年、君は目覚めなかった」と言った――。

処理中です...