いやらし天狗

風見鶏ーKazamidoriー

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いやらし天狗 ~穂波編~

自覚

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 アォォ~ン。

山間へ吹く風にまぎれて、遠吠とおぼえがひびいた。



 熱気に包まれ、テントはれて結露けつろしている。奇怪きっかいな笑い声をはっする影たちの中に、荒く呼吸をしながら身もだえる男の姿があった。

「ぐひひっ」「ヒヒっ」
「このような所へやしろを立ててまでワシらの相手をするとは、相当そうとうな好きものじゃのう」

「あぁっ……はぅん……もっとぉ」

 甘くとろけた声が男から発せられる。いやらしくとがった先から液体がすじをつくり、天狗の舌がたどって舐め取った。柔らかくなった尻の奥は、みつでぬれてクチュクチュと音をたてる。

「いやらしい体じゃ、ひひひっ」



 山肌をって一陣いちじんの風が舞いこむ。爪で岩を引っくような音が近づき、テントへ飛び込んだ。

「ひぃぃっ」
「けっ、けものどもじゃ!! 」
 グァウと吼えた獣たちは、白い牙を剥いてテントの中を引っかき回した。驚いた天狗たちはりに逃げてゆく。

獣たちはしばらく穂波ほなみの周りをグルグル回っていた。

「おいっ!! 」

 テントへ入ってきた荒削あらけずりな男が穂波を抱き上げた。ほうけていたら、再度さいど声が掛かる。

「おいっ! 大丈夫か!?」
「…………あ……? 」

 まともな思考すらできない穂波は口を開けたままよだれらし、抱き上げる男をただ見あげていた。

そこからどうやって辿たどり着いたのかわからない。まぶたを開くと綺麗きれいなシーツの布団へ横たわっていた。



「あ……? 」

 まだ頭の中身がおぼろげでまどろむ。まとわりついた布団へ顔をうずめると片隅かたすみにある記憶がよみがえる。穂波のものとは違って青く雄々おおしい匂いは、身体の奥をうずかせる。

上半身を起こした穂波は、布団へ股間をすりつけた。丸まった部分と陰茎いんけいこすれて気持ちよくて、尻の穴がキュウをまる。

「ぁ……んあぁ」
 腰をスライドすると丸まった布団へ当たって声がでた。背筋はしびれて甘い吐息といきがもれる。

「っ――――はっっ……」

 イキそうになっておとがいをのけらせた時、視界へ富岡とみおかが入った。熊のように大きな男がこっちを凝視ぎょうししている。夢から引き戻された穂波は、自分の置かれた状況と見せてはいけない痴態ちたいを見られて言葉を失った。

「……俺の布団でなにやってんだ」
「……っ……」
 おもむろに歩いてきた富岡は、穂波へおおかぶさる。ねまきのズボンを脱がされ、そり返った恥ずかしいものがあらわになった。触って欲し気に上を向き、めしべの様に蜜をたらしている。

見境みさかいなく、ギンギンにおってやがって……」

 怒張どちょうした雄がすぼまりへあてられ、脈打みゃくうつ先端が内壁をしひろげる。

「ぐぅ――あっ――ああっ! 」
 何度も犯され蜜のあふれる身体だが、急に尻へ入れられても女のようにすべるわけではない。質量の大きな雄は窄まりの薄皮うすかわをめくりあげて引きった痛みをともなう。

「ひぃっ――――あぐっ、いたぁっ」

 痛いと言った途端とたん、男の動きがピタリと止まった。目を見開いた富岡の手が穂波の頬へ触れて、熱がつたわる。

「おまえ……俺の名がわかるか? 」
「富岡……ツヨシ……? 」

 刹那せつな、覆い被さっていた男は大きく息をいた。手のひらが額へ移動して、穂波の髪をく。

「……そうか良かった……正気しょうきなんだな」
「え……? 」
「痛かったか……悪ぃ」

 立ち上がった富岡はズボンをきなおし、部屋を出ていこうとした。彼がこのまま出ていってしまえば、2度と機会は無いように思えた。穂波はいて呼び止める。

「待って! …………らせば大丈夫だから」

 気まずい空気の中、相手が戸惑とまどう台詞を吐いてるのは分かっている。どうしようもない男だとあきれられたり、嫌悪けんおされるのは怖い。しかし、それ以上に彼がこの部屋を出ていってしまう事がイヤだった。

富岡はピタリと静止したまま動かない、その背中には迷いがみえる。くすぶるうずきをかかえた穂波は、熱のこもった瞳で見つめた。

「おねがい……ソレを僕にちょうだい……入れて奥をかき回して……」

 ツカツカと歩いて戻ってきた富岡は、大きな手のひらで穂波の口をふさいだ。

「何言ってるか分かってんのか? それ以上言うな、後悔するぞ」

「しない……きっとしない。……僕は君が欲しい」

 一時的な快楽に流された感情なのか、心の奥へわだかまる思い。木札きふだにぎりしめていた孤独な夜、ずっと記憶の片すみに現れていた人。たった1日過ごしただけなのに、こんなにも彼にかれていたのだと自覚した。

天狗の力で誘引ゆういんされた関係でもいい、富岡と密接みっせつつながりを持ちたいと思った。

相手も目をらさず、至近距離しきんきょりで見つめ合ったまま時が止まる。



 口をおおっていた手のひらが移動して、太い親指が頬をなでた。手をかさねた穂波は富岡の親指を口へふくみ、舌をはわせて濡れた音が室内にひびく。

もしも正気の穂波なら、こんな淫らな行為はしなかっただろう。大胆だいたんなのは天狗の力のせるわざかもしれない。目の前にいる男を誘惑する。

富岡がズボンを下げると、肉の雄がそそり立っていた。穂波は片手にとうてい収まらない肉棒を両手で包み、舌を這わせる。他の男を知ってしまった口で含みきれないものを懸命けんめい愛撫あいぶした。

「うむ……む……」

 筋蔵きんぞうとはちがう青臭あおくさい匂いが鼻腔びくうへ抜ける。肉棒を舌で十分濡らした後、穂波は後孔を指で慣らした。自身のものからあふれる蜜をすくい、まった窄まりへ塗りこめる。

足を広げた恥ずかしい姿をさらして、穂波のペニスから蜜がトロトロと流れでた。見ないように目を閉じて一心いっしんに慣らしていると、太い指があごを持ちあげる。口をい舌を絡ませながら穂波自身の指もなかへ埋まり、尖った2つの先端からしずくが落ちた。

「やらしい格好だな」
「あっ――! 」

 しかかった富岡がペニス同士をりつけた。蜜でぬれたたくましい雄とぬるぬるこすり合わせられて穂波は仰け反る。敏感になった胸の突起も舌で転がされて、あっけなくイってしまった。

「――っぁは――……」

 穂波の蜜にぬれた肉の雄はテラテラと鈍い光りを放つ。血管の浮きでた雄が穂波の尻へ押し当てられ、ドクンドクンと脈打つ先は窄まりを圧迫あっぱくする。

「あっ……うう……んふ」
 すぐには挿入されず、後孔は太いみきでこすられらされる。蜜が筋をのこす部分を往復し、卑猥ひわいな音をかき鳴らす。

「欲しいか? 」
「ううっ……あぅん……はやっ……く……ぉねがい」

 自然と腰がゆれて、穂波はせがむように尻の穴を怒張した雄へ押し付けた。窄まりがヒクヒクと動いて、内奥は欲しがるようにうごめいた。
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