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いやらし天狗
迷い込んだところは
しおりを挟む準備を済ませた海斗は、受付のお婆さんへ挨拶をして意気揚々と出かけた。
本日向かう場所は鼻高山の裏がわ、山は村おこしのために整備されて観光コースになっている。麓に社があって年に数回お祭りがある。祭りは村人達がこじんまりと行う収穫祭だが、昔の風習が色濃く残っていた。
教授のノートには天狗祭りの事が記されていて、天狗の面を着けた者たちの舞う神楽が行われる。海斗の目的はその天狗祭に参加することだった。鼻高山の周辺は古い時代の寺や祠がいくつも建っていて、風習や祭りの考証をするにはもってこいだった。
きのう見た案内板を通りすぎ、道をまわって山の裏側へ向かう。途中、こんもりと茂った木々の間に神社が見えた。参道は整備されていて幟が立ち木造の社がある。
「あれが鼻高神社か~、帰りに寄ってみようかな」
鳥居の前を過ぎて奥へすすむと、道脇に生えている草の量が増えた。あまり人の通らない雰囲気だが車の轍がある。
苔むした灯篭が並び、山の裏側まで分かりやすい1本道が続いている。
「すげえ……」
柵で囲われた大きな杉の木が道の真ん中に立っていた。枝打ちのされていない杉は中ほどから太い枝が数本に分かれて上へ上へと伸びて、根元は苔にまぎれて石の祠があった。
大きな杉は観光パンフレットでも確認できる。雄大にそそり立つ杉をしばらく見上げていた海斗は、さらに奥へと足を進める。
「……おかしいな? 」
そろそろ古い寺の跡があるはずだったが、歩けど歩けど一向に見えてこない。大きな杉のところで道が分かれていたのかと思い、海斗は引き返す。しかし今度は大きな杉の木にたどり着けない。
ふり返っても、車が通れそうな平たんな1本道が続いているだけだ。
不安になってスマートフォンで確認したら、現在地は鼻高山の裏側だった。画面を見れば近くに寺のマークが表示されている。
「よかった! ちゃんと着いたみたいだ」
端末を操作しながら海斗は寺のマークへ向かう、道は下がり谷へ入ると茂った木に覆われて全体的に暗い森が広がっていた。
いかにも古めかしい木造の寺が視界に映った。湿気をふくんでジメジメした場所だが、寺の木材は良く手入れされて艶がある。ひみつの宝物を見つけたような気持になって、開いていた門をくぐって見回した。
お堂の正面の戸もひらき、ご丁寧にビニル製のスリッパまで置いてあった。見学自由なのだと海斗は思い、靴をぬいでお堂へ上がる。
最初に見つけた廃寺によく似た雰囲気の寺だ。ここは良く手入れされている。
「入りますね~」
誰もいないのに、なんとなく声をかけてから入った。柿渋を塗った堂は荘厳で、海斗は感嘆しながらすすむ。奥にはきらびやかな金装飾の台座がある。
ハスを模った台座の上へ黒ぬりの仏が座っている。黒く艶のある仏は漆ぬりの像だろうか、鼻が異様に高くいびつな形だ。
鼻はすこし反って男性器のように先が膨らんでる。
「あっ!! 」
その姿にマエ様を思い出した海斗は後ずさった。手に持っていたパンフレットを見たらここは記載のない寺だと気がつく、パンフレットには山の裏側の寺は跡地だと記されていた。
きゅうに不安になってお堂の入り口へ向かう。今度は閉まらず、無事にお堂の扉から出られた。
ホッと息をついたのも束の間、昼間なのにお堂の周囲が暗い。周囲の茂みがガサガサとゆれて、息をのんだ海斗は階段の途中で立ち止まる。
「……いやらしい、いやらしいのう。ここから匂いがするのう」
獣ではなく、しゃがれた声が茂みから聞こえた。
怖気のたった海斗は、静かに階段を引き返してお堂の中へ隠れた。息をひそめていると正面だけではなくて、四方八方から徘徊する音に囲まれる。
(囲まれてて逃げられない……)
「ここじゃ、ここじゃ」
「いやらしい匂いがするぞ」
隠れる場所がないので、台座の奥で息をひそめていたらカタンと音がした。
入り口にちいさな影が何人も重なって立っている。小学生くらいの身長で頭がとても大きい。お面のような顔も同じくらい大きく、細長い鼻があって天狗に似てる。
しかし天狗というには醜い風貌で、台座の脇で縮こまった海斗は目が離せなくなった。
「いたぞ」
入り口の影がいっせいに海斗の方へ向かってくる。
「ひっ! くっくるなっ」
逃げようとしたが小さな怪物たちに群がられて引きずられる。ふり払おうとしたのに小さな天狗達は力が強く、押さえられて動けなくなった。
「やめろっ! はなせよっ!! 」
「ほほほ、生きがよいのう」
小さな天狗たちは海斗を上からのぞき込む、堂内が暗くて表情は見えない。
「ニエじゃ、ワシらへのニエじゃ! 」
「まてまて、時期がはやくないかのう? 」
「はてしかし、マエ様さまの印がつけられておるぞ」
しゃがれ声で口々に喋っていた天狗たちは身体中を嗅ぎまわる。そのうちの1人が海斗の股間あたりへ鼻をよせた。
「いやらしい匂いじゃ、間違いない」
海斗は必死に身をよじったけれど、押さえられた手足は外れない。股間の匂いを嗅がれ細い鼻があたって体が跳ねた。
「やめろってばっ、あっ!? 」
じんわり気持ちいい感覚が股間にひろがる。ますます激しく身を動かして逃れようとしたが、股が鼻に擦れて天狗達を喜ばせるだけだった。
「自ら腰を動かすとは、けしからん小僧じゃ! 」
「どれどれワシにも調べさせろ」
天狗たちは海斗の股間へ群がって細い鼻がズボンに当たる。恥ずかしい行為はしばらく続き、天狗達が鼻を放す頃には海斗はグッタリ脱力した。
「身にまとうた衣でわかりにくいのぅ。この下衣は金具がついておる」
「脱がしてしまえ」
カチャカチャとベルト付近から不穏な音が聞こえる。海斗は抵抗したが手足を押さえられ、ゆるめられたベルトごとズボンを引き下ろされた。
「放せっやめろっ! 」
「ほほほうるさい口じゃ、ワシの鼻でも咥えておれ」
「んんっ、ン――――っ! 」
叫び声をあげる海斗の口に天狗の鼻が突っこまれた。硬いようで弾力のある鼻は、口内でいっぱいに膨らんで口をふさぐ。
「ほうほう変わった褌じゃ、どれどれ調べてみようかの」
トランクスの上へ鼻を置いた天狗は、匂いを嗅ぎながら押し付ける。薄くなった布から感触が伝わり、海斗は身をよじって逃れたが左右へ腰を振ったせいで天狗の鼻に股間が擦れた。
気持ちよくなってしまった下肢は、いつのまにか起ちあがっていた。
「いやらしい小僧じゃ! 」
「見よ、蜜が出てきたぞっ。もっと擦るのじゃっ」
海斗の股間へ小さな天狗が群がって鼻を擦りはじめる。トランクスがめくれて裾から陰嚢がこぼれ落ち、興奮した天狗達の手でとうとうトランクスも引き下ろされてしまった。
天狗達は海斗のペニスを直接もてあそぶ、湿った先っぽを鼻で擦り根元の陰嚢をつつく。
「まだ童貞の魔羅じゃな、ワシが可愛がってやろう」
天狗の1人が海斗のペニスへ吸いつく。剥かれた亀頭を吸引されると痺れるような快感が先っぽへ集中する。
「んうっ、むっ――――っ」
「ほほほ、喜んでおるぞ。ワシの鼻も美味そうにしゃぶっておる」
海斗の喉奥まで鼻を押しこんだ天狗が笑った。
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