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いやらし天狗 ~穂波編~
快楽への回帰
しおりを挟む『穂波は優しすぎるんだよ。体を鍛えなさい、そうだ駅前に――』
男ならこうあるべきだ、と父は昔気質の人だった。
争いごとの嫌いな息子がナヨナヨして見えたのか、父は穂波を強くするため駅前の空手道場へ連れて行った。だが人と対戦する格闘技は肌に合わなくて、小学校を卒業する頃には辞めた。
近くのスポーツセンターにクライミングの施設が出来て、体を鍛えるという理由で通いはじめ夢中になった。壁登りなんてと、不承だった父もテレビで大会が放映される頃には納得していた。
筋肉が付いて男らしくなったけど、強くなったわけでもないし生来の性格もそう変わらない。
そんな穂波のアンバランスさは、ある種の人々を引き付ける。嗜虐心をそそるのか、筋蔵や伊香草のような男が体力と支配欲でにじり寄る。
(あの写真が実家へ送られてしまったら――――)
うわの空で景色を見ていたら、電車のドアがひらき急いで降りた。改札をこえて富岡と最後に別れた場所へ立った。
自宅で写真を見た後、頭の中が真っ白になって放心した。頽れてうなだれると木札が目につき、休暇で用意していた大きなザックの荷物を入れ替えた。彼に会えばなんとかなるかもしれないと、行き先を変更してここへ来たのだ。
村近辺の駅やバスを利用すれば、筋蔵が待ちかまえてる可能性がある。見覚えのある山道へ入り、記憶と地図をたよりに進んだ。思ったより順調で、苔むした石碑のある場所までたどり着いた。
わずかに残る人の痕跡に安心した穂波はザックを下ろして休憩する。風雨で落ちたであろう茶碗を拾い、洗って水を供えた。
(彼に会えますように)
ちいさな石碑に手を合わせてから出発する。ここから富岡の家まで、山中を歩いて丸1日くらい歩いたはずだ。
山は甘くなかった。
獣道とも見分けられない道がつづき、見事に迷ってしまった。来た道を引き返し、地図と照らし合わせて現在地を確認する。鼻高山の近くまで来ているけれど、富岡の家の方向はわからない。
ふと桃井の顔が思い浮かぶ、しかし村で捕まれば終わりだ。
「どうしよう……」
途方に暮れて歩いていたら日はどんどん陰り、夕闇が山を覆っていく。足元が暗くなり、焦燥感に駆られていた穂波は転んで1メートルほど滑り落ちた。
「……っ、なにやってるんだ僕は……」
さいわい怪我はなかったが、日はとっぷり沈んで夜になっていた。仕方なく留まって休むことにした。周囲に危険が無いことを確認して、横になるだけの簡易的なテントを張る。
「あれ? 木札が……? 無いっ」
栄養食のチョコバーを食べてラジオを聞いていたら、首から下げていた紐が千切れて木札が無くなっている事に気づいた。懐中電灯をもって滑り落ちた辺りを探したけど暗すぎて見つからない。
しょげてテントへ帰り、朝になるのを待った。
しばし眠って夜中に目が覚める。鳴いていたフクロウも静かになり、パタパタとテントの端が風で揺れている。
(不運がつづくなぁ……このまま朝が来てくれるといいけど……やけに静かだな? )
風の音はしない。まぶたを閉じていたら鳥肌がゾワリと立って、目を開けた瞬間に手の形がテントを押した。
さけび声を上げそうになって咄嗟に手で口を覆った。心臓が口から跳び出そうなほど波打つ。パタパタとテントを押していた手は止んで静かになった。
息を殺していると、足側にあるチャックがゆっくり開き始めた。本能的に恐怖を感じた穂波は身構えて、チャックが開くと同時に外へ走りだす。
「ひえっ」
「あなやっ」
開けた方も驚いた様子だが、すぐさま衣服を掴まれテントへ引きずり戻された。見覚えのある影が穂波を覗きこむ。
「この匂い……匂い覚えがあるぞっ」
「きっとニエじゃ、確かめるのじゃあ! 」
異様に大きな頭と天狗の鼻をもった小さい影が穂波を方々から押さえた。ズボンをあっという間に脱がされ、いびつな形の鼻が剥きだしになった股間をこする。
「はなせっ!? うっ……くっ! 」
淫らな情欲が、秘めた奥のあたりから下半身へ伝わる。全身を戦慄かせた穂波のペニスから液体が溢れた。
「蜜が出てきたぞ! もっとこするのじゃ! 」
入り口で見ていた天狗もテントの中に入ってきて、穂波の股間へ群がった。たくさんの鼻に擦り合わされて、ぬれて雫を垂らした肉の棒は生き物のように躍動して蜜を噴く。
「やめろっ……うんっ……うぅんっ――あうっ! 」
「乳のほうは出が悪くなってるな、ワシが繋げてやろう」
Tシャツをめくられ、胸元へ鼻が迫った。刷毛状になった鼻の先が穂波の突起をつつく。やさしくサワサワと撫でられ、もどかしくもツンとした疼きが乳首の先へ集中する。
「そぅれそぅれ、甘美な悦びを思いだすがいい」
「は……うぅ――やめっあぁっっ! 」
ふたつの突起から蜜が勢いよく噴いて、歓声をあげた天狗たちは吸い付く。舌先でチロチロと転がされ、つつかれると悦びで蜜があふれた。吸って欲しそうに尖った乳首へ天狗たちは口を伸ばす。
「こっちはどうじゃ? 」
「ほほほ、ひらけ、ひらけ」
ペニス争奪戦の下で尻を揉んでいた天狗が、穂波の太ももを押して広げる。足を閉じるため力を入れても、別の天狗たちが両側から膝を引っぱり大きく開いた。
「いやっ――ああっ」
外気が尻の谷間へあたり、隠されていた場所が天狗たちの目に晒される。
「パクパク鯉の口のように動いておるっ、いやらしい穴じゃあ! 蜜がたくさんついたワシの鼻を味わうがよいぞっ! 」
穂波の顔に含羞の色が浮かぶ。手足をバタつかせて抵抗するが、怪力の小さな天狗はビクともしない。
「ひひっ、そうれっ」
「あうっ! 」
しっぽりと鼻が窄まりへ埋まった。穂波が甲高い声で呻けば天狗は興奮して鼻を膨らませる。穂波自身が吐きだした蜜を塗りひろげられて、内壁は女陰のように滑りを帯びる。
「次はワシの鼻じゃ! オナモミみたいにトゲトゲがいっぱいじゃ! 」
「……はぁんっ……やぁっ」
弾力のある無数の棘が、尻の奥へぬるりと侵入した。激しく動くトゲが内壁を刺激して、うめき声は甘い嬌声へ変化し、蜜が泉のごとくあふれ天狗たちは歓喜する。
強烈な快感で脳が溶かされたみたいになって、ひたすら身をふるわせて喘いだ。
「ひんっ――ああんっ――ああっ!! 」
「いひひひっ、ほれ上の口も咥えよ。舌を使うのじゃぞ」
「むぐぅ――んぐ、んぐ」
刷毛のような柔らかい鼻先を舐めると、甘くて美味しい味がする。夢中で舌を這わせていたら、別の鼻が横入りして口の中をかき回す。今度はイボイボのついた丸い鼻先だ。
「ひひっ、おぬしの蜜は甘露じゃろぉ? 」
「うむぅっ――んんっ……あふぅ」
すでに天狗の声も耳には届かない、快楽を求めて自ら強請らい受け入れる。
天狗の鼻が入ってるのにも拘わらず、窄まりへ他の鼻も挿しこまれ3本の鼻で同時に突かれる。そそり立ったペニスを吸われ、尻と口へ咥えてふしだらに嬌声をあげた穂波は全身をしならせた。
―――――――――――――――
※オナモミ……キク科で実に多数のトゲがある。道端にも生息していて、ひっつき虫と呼ばれ散歩中の犬や人の衣服へ絡みつく。
※あなや……「あな」感動詞、「や」助詞。ひじょうに古典的な感動詞。「ああっ」「あれぇっ」「きゃー」「うわっ」など強い驚きをあらわす言葉。
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※作者Twitter【https://twitter.com/tiyo_arimura_】
※マシュマロ【https://bit.ly/3QSv9o7】
※掲載箇所【エブリスタ/アルファポリス/ムーンライトノベルズ/BLove/fujossy/pixiv/pictBLand】
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