5 / 68
黄金の瞳をもつ狼
飛ばされたリーマンは無職になった
しおりを挟む
昨夜、取りしらべを受けた建物へ通された。壁ぎわの棚へたくさんの書物が置かれ、事務的な仕事をおこなう部屋のようだ。背もたれのあるカウチへ腰をおろせば、いままで座っていた木の椅子がガラクタに思える。
ツァルニは筒状の書類をひろげ、金属製の尖ったペンで文字を綴っている。トルコを彷彿とさせるオリエンタルな顔立ち、無愛想かつ鋭い表情なので気づかなかったがこちらも見惚れるほどいい男だった。
湊がぼんやり眺めていたら、ニコリとも笑わないツァルニは1枚の紙を差し出しサインをするよう求めた。
「ここへ署名を」
「へあっ!? ……あのぅ、書かれてる内容が読めないのですが」
ローマ字に似た字だというのはわかるが、単語や文章としてはまったく読めない。困っているとツァルニは書かれた文章を読みあげた。ここはロマス帝国に属するプラフェ州と呼ばれる地域、内容は住む上で守らなければならない帝国の法律への同意と湊の情報だ。
「いまのミナトの住所は兵舎に隣接する建物だが……、兵士になる気はあるか? 」
ツァルニの問いかけに湊は首がとれるくらい真横へブンブンふった。ジム通いで鍛えた身体だが、軍隊経験もなければ格闘をしたこともない平和な国のサラリーマン。そもそも昨日から出会う男たちとは体格に差がありすぎ、きっと肩がぶつかっただけでも吹き飛んでしまう。
あわてた様子の湊に目元を緩めたツァルニは他の案を提示した。
「そうなると、あの建物からは転居しなければならない。町へ住むにしても働き口を探す必要があるが、新しく生活を始めるならヴァトレーネの町は最適だ」
現在の部屋は兵士たちに用意された国の住宅、町の中心から離れた場所にある。出ていくまで余裕はあるけど町で暮らすのも色々と費用はかかる。
身元不詳の男をしばらく置いてくれるのはありがたい。しかし持ち物もなく着ていた服だけ、大使館があれば自国へトンボ返りできるかもしれない。
「ほんとうに東の果てに日本という島、ないんですかね? 」
「ラルフ様から聞いている。東方の知人にも尋ねたが、東のはしに水耕栽培で生計を立てる民はいるが大陸内だそうだ。南の沿岸部にある小さい島を除き、国を建てられる海の島は数えるほどしかないが日本という国はないな」
「あー……やっぱりそうですか」
ダメ元で聞いてみたが帰ってくる答えは同じだった。確かめに行くにしても何カ月もかかり、準備も必要になるとツァルニは説明する。ガックリうなだれた湊は書類へサインしたあと退室した。
見たことのない場所、現代と異なる服装、古い式典でもないのに馬車や馬へ乗る習慣。最初はタイムスリップしたのかと思ったけどわからない、湊は外側の回廊から空をながめた。遠い上空にうかぶ雲のかたまりは、あきらかに異質で神殿のようにも見える。視界へ入ってしまった湊の世界にはなかったもの。
「どこなんだよ……ここ」
迷子のつぶやきは風にのって消えた。
「……気を取りなおして情報収集だな」
飛ばされたサラリーマンは無職になった。ツァルニの情報から他の職をさがす必要がありそうだ。
回廊を歩きまわれば3階建ての住居がみえた。湊の世界でいうところのアパートだ。訓練を終えた男たちが回廊をぞろぞろと歩いてくる。この国の人は平均的に背が高く、湊は汗くさい群れに埋もれた。まったく癒される光景ではない、男たちは気にする様子もなく湊ごと移動する。
その足元へ可愛らしい少年が懸命についてくる。
「エリーク! 」
「お兄ちゃん! 」
天使のごとき少年を見つけて声をかけた。太もも丈のチュニックから伸びるむさ苦しい大腿筋の群れにまざって歩いている。
「エリーク、知ってる人? 」
兵士のなかでは若く細身の青年が口をひらいた。エリークが説明すると青年は握手を交わし湊を引きよせる。細いと言っても兵士のひとり、力は強い。
「うわっ!? 」
「僕はシヴィル、よろしく」
ハグされて頭上から声が聞こえた。突然の行動でビックリしたけど、こちらの挨拶の仕方みたいだ。気さくなシヴィルと会話しながら歩いていると数人の兵士たちが水浴びしていて、彼もチュニックを脱いで水浴びを始めた。これが美女ならうれしいけど実際は筋肉の群れ。
兵士たちに倣ってシャツを脱ぎ水浴びをする。しかしキレイな川から引かれた水は冷たく、文明的な生活を送ってきた湊にとっては少々辛い。
同じシャツを着ようとしたら、シヴィルが兵士の支給品の服を持ってきてくれた。紐止めのトランクスに木綿布を重ねて縫っただけのチュニック、腰元を紐で縛るとサイズが大きくだぶついた。服を洗濯へ出せるようだが、一張羅のスーツは手洗いして部屋へ干すことにした。
「ミナトの髪、夜色だね~」
手ぬぐい布で髪を拭いていたらシヴィルが手伝う。染めてない黒髪は自国では珍しくもない色だがこの国では少ない、ツァルニのように黒っぽい毛色の人もいるけど灰褐色のまざったブルネットだ。
「お風呂みたいなのって無いの? 」
「風呂? 風呂ならあるよ」
丈夫な兵士と違って毎日水浴びはきびしい、ところがあっさりした口調で答えが返ってきた。兵舎の向こう側に浴場があると聞き、ムダな水浴び時間を過ごしてしまった湊はうなだれる。田舎の村出身のエリークに至っては風呂の概念すらない。
「えぇ……じゃあここで水浴びしてるのは何でだよ? 」
「住居とは反対側だし、メンドウクサイから? 僕も寒い日しか入らないかなぁ。ツァルニは暑い日も寒い日も長風呂だよ」
シヴィルは肩をすくめて浴場まで案内してくれた。銭湯に似た石造りの浴室を兵士たちは利用している。武士のごとく湯へ浸かったツァルニを発見して親近感がわいた。
兵舎のまわりは兵士の住居と入浴施設、近くの山には見張り台がある。街道を南へ下れば町が見えた。周辺を調べてるうちに夕食の時間になり食堂へ向かう。
夜警を除き、明るくなれば起き、暗くなれば寝る生活の兵士は多い。活動時間中にたくさん食べるため夜の食事は質素。昼間の物より薄くて食べやすいパンへチーズが添えられ、葡萄酒は浴びるほど用意されていた。
朝は麦粥を食し、だいたい毎日同じメニューらしい。ここにはグルメはいないと湊は確信した。
「うまい食事だって? 僕は酒があったら充分さ! 」
酔ったシヴィルは湊と肩をくむ。細面のイケメンなのに手づかみで食べる様は荒々しい。湊の国の食事情を話すと身を乗りだし、タコやイカ料理について熱心に聞いている。この国も海側の一部で食べるものの、内陸出身のシヴィルは見たことがないようだ。
「ヌルヌルの足だらけを食べるの? なにそれ、おもしろ~い。ツァルニ、こんどお土産に買ってきてよ~」
「気をつけろミナト、シヴィルに変な物を教えると収拾がつかなくなるぞ」
チェシャ猫のように笑うシヴィルの横で黙々と食べていたツァルニが忠告した。その後、底なしの酒飲みたちに付き合わされそうなところをエリークに助けられ無事部屋へ帰った。
ツァルニは筒状の書類をひろげ、金属製の尖ったペンで文字を綴っている。トルコを彷彿とさせるオリエンタルな顔立ち、無愛想かつ鋭い表情なので気づかなかったがこちらも見惚れるほどいい男だった。
湊がぼんやり眺めていたら、ニコリとも笑わないツァルニは1枚の紙を差し出しサインをするよう求めた。
「ここへ署名を」
「へあっ!? ……あのぅ、書かれてる内容が読めないのですが」
ローマ字に似た字だというのはわかるが、単語や文章としてはまったく読めない。困っているとツァルニは書かれた文章を読みあげた。ここはロマス帝国に属するプラフェ州と呼ばれる地域、内容は住む上で守らなければならない帝国の法律への同意と湊の情報だ。
「いまのミナトの住所は兵舎に隣接する建物だが……、兵士になる気はあるか? 」
ツァルニの問いかけに湊は首がとれるくらい真横へブンブンふった。ジム通いで鍛えた身体だが、軍隊経験もなければ格闘をしたこともない平和な国のサラリーマン。そもそも昨日から出会う男たちとは体格に差がありすぎ、きっと肩がぶつかっただけでも吹き飛んでしまう。
あわてた様子の湊に目元を緩めたツァルニは他の案を提示した。
「そうなると、あの建物からは転居しなければならない。町へ住むにしても働き口を探す必要があるが、新しく生活を始めるならヴァトレーネの町は最適だ」
現在の部屋は兵士たちに用意された国の住宅、町の中心から離れた場所にある。出ていくまで余裕はあるけど町で暮らすのも色々と費用はかかる。
身元不詳の男をしばらく置いてくれるのはありがたい。しかし持ち物もなく着ていた服だけ、大使館があれば自国へトンボ返りできるかもしれない。
「ほんとうに東の果てに日本という島、ないんですかね? 」
「ラルフ様から聞いている。東方の知人にも尋ねたが、東のはしに水耕栽培で生計を立てる民はいるが大陸内だそうだ。南の沿岸部にある小さい島を除き、国を建てられる海の島は数えるほどしかないが日本という国はないな」
「あー……やっぱりそうですか」
ダメ元で聞いてみたが帰ってくる答えは同じだった。確かめに行くにしても何カ月もかかり、準備も必要になるとツァルニは説明する。ガックリうなだれた湊は書類へサインしたあと退室した。
見たことのない場所、現代と異なる服装、古い式典でもないのに馬車や馬へ乗る習慣。最初はタイムスリップしたのかと思ったけどわからない、湊は外側の回廊から空をながめた。遠い上空にうかぶ雲のかたまりは、あきらかに異質で神殿のようにも見える。視界へ入ってしまった湊の世界にはなかったもの。
「どこなんだよ……ここ」
迷子のつぶやきは風にのって消えた。
「……気を取りなおして情報収集だな」
飛ばされたサラリーマンは無職になった。ツァルニの情報から他の職をさがす必要がありそうだ。
回廊を歩きまわれば3階建ての住居がみえた。湊の世界でいうところのアパートだ。訓練を終えた男たちが回廊をぞろぞろと歩いてくる。この国の人は平均的に背が高く、湊は汗くさい群れに埋もれた。まったく癒される光景ではない、男たちは気にする様子もなく湊ごと移動する。
その足元へ可愛らしい少年が懸命についてくる。
「エリーク! 」
「お兄ちゃん! 」
天使のごとき少年を見つけて声をかけた。太もも丈のチュニックから伸びるむさ苦しい大腿筋の群れにまざって歩いている。
「エリーク、知ってる人? 」
兵士のなかでは若く細身の青年が口をひらいた。エリークが説明すると青年は握手を交わし湊を引きよせる。細いと言っても兵士のひとり、力は強い。
「うわっ!? 」
「僕はシヴィル、よろしく」
ハグされて頭上から声が聞こえた。突然の行動でビックリしたけど、こちらの挨拶の仕方みたいだ。気さくなシヴィルと会話しながら歩いていると数人の兵士たちが水浴びしていて、彼もチュニックを脱いで水浴びを始めた。これが美女ならうれしいけど実際は筋肉の群れ。
兵士たちに倣ってシャツを脱ぎ水浴びをする。しかしキレイな川から引かれた水は冷たく、文明的な生活を送ってきた湊にとっては少々辛い。
同じシャツを着ようとしたら、シヴィルが兵士の支給品の服を持ってきてくれた。紐止めのトランクスに木綿布を重ねて縫っただけのチュニック、腰元を紐で縛るとサイズが大きくだぶついた。服を洗濯へ出せるようだが、一張羅のスーツは手洗いして部屋へ干すことにした。
「ミナトの髪、夜色だね~」
手ぬぐい布で髪を拭いていたらシヴィルが手伝う。染めてない黒髪は自国では珍しくもない色だがこの国では少ない、ツァルニのように黒っぽい毛色の人もいるけど灰褐色のまざったブルネットだ。
「お風呂みたいなのって無いの? 」
「風呂? 風呂ならあるよ」
丈夫な兵士と違って毎日水浴びはきびしい、ところがあっさりした口調で答えが返ってきた。兵舎の向こう側に浴場があると聞き、ムダな水浴び時間を過ごしてしまった湊はうなだれる。田舎の村出身のエリークに至っては風呂の概念すらない。
「えぇ……じゃあここで水浴びしてるのは何でだよ? 」
「住居とは反対側だし、メンドウクサイから? 僕も寒い日しか入らないかなぁ。ツァルニは暑い日も寒い日も長風呂だよ」
シヴィルは肩をすくめて浴場まで案内してくれた。銭湯に似た石造りの浴室を兵士たちは利用している。武士のごとく湯へ浸かったツァルニを発見して親近感がわいた。
兵舎のまわりは兵士の住居と入浴施設、近くの山には見張り台がある。街道を南へ下れば町が見えた。周辺を調べてるうちに夕食の時間になり食堂へ向かう。
夜警を除き、明るくなれば起き、暗くなれば寝る生活の兵士は多い。活動時間中にたくさん食べるため夜の食事は質素。昼間の物より薄くて食べやすいパンへチーズが添えられ、葡萄酒は浴びるほど用意されていた。
朝は麦粥を食し、だいたい毎日同じメニューらしい。ここにはグルメはいないと湊は確信した。
「うまい食事だって? 僕は酒があったら充分さ! 」
酔ったシヴィルは湊と肩をくむ。細面のイケメンなのに手づかみで食べる様は荒々しい。湊の国の食事情を話すと身を乗りだし、タコやイカ料理について熱心に聞いている。この国も海側の一部で食べるものの、内陸出身のシヴィルは見たことがないようだ。
「ヌルヌルの足だらけを食べるの? なにそれ、おもしろ~い。ツァルニ、こんどお土産に買ってきてよ~」
「気をつけろミナト、シヴィルに変な物を教えると収拾がつかなくなるぞ」
チェシャ猫のように笑うシヴィルの横で黙々と食べていたツァルニが忠告した。その後、底なしの酒飲みたちに付き合わされそうなところをエリークに助けられ無事部屋へ帰った。
56
お気に入りに追加
170
あなたにおすすめの小説
キスから始まる主従契約
毒島らいおん
BL
異世界に召喚された挙げ句に、間違いだったと言われて見捨てられた葵。そんな葵を助けてくれたのは、美貌の公爵ローレルだった。
ローレルの優しげな雰囲気に葵は惹かれる。しかも向こうからキスをしてきて葵は有頂天になるが、それは魔法で主従契約を結ぶためだった。
しかも週に1回キスをしないと死んでしまう、とんでもないもので――。
◯
それでもなんとか彼に好かれようとがんばる葵と、実は腹黒いうえに秘密を抱えているローレルが、過去やら危機やらを乗り越えて、最後には最高の伴侶なるお話。
(全48話・毎日12時に更新)
坂木兄弟が家にやってきました。
風見鶏ーKazamidoriー
BL
父と2人でマイホームに暮らす鷹野 楓(たかの かえで)は家事をこなす高校生、ある日再婚話がもちあがり再婚相手とひとつ屋根の下で生活することに、相手の人には年のちかい息子たちがいた。
ふてぶてしい兄弟たちに楓は手を焼きながらも次第に惹かれていく。
幼い精霊を預けられたので、俺と主様が育ての父母になった件
雪玉 円記
BL
ハイマー辺境領主のグルシエス家に仕える、ディラン・サヘンドラ。
主である辺境伯グルシエス家三男、クリストファーと共に王立学園を卒業し、ハイマー領へと戻る。
その数日後、魔獣討伐のために騎士団と共に出撃したところ、幼い見た目の言葉を話せない子供を拾う。
リアンと名付けたその子供は、クリストファーの思惑でディランと彼を父母と認識してしまった。
個性豊かなグルシエス家、仕える面々、不思議な生き物たちに囲まれ、リアンはのびのびと暮らす。
ある日、世界的宗教であるマナ・ユリエ教の教団騎士であるエイギルがリアンを訪ねてきた。
リアンは次代の世界樹の精霊である。そのため、次のシンボルとして教団に居を移してほしい、と告げるエイギル。
だがリアンはそれを拒否する。リアンが嫌なら、と二人も支持する。
その判断が教皇アーシスの怒髪天をついてしまった。
数週間後、教団騎士団がハイマー辺境領邸を襲撃した。
ディランはリアンとクリストファーを守るため、リアンを迎えにきたエイギルと対峙する。
だが実力の差は大きく、ディランは斬り伏せられ、死の淵を彷徨う。
次に目が覚めた時、ディランはユグドラシルの元にいた。
ユグドラシルが用意したアフタヌーンティーを前に、意識が途絶えたあとのこと、自分とクリストファーの状態、リアンの決断、そして、何故自分とクリストファーがリアンの養親に選ばれたのかを聞かされる。
ユグドラシルに送り出され、意識が戻ったのは襲撃から数日後だった。
後日、リアンが拾ってきた不思議な生き物たちが実は四大元素の精霊たちであると知らされる。
彼らとグルシエス家中の協力を得て、ディランとクリストファーは鍛錬に励む。
一ヶ月後、ディランとクリスは四大精霊を伴い、教団本部がある隣国にいた。
ユグドラシルとリアンの意思を叶えるために。
そして、自分達を圧倒的戦闘力でねじ伏せたエイギルへのリベンジを果たすために──……。
※一部に流血を含む戦闘シーン、R-15程度のイチャイチャが含まれます。
※現在、改稿したものを順次投稿中です。
詳しくは最新の近況ボードをご覧ください。
小悪魔系世界征服計画 ~ちょっと美少年に生まれただけだと思っていたら、異世界の救世主でした~
朱童章絵
BL
「僕はリスでもウサギでもないし、ましてやプリンセスなんかじゃ絶対にない!」
普通よりちょっと可愛くて、人に好かれやすいという以外、まったく普通の男子高校生・瑠佳(ルカ)には、秘密がある。小さな頃からずっと、別な世界で日々を送り、成長していく夢を見続けているのだ。
史上最強の呼び声も高い、大魔法使いである祖母・ベリンダ。
その弟子であり、物腰柔らか、ルカのトラウマを刺激しまくる、超絶美形・ユージーン。
外見も内面も、強くて男らしくて頼りになる、寡黙で優しい、薬屋の跡取り・ジェイク。
いつも笑顔で温厚だけど、ルカ以外にまったく価値を見出さない、ヤンデレ系神父・ネイト。
領主の息子なのに気さくで誠実、親友のイケメン貴公子・フィンレー。
彼らの過剰なスキンシップに狼狽えながらも、ルカは日々を楽しく過ごしていたが、ある時を境に、現実世界での急激な体力の衰えを感じ始める。夢から覚めるたびに強まる倦怠感に加えて、祖母や仲間達の言動にも不可解な点が。更には魔王の復活も重なって、瑠佳は次第に世界全体に疑問を感じるようになっていく。
やがて現実の自分の不調の原因が夢にあるのではないかと考えた瑠佳は、「夢の世界」そのものを否定するようになるが――。
無自覚小悪魔ちゃん、総受系愛され主人公による、保護者同伴RPG(?)。
(この作品は、小説家になろう、カクヨムにも掲載しています)
【完結】父を探して異世界転生したら男なのに歌姫になってしまったっぽい
おだししょうゆ
BL
超人気芸能人として活躍していた男主人公が、痴情のもつれで、女性に刺され、死んでしまう。
生前の行いから、地獄行き確定と思われたが、閻魔様の気まぐれで、異世界転生することになる。
地獄行き回避の条件は、同じ世界に転生した父親を探し出し、罪を償うことだった。
転生した主人公は、仲間の助けを得ながら、父を探して旅をし、成長していく。
※含まれる要素
異世界転生、男主人公、ファンタジー、ブロマンス、BL的な表現、恋愛
※小説家になろうに重複投稿しています
僕のユニークスキルはお菓子を出すことです
野鳥
BL
魔法のある世界で、異世界転生した主人公の唯一使えるユニークスキルがお菓子を出すことだった。
あれ?これって材料費なしでお菓子屋さん出来るのでは??
お菓子無双を夢見る主人公です。
********
小説は読み専なので、思い立った時にしか書けないです。
基本全ての小説は不定期に書いておりますので、ご了承くださいませー。
ショートショートじゃ終わらないので短編に切り替えます……こんなはずじゃ…( `ᾥ´ )クッ
本編完結しました〜
その男、有能につき……
大和撫子
BL
俺はその日最高に落ち込んでいた。このまま死んで異世界に転生。チート能力を手に入れて最高にリア充な人生を……なんてことが現実に起こる筈もなく。奇しくもその日は俺の二十歳の誕生日だった。初めて飲む酒はヤケ酒で。簡単に酒に呑まれちまった俺はフラフラと渋谷の繁華街を彷徨い歩いた。ふと気づいたら、全く知らない路地(?)に立っていたんだ。そうだな、辺りの建物や雰囲気でいったら……ビクトリア調時代風? て、まさかなぁ。俺、さっきいつもの道を歩いていた筈だよな? どこだよ、ここ。酔いつぶれて寝ちまったのか?
「君、どうかしたのかい?」
その時、背後にフルートみたいに澄んだ柔らかい声が響いた。突然、そう話しかけてくる声に振り向いた。そこにいたのは……。
黄金の髪、真珠の肌、ピンクサファイアの唇、そして光の加減によって深紅からロイヤルブルーに変化する瞳を持った、まるで全身が宝石で出来ているような超絶美形男子だった。えーと、確か電気の光と太陽光で色が変わって見える宝石、あったような……。後で聞いたら、そんな風に光によって赤から青に変化する宝石は『ベキリーブルーガーネット』と言うらしい。何でも、翠から赤に変化するアレキサンドライトよりも非常に希少な代物だそうだ。
彼は|Radius《ラディウス》~ラテン語で「光源」の意味を持つ、|Eternal《エターナル》王家の次男らしい。何だか分からない内に彼に気に入られた俺は、エターナル王家第二王子の専属侍従として仕える事になっちまったんだ! しかもゆくゆくは執事になって欲しいんだとか。
だけど彼は第二王子。専属についている秘書を始め護衛役や美容師、マッサージ師などなど。数多く王子と密に接する男たちは沢山いる。そんな訳で、まずは見習いから、と彼らの指導のもと、仕事を覚えていく訳だけど……。皆、王子の寵愛を独占しようと日々蹴落としあって熾烈な争いは日常茶飯事だった。そんな中、得体の知れない俺が王子直々で専属侍従にする、なんていうもんだから、そいつらから様々な嫌がらせを受けたりするようになっちまって。それは日増しにエスカレートしていく。
大丈夫か? こんな「ムササビの五能」な俺……果たしてこのまま皇子の寵愛を受け続ける事が出来るんだろうか?
更には、第一王子も登場。まるで第二王子に対抗するかのように俺を引き抜こうとしてみたり、波乱の予感しかしない。どうなる? 俺?!
マリオネットが、糸を断つ時。
せんぷう
BL
異世界に転生したが、かなり不遇な第二の人生待ったなし。
オレの前世は地球は日本国、先進国の裕福な場所に産まれたおかげで何不自由なく育った。確かその終わりは何かの事故だった気がするが、よく覚えていない。若くして死んだはずが……気付けばそこはビックリ、異世界だった。
第二生は前世とは正反対。魔法というとんでもない歴史によって構築され、貧富の差がアホみたいに激しい世界。オレを産んだせいで母は体調を崩して亡くなったらしくその後は孤児院にいたが、あまりに酷い暮らしに嫌気がさして逃亡。スラムで前世では絶対やらなかったような悪さもしながら、なんとか生きていた。
そんな暮らしの終わりは、とある富裕層らしき連中の騒ぎに関わってしまったこと。不敬罪でとっ捕まらないために背を向けて逃げ出したオレに、彼はこう叫んだ。
『待て、そこの下民っ!! そうだ、そこの少し小綺麗な黒い容姿の、お前だお前!』
金髪縦ロールにド派手な紫色の服。装飾品をジャラジャラと身に付け、靴なんて全然汚れてないし擦り減ってもいない。まさにお貴族様……そう、貴族やら王族がこの世界にも存在した。
『貴様のような虫ケラ、本来なら僕に背を向けるなどと斬首ものだ。しかし、僕は寛大だ!!
許す。喜べ、貴様を今日から王族である僕の傍に置いてやろう!』
そいつはバカだった。しかし、なんと王族でもあった。
王族という権力を振り翳し、盾にするヤバい奴。嫌味ったらしい口調に人をすぐにバカにする。気に入らない奴は全員斬首。
『ぼ、僕に向かってなんたる失礼な態度っ……!! 今すぐ首をっ』
『殿下ったら大変です、向こうで殿下のお好きな竜種が飛んでいた気がします。すぐに外に出て見に行きませんとー』
『なにっ!? 本当か、タタラ! こうしては居られぬ、すぐに連れて行け!』
しかし、オレは彼に拾われた。
どんなに嫌な奴でも、どんなに周りに嫌われていっても、彼はどうしようもない恩人だった。だからせめて多少の恩を返してから逃げ出そうと思っていたのに、事態はどんどん最悪な展開を迎えて行く。
気に入らなければ即断罪。意中の騎士に全く好かれずよく暴走するバカ王子。果ては王都にまで及ぶ危険。命の危機など日常的に!
しかし、一緒にいればいるほど惹かれてしまう気持ちは……ただの忠誠心なのか?
スラム出身、第十一王子の守護魔導師。
これは運命によってもたらされた出会い。唯一の魔法を駆使しながら、タタラは今日も今日とてワガママ王子の手綱を引きながら平凡な生活に焦がれている。
※BL作品
恋愛要素は前半皆無。戦闘描写等多数。健全すぎる、健全すぎて怪しいけどこれはBLです。
.
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる