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第五章 蒼と紅の力を合わせて頑張ろう!
48、一夜を共に
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「姫様、ベストカップルおめでとうございます! きっと優勝するって信じてましたよ」
「ありがとう、メルム」
「さぁ、ここからが本番です! 姫様、湯浴みをしてナイトドレスに着替えますよ!」
「は、はひ……」
いつもの三割増しぐらい、メルムが生き生きしてる。
全身を丁寧に磨かれ、むくみをとるかのように念入りにマッサージされて、仕上げに香油を塗られた。髪も丁寧にお手入れされて、サラサラのうる艶髪になった。全体的に軽く巻かれて、自然体に見えつつもフェミニンな印象になった。
ナイトドレスに着替え、鏡に映った自分を見ると、メルムの最高傑作夜バージョンが完成していた。
「これで若様も、姫様にメロメロ間違いなしです! お部屋まではこちらを羽織って下さいね。では、若様のお部屋へご案内致します!」
き、緊張してきた!
深呼吸して心を落ち着けながら、メルムの後を歩く。
「さぁ、着きました! ここが若様の寝室になります」
メルムはノックをして、「若様、姫様をお連れしました」と伝える。数秒もしないうちにガチャっと勢いよくドアが開き、フォルネウス様が迎えて下さった。
「よく来てくれた。さぁ、入ってくれ」
「は、はい」
「若様、私の最高傑作です。泣いて喜んで下さいね」
そう言って、メルムが私の羽織を取ってしまった。うぅ、恥ずかしい。
「それでは私はこれで、失礼致します。姫様、ファイトです!」
め、メルムー!
待って、置いていかないでー!
その羽織返してー!
無情にも、バタンとドアの閉まる音だけが部屋に鳴り響いた。
「な、なんて美しい……天使が舞い降りたのかと思ってしまった……」
そう言ってフォルネウス様は泣いている。感動の涙を流している。すごい、メルム。本当に泣かせたわ……
「お、大袈裟です! あんまりジロジロ見ないで下さい、恥ずかしいです……」
「だ、だめか……?」
な、涙拭いながらそんな哀しそうな顔で言わないで下さい。私が悪いことを言っているような気分になる。
「ダメじゃない、です。フォルネウス様のために、準備してもらったんです、から……ただ、やはりちょっと恥ずかしくて……」
「それならアリシア、父上に上物のワインをもらったのだが、一緒に飲まないか? 気分を和らげるにはちょうどいい」
「ワイン……ですか。私、お酒飲んだことないです」
「ちょうどいい機会だ。少し飲んでみないか? 自分がどこまで飲めるのか知っておく事も大切だ」
「分かりました、チャレンジしてみます」
「準備するから、そこに掛けて待っていてくれ」
「はい、ありがとうございます」
キュポンとコルクを外す音が聞こえる。慣れた手付きでフォルネウス様は、ワイングラスに赤色のワインを注いで下さった。
「フォルネウス様は、よくこうして飲まれてるのですか?」
「そうだな。休みの日はこうしてたまに一人で晩酌する事もある。でも今日は、アリシアが付き合ってくれるから楽しく飲めそうだ」
年齢はそんなに変わらないと思ってたのに、フォルネウス様が急に大人に見えてきたわ。吸血鬼って見た目じゃ年齢が分からないから、少し意外だった。
「さぁ、召し上がれ」
「いただきます」
落とさないように両手でワイングラスを持つ。ふわっと香る甘い果実とアルコールの混じった香りが鼻先につく。
『いいかー、お近づきの最初の一杯は、一気に飲み干すのが礼儀だぞぉー』
雑貨屋のラルドさんの言葉を思い出し、グラスに口をつけた私は、それを一気に飲み干した。
「あ、アリシア?!」
フォルネウス様が焦った様子で隣に来られた。あれ、何だか頭がふわふわする。傾いた身体をフォルネウス様に抱き止められた。
「ふふふ、お近づきの、最初の一杯は~、一気飲みするのが礼儀なんですよね~?」
「だ、誰がそんな事を教えたのだ……」
「お向かいに住んでた~、雑貨屋の~、ラルドさんですよ~!」
「リグレット王国の流儀なのか……」
この後何があったのか、酔っていた私は覚えていない。翌日フォルネウス様に
「いいか、アリシア。絶対に俺以外の男の前で、酒を飲んではダメだ。いいな、これは約束だ!」
と、何故か強く念を押されてしまった。
「あの、私……何か失礼な事をしてしまったのでしょうか?!」
「いや、その……とにかくだ、絶対に俺以外の男の前では飲まないでくれ!」
フォルネウス様は顔を赤くして、何があったのか頑なに教えてくれなかった。
起きた時、きちんとナイトドレスは身に付けていた。ただ少し、リボンの結びが乱れてはいたけれど。寝ている間に擦れてしまっただけだろうし、私は一体何をしてしまったのだろう。
「それならフォルネウス様と一緒になら、いいんですよね?」
「……二人きりの時、だけなら」
おまけ【アリシアに酒を飲ませてはいけない】(フォルネウス視点)
まさかアリシアがワインを一気飲みするなんて思わず、俺は焦っていた。
目の前には完全に酔っているアリシアが居て、無防備にも程がある!
「フォルネウスさま~、みけんにしわが~、よってますよ~」
頬を上気させたアリシアは、無邪気に俺の眉間に手を伸ばしてくる。ほら、ここです、ここーと、無防備に身をつき出してきて、俺はそのままソファーに押し倒されてしまった。
目線のやり場に困っていると、アリシアはご立腹の様子だった。
「なんで~そっぽむいちゃうんですか~、こっちむいてくださいよ~」
「だ、だが……」
大きく前の開いたナイトドレスからは豊満な胸元が丸見えで、俺の理性を壊しにかかるからだとは言えない。
「…………に、………です、か」
途端に大人しくなったアリシアは小さな声で何かを呟いた。ポタポタと流れくる雫が俺のガウンを濡らし、それが涙だと気付いた時には手遅れで
「わたしのこと、きらいに、なったんですね……っ。だから、こっち、むいてくれないん、ですねっ」
アリシアの瞳からポロポロと流れ出す涙が止まらない。
「違う、そうではない!」
涙を拭ってやると、アリシアはまるで子猫のように俺の手に頬をすり寄せてきた。不謹慎だが……か、可愛すぎる。
「だったらぁ、しょうめいして、くださいよぉ!」
膝に乗せたまま、俺はアリシアの涙を唇で優しく拭った。
「愛してるよ、アリシア。世界で一番誰よりも」
最初は触れるだけのキスをした。しかしそれでは満足してくれなかったようで、アリシアはとろんとした瞳で「もっと、してほしいです」とせがんでくる。
角度を変えて今度は深く口付けを交わすと、アリシアもそれに応えてくる。
「ふふふ、あいはせかいをすくうのです。あいにまさるえいようは、ないのです! もっといっぱい、あいしてください」
普段の恥じらうアリシアも可愛いけれど、こうやって求めてくるアリシアも可愛くて仕方ない。そうして調子に乗った罰だろうか。
「あつい、です」
アリシアはそう言って突然ナイトドレスのウエストリボンを解きはじめた。慌ててその手を止めるものの
「あついんです~、はなしてください~」
俺の制止を振り切って、ナイトドレスを脱いでしまった。思わず目を奪われていると
「ふぉるねうすさまも~、あついでしょ~?」
あろうことかアリシアは、今度は俺のガウンを脱がしにかかってきた。しかし途中で睡魔に抗えなかったようで、俺の胸の上で規則正しい寝息を立てて眠ってしまった。
これが俗にいう蛇の生殺しというやつか。
素肌に直に感じるアリシアの温もり。柔らかい肌の感触に目が冴えた俺はその日、一睡も出来なかった。
アリシアに、酒を飲ませてはならない。少なくとも、俺の目の届かない場所では絶対に。
「ありがとう、メルム」
「さぁ、ここからが本番です! 姫様、湯浴みをしてナイトドレスに着替えますよ!」
「は、はひ……」
いつもの三割増しぐらい、メルムが生き生きしてる。
全身を丁寧に磨かれ、むくみをとるかのように念入りにマッサージされて、仕上げに香油を塗られた。髪も丁寧にお手入れされて、サラサラのうる艶髪になった。全体的に軽く巻かれて、自然体に見えつつもフェミニンな印象になった。
ナイトドレスに着替え、鏡に映った自分を見ると、メルムの最高傑作夜バージョンが完成していた。
「これで若様も、姫様にメロメロ間違いなしです! お部屋まではこちらを羽織って下さいね。では、若様のお部屋へご案内致します!」
き、緊張してきた!
深呼吸して心を落ち着けながら、メルムの後を歩く。
「さぁ、着きました! ここが若様の寝室になります」
メルムはノックをして、「若様、姫様をお連れしました」と伝える。数秒もしないうちにガチャっと勢いよくドアが開き、フォルネウス様が迎えて下さった。
「よく来てくれた。さぁ、入ってくれ」
「は、はい」
「若様、私の最高傑作です。泣いて喜んで下さいね」
そう言って、メルムが私の羽織を取ってしまった。うぅ、恥ずかしい。
「それでは私はこれで、失礼致します。姫様、ファイトです!」
め、メルムー!
待って、置いていかないでー!
その羽織返してー!
無情にも、バタンとドアの閉まる音だけが部屋に鳴り響いた。
「な、なんて美しい……天使が舞い降りたのかと思ってしまった……」
そう言ってフォルネウス様は泣いている。感動の涙を流している。すごい、メルム。本当に泣かせたわ……
「お、大袈裟です! あんまりジロジロ見ないで下さい、恥ずかしいです……」
「だ、だめか……?」
な、涙拭いながらそんな哀しそうな顔で言わないで下さい。私が悪いことを言っているような気分になる。
「ダメじゃない、です。フォルネウス様のために、準備してもらったんです、から……ただ、やはりちょっと恥ずかしくて……」
「それならアリシア、父上に上物のワインをもらったのだが、一緒に飲まないか? 気分を和らげるにはちょうどいい」
「ワイン……ですか。私、お酒飲んだことないです」
「ちょうどいい機会だ。少し飲んでみないか? 自分がどこまで飲めるのか知っておく事も大切だ」
「分かりました、チャレンジしてみます」
「準備するから、そこに掛けて待っていてくれ」
「はい、ありがとうございます」
キュポンとコルクを外す音が聞こえる。慣れた手付きでフォルネウス様は、ワイングラスに赤色のワインを注いで下さった。
「フォルネウス様は、よくこうして飲まれてるのですか?」
「そうだな。休みの日はこうしてたまに一人で晩酌する事もある。でも今日は、アリシアが付き合ってくれるから楽しく飲めそうだ」
年齢はそんなに変わらないと思ってたのに、フォルネウス様が急に大人に見えてきたわ。吸血鬼って見た目じゃ年齢が分からないから、少し意外だった。
「さぁ、召し上がれ」
「いただきます」
落とさないように両手でワイングラスを持つ。ふわっと香る甘い果実とアルコールの混じった香りが鼻先につく。
『いいかー、お近づきの最初の一杯は、一気に飲み干すのが礼儀だぞぉー』
雑貨屋のラルドさんの言葉を思い出し、グラスに口をつけた私は、それを一気に飲み干した。
「あ、アリシア?!」
フォルネウス様が焦った様子で隣に来られた。あれ、何だか頭がふわふわする。傾いた身体をフォルネウス様に抱き止められた。
「ふふふ、お近づきの、最初の一杯は~、一気飲みするのが礼儀なんですよね~?」
「だ、誰がそんな事を教えたのだ……」
「お向かいに住んでた~、雑貨屋の~、ラルドさんですよ~!」
「リグレット王国の流儀なのか……」
この後何があったのか、酔っていた私は覚えていない。翌日フォルネウス様に
「いいか、アリシア。絶対に俺以外の男の前で、酒を飲んではダメだ。いいな、これは約束だ!」
と、何故か強く念を押されてしまった。
「あの、私……何か失礼な事をしてしまったのでしょうか?!」
「いや、その……とにかくだ、絶対に俺以外の男の前では飲まないでくれ!」
フォルネウス様は顔を赤くして、何があったのか頑なに教えてくれなかった。
起きた時、きちんとナイトドレスは身に付けていた。ただ少し、リボンの結びが乱れてはいたけれど。寝ている間に擦れてしまっただけだろうし、私は一体何をしてしまったのだろう。
「それならフォルネウス様と一緒になら、いいんですよね?」
「……二人きりの時、だけなら」
おまけ【アリシアに酒を飲ませてはいけない】(フォルネウス視点)
まさかアリシアがワインを一気飲みするなんて思わず、俺は焦っていた。
目の前には完全に酔っているアリシアが居て、無防備にも程がある!
「フォルネウスさま~、みけんにしわが~、よってますよ~」
頬を上気させたアリシアは、無邪気に俺の眉間に手を伸ばしてくる。ほら、ここです、ここーと、無防備に身をつき出してきて、俺はそのままソファーに押し倒されてしまった。
目線のやり場に困っていると、アリシアはご立腹の様子だった。
「なんで~そっぽむいちゃうんですか~、こっちむいてくださいよ~」
「だ、だが……」
大きく前の開いたナイトドレスからは豊満な胸元が丸見えで、俺の理性を壊しにかかるからだとは言えない。
「…………に、………です、か」
途端に大人しくなったアリシアは小さな声で何かを呟いた。ポタポタと流れくる雫が俺のガウンを濡らし、それが涙だと気付いた時には手遅れで
「わたしのこと、きらいに、なったんですね……っ。だから、こっち、むいてくれないん、ですねっ」
アリシアの瞳からポロポロと流れ出す涙が止まらない。
「違う、そうではない!」
涙を拭ってやると、アリシアはまるで子猫のように俺の手に頬をすり寄せてきた。不謹慎だが……か、可愛すぎる。
「だったらぁ、しょうめいして、くださいよぉ!」
膝に乗せたまま、俺はアリシアの涙を唇で優しく拭った。
「愛してるよ、アリシア。世界で一番誰よりも」
最初は触れるだけのキスをした。しかしそれでは満足してくれなかったようで、アリシアはとろんとした瞳で「もっと、してほしいです」とせがんでくる。
角度を変えて今度は深く口付けを交わすと、アリシアもそれに応えてくる。
「ふふふ、あいはせかいをすくうのです。あいにまさるえいようは、ないのです! もっといっぱい、あいしてください」
普段の恥じらうアリシアも可愛いけれど、こうやって求めてくるアリシアも可愛くて仕方ない。そうして調子に乗った罰だろうか。
「あつい、です」
アリシアはそう言って突然ナイトドレスのウエストリボンを解きはじめた。慌ててその手を止めるものの
「あついんです~、はなしてください~」
俺の制止を振り切って、ナイトドレスを脱いでしまった。思わず目を奪われていると
「ふぉるねうすさまも~、あついでしょ~?」
あろうことかアリシアは、今度は俺のガウンを脱がしにかかってきた。しかし途中で睡魔に抗えなかったようで、俺の胸の上で規則正しい寝息を立てて眠ってしまった。
これが俗にいう蛇の生殺しというやつか。
素肌に直に感じるアリシアの温もり。柔らかい肌の感触に目が冴えた俺はその日、一睡も出来なかった。
アリシアに、酒を飲ませてはならない。少なくとも、俺の目の届かない場所では絶対に。
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