Endless Dream

宮田

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「自虐性メランコリア」-Azure Blue part 1-

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シャワーを浴び終えると、だいぶ目が覚めてきた。

タオルで全身を拭き、ドライヤーでばさばさと髪を乾かす。

ドライヤーの熱でまた汗をかいてしまうのが嫌だが仕方ない。

「暑い・・・」

夏になると口癖になる。

暑いものは暑いから仕方ない。

地球温暖化の影響からか、年々暑さがどんどん厳しくなっている気がする。

「はぁ・・・」

ただでさえ暑くて気が滅入るのに今日のことを考えると余計憂鬱になる。

今日はレポートの提出日なのだ。

楽に単位が取れることで有名な教授だったはずなのに、どうも今年は違うらしい。 

大学側からもっと厳しくするように注意されたのか、遊び呆けている学生に幻滅したのか、理由は不明だ。

他の授業でも見たことがない量のレポート提出を命じられた。

それもただ提出すればいい訳ではなく、一定水準を満たさなければ単位を貰えないという徹底ぶりだ。

もう二度とあいつの授業は取るかと心に誓った。

精神衛生上良くないし、興味もなく厳しい課題を出される授業を取るメリットがない。

気が滅入ってばかりだ。

部屋に戻り全身にへばりついた憂鬱な気分を纏いながらベッドにダイブした。

「あーーーーーーーーーーーー」

「あ”あ”あ”あ”あ”あ”ぁ”ぁ”!!!!!!!!!!!!!」

行きたくなさ過ぎて枕に顔を突っ込んで叫んでみた。

こんなことならもっと真面目に授業出ておけばよかった。

このレポートの成績次第では留年の2文字もチラついてくる単位の取得数。

大学生なんてこんなもんだろうとサボりまくっていた自分が恨めしい。

時間を戻せるのなら2年前の自分に言ってやりたい。

授業に出ろと。

レポートも一応完成しているし、後は落とされないことを願うだけなのだが、やはり怖いものは怖い。

だが、うだうだ考えても仕方ない。

やれるだけのことはやった。

あとはどっしり構えて時が来るのを待つだけだ。

そんな思考を巡らせながら文字通り身を奮い立たせ、テーブルの上に転がっていた煙草に火をつける。

左手の指に挟んだ煙草から放出された煙は、ため息に色が付いたように力なく天井へ昇っていった。

「ふぅ・・・」

今日も煙草が美味い。

世間の流れと逆行しているのは承知の上だが、何年経ってもこれだけは辞められない。

いつから吸っているかは伏せておくとして。

こうやって煙を吸って吐くことで脳が冴えてくる気がする。

お金の無駄だと分かっていても、身体に悪いと分かっていても、気が付いたら煙草に手が伸びてしまう。

まるでヤク中だなと思った。

「ピピピピピピピピ・・・・・」

スマートフォンのアラームが鳴った。

そろそろ準備しなきゃ。

一気に現実に引き戻す残酷なアラームを止め、僕は憂鬱な気分の上から服を着た。
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