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第七章
真昼の情事
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あくる日、月読は猿の里を訪れていた。
トントンカンカンと猿の里山に槌の音が響く。坂の上にある社は足場が組まれ、ブルーシートが張られている。損壊した部分は新しい木材で修復されていた。
「月読さま見てけろ、あと少しで完成だよ」
重い木製の扉を1人で担いだ銅鐸が嬉しそうに呟いた。山神は社が崩れた事を気にする様子もなく、通常の生活へ戻りつつある。懐の深い山神に銅鐸は感謝を述べている。
あっという間に直されていく社を月読はしばらく眺めた。
丙家の玄関は静まりかえっている。猿女達は丙の代わりに仕事を取り仕切っていて忙しいそうだ。声をかけてから家へ上がった月読は、長い廊下を渡り居室の扉をノックする。南向きに面した縁側に座っている男がいた。
シャツを脱いで上半身を出した男の背中には湿布が張ってある。すり傷は茶色い瘡蓋になっていて傷の治りは早い。月読が傷の具合をたずねたら、打ち身が痛む程度だと丙は鼻で笑った。
「それより、お前ぇ約束はどうした? 」
「えっ? ああ……」
最初は思い出せなかった月読だが、ごねる丙を説得した時にそのような約束をした事を思い出した。
「デートするっつったろ」
三十路をこえた強面の丙から、恥ずかしげもない言葉が飛び出す。臆面もなくこんなことを言えるので、このゴリラはモテるのだろうか。
しかし付き合うと言っても丙といる時は大概酒を飲んでいるか、行為をしている事しか思い浮かばない。
「今から? 」
月読が訊くと丙はうなずいた。ちょうど家に誰もいなくて家デートには都合がいいらしい。だが流石に月読でも真昼間から酒を飲んだり、事に及ぶのには抵抗がある。
「そんなんばかりじゃあ無えよ、日頃の触れ合いってヤツだ。ほれ、そこの湿布取って張りかえてくれ」
唸った丙は置いてあった薬箱を指す。悪戯心の出た月読は、湿布を勢いよく剥がした。少々毛が抜けてしまい大きな背中は痛みにもだえて悪態をつく。
所どころに内出血の痕がある。新しい湿布に張り替えると、丙は気持ちが良さそうな顔をしていた。
「ところで白猿とは仲直りしたのか? 」
湿布を張りながら月読は尋ねた。
「別に謝ったりはしてねえよ」
先に手を出したのは丙だが、悪いとは思っていない様子だ。互いの意見が食い違うことはしょっちゅうあって口論も良くしているらしい、丙と山神の似ている性格を考えれば容易に想像はつく。
「でも丙が先に殴ったのだろう? 」
山神に返り討ちされた男は、おあいこだと鼻からフンと息を吐いた。その場で決着をつけて後に尾を引かず、其々の日常に戻っている。
「そんなものかねぇ」
溜息をついた月読は、四角い膏薬で覆われた背中をペシッと叩く。じつに湿布臭い漢の背中がここに完成した。
薬箱を閉じていると背後から腕が伸びた、引き寄せられた月読は不満げに鼻を鳴らす。
「やっぱりするんじゃないか」
「ムラムラしたんだよ。青空の下、たまには素面で抱くのも興がっていいじゃあねえか」
真昼の情事に月読が思い悩んで唸っていたら、さっさと膝へ乗せられ背中が密着する。上衣を脱いだ丙の剥きだしの筋肉と高い体温が直に触れる。
大きな手は着物の裾へ忍んで太腿を撫でてたくし上げた。白昼堂々と月読の下肢はさらされてしまい、誰か来たらどうするのかと抗議の声をあげる。
「誰もいねぇから安心しろって」
着物は捲り上げられ褌が露出した。丙は横紐を指でたどり、布の中へ手を入れてやわやわと弄ぶ。
「……っ……」
上下する太い指の刺激で月読のものは半起ちになった。布地をずらされて、頭をもたげる物は日の光にさらされる。明るい光りの中で細部までハッキリ見え、羞恥から月読は顔を背けた。
「ここはしっかり男なんだよなぁ」
「あっ……うぅっ」
太い指はピタピタ先端を叩き、屹立した物の形をなぞっている。触れられるたび気持ちのいい感覚が下肢へ伝わり月読は身じろぐ、口を開けて喘ぐと丙の口がせまり唇をふさがれた。分厚い舌が喉奥へ入り込んで器用に舌先を動かす。
「んんん……」
息苦しさを感じて月読が分厚い舌を軽く噛むと、喉の奥でうごめいていた舌は動きを止めて口内から出ていった。
顔を放した丙が月読を見つめる。
「すげぇそそるぜ、その顔」
前にも婀娜っぽいと揶揄されたけれど確かめようもない。どんな顔なのか尋ねてみようとも思ったが、よけいに面映ゆくなって月読は目を伏せる。
ふたたび唇が重なり強く吸われた。空いた手が着物の襟元をつかみ、襦袢ごと開ける。月読の胸元はあらわになり、丙が突起にかぶりついた。
「あうっ……」
大きな手は胸元を揉んで突起を押し上げた。痕のつきそうなほど強く吸われ、分厚い舌で舐め転がされる。ツンとした痛みと快感が集中して、凝った乳首が弾力をもつ。
「そんなに吸って……伸び……たら……どうしてくれる……っ」
喘ぐ月読が言葉をしぼり出すと、丙は楽しそうに音を立てて吸いこむ。
「ちょいと大きくなった方が俺の好みだがな。両方ともちゃんと吸っとくか」
「あっ、やめっ……くうっ」
もう片方も掴まれ吸われる。舌先が乳頭をつつき、ザラリとした感触は凝った尖りをもてあそぶ。神経の集まった部分を刺激され、月読は頤を仰けぞらせた。
さんざん弄られた両方の突起は、うすく赤みをおびてぷくりと膨らんでいた。白い布からはみ出して反り返った物は、先から淫猥な雫をたらす。夜のしじまに秘匿されていたものは、真昼の光にすべて照らし出されていた。
「やらしい姿が、よく見えるじゃねえか」
日光が肌を刺激して月読は身をよじる。丙のズボンも股間の部分が大きく盛りあがっていた。視線に気付いた男はズボンを寛ぎ中のものを引きずり出す、肉塊は既にはち切れんばかりに熱り立っていた。
「俺のもよく見えるぜ。ほれ触ってみろ」
大きな手に導かれて天を仰ぐ肉塊に触れると、膨張したものが手の中で脈打っている。見るたび大きい肉塊を月読は両手で包んで小さく嘆息する。
「おめぇよ、どこまで隼英に仕込まれたんだ? 」
デリカシーのない声が飛んできて、月読は眉間にシワを寄せて横目で見遣った。
「……ひととおり」
「本番はナシなんだろ? あっちはどうしてだんだよ」
「別に入れなくても、気持ちよくなる方法なら他にもある」
片眉を上げた月読はワザと乱暴に手を上下させて扱くが、物ともしない肉塊はますます硬く張りつめた。
月読はそろりと口を寄せて肉塊の先端を舐めた。大きすぎて咥えきれない肉の先を口に含めば、雄の匂いがムッと漂ってくる。ふくみきれない肉塊が口から飛び出すので、猫のようにペロペロ舐めた。
「咥えきれてねえじゃあねえか」
「あんたのが大きすぎるんだ」
肉塊の先端をやさしく吸って、亀頭を手の平で包みこねくり回す。丙は笑っているけど時々下腹の筋肉にグゥと力が入り、もどかしい感じが伝わってくる。ぬるりとした先走りを舌で掬って遊んでいたら、丙の大きな手が月読の頭をなでる。
「その顔を見てるのもいいが、我慢できねえ」
仰向けに足を抱えられて押し倒された。丙が顔を股間へ埋めて、分厚い舌は内腿をたどって奥の穴をつつく。
「あぁっ……ふっ」
断続的な刺激で尻の括約筋がキュッと締まる。舌でほぐされた場所へ性急に肉塊の先が挿し込まれた。限界まで張り詰めた肉塊は、みちりみちりと音を立てて奥へと侵攻する。入る度に内側を押し広げられ、奥まで一杯になり月読は苦しげに息を吐き出した。
根元まで挿し込まれて、足の付け根に丙の腰が当たる。
「うっ、あぐっ、ひのえっまだ動かす、なっ……」
何度交わっても丙の大きさには慣れない、腰はゆっくり動いて肉塊が月読の内側を行き来する。丙は腰を回し突いて馴染ませるように内奥を押し広げた。
「あっ……はあっ、くっ」
肉塊で擦られ、むず痒い感覚が身体の内側に生まれて徐々に快感へ変わる。いっぱいの肉塊は弱い部分も豪快に擦り、月読の身体は蛇のように妖しくのたうつ。
芯が溶けて淫悦の疼きで背骨がしびれる。内壁が勝手に蠢き、激しい抜き挿しに合わせて締めつけた。
「――――っっ――――あああっ!! 」
月読の背は弓のごとくしなって内腿が痙攣した。反ったものから白い液体が迸り腹を濡らす。最奥で締めつけた肉塊からも熱い液が放たれた。
弛緩した身体から、すこし柔らかくなった肉塊が引き抜かれる。
「うぅん……」
巨大な熱からの解放感と、引き抜かれる何とも言えない感触に吐息が出る。最奥に熱いものが残り、真昼の光で生温かくなった粘液は腹筋のくぼみをたどって流れ落ちた。
縁側の窓から入ってきた風が、湯上りの月読の髪をなでる。晩秋は日が陰るのも早く、山からひんやりした空気が降りてくる。窓を閉めた月読は着物の帯をキッチリ結んだ。
「痛ててっ」
「昨日の今日で無理するからだ。こっちも貼るから大人しくしてろ」
大丈夫だと言っていたわりには、腰が痛くなった丙に大きな湿布をベタリと張る。湿布で埋まった漢の背中を月読は見下ろした。
湿布だらけの背中から声がして、九郎について尋ねている様だ。
「九郎? うーん、特に変わりないと思うけど……」
「いや……変わりねえなら俺の思い過ごしだ……忘れてくれ」
そのような言い方をされると気になってしょうがない、不満に思った月読は丙の腰を上から拳でグイグイ押した。
「痛ててて、やめろっ! てめえ後で覚えとけよっ」
うつぶせのゴリラが悪態をつく。
夕方になり、ちらほら帰宅した人の気配がして家の中は賑やかになった。
トントンカンカンと猿の里山に槌の音が響く。坂の上にある社は足場が組まれ、ブルーシートが張られている。損壊した部分は新しい木材で修復されていた。
「月読さま見てけろ、あと少しで完成だよ」
重い木製の扉を1人で担いだ銅鐸が嬉しそうに呟いた。山神は社が崩れた事を気にする様子もなく、通常の生活へ戻りつつある。懐の深い山神に銅鐸は感謝を述べている。
あっという間に直されていく社を月読はしばらく眺めた。
丙家の玄関は静まりかえっている。猿女達は丙の代わりに仕事を取り仕切っていて忙しいそうだ。声をかけてから家へ上がった月読は、長い廊下を渡り居室の扉をノックする。南向きに面した縁側に座っている男がいた。
シャツを脱いで上半身を出した男の背中には湿布が張ってある。すり傷は茶色い瘡蓋になっていて傷の治りは早い。月読が傷の具合をたずねたら、打ち身が痛む程度だと丙は鼻で笑った。
「それより、お前ぇ約束はどうした? 」
「えっ? ああ……」
最初は思い出せなかった月読だが、ごねる丙を説得した時にそのような約束をした事を思い出した。
「デートするっつったろ」
三十路をこえた強面の丙から、恥ずかしげもない言葉が飛び出す。臆面もなくこんなことを言えるので、このゴリラはモテるのだろうか。
しかし付き合うと言っても丙といる時は大概酒を飲んでいるか、行為をしている事しか思い浮かばない。
「今から? 」
月読が訊くと丙はうなずいた。ちょうど家に誰もいなくて家デートには都合がいいらしい。だが流石に月読でも真昼間から酒を飲んだり、事に及ぶのには抵抗がある。
「そんなんばかりじゃあ無えよ、日頃の触れ合いってヤツだ。ほれ、そこの湿布取って張りかえてくれ」
唸った丙は置いてあった薬箱を指す。悪戯心の出た月読は、湿布を勢いよく剥がした。少々毛が抜けてしまい大きな背中は痛みにもだえて悪態をつく。
所どころに内出血の痕がある。新しい湿布に張り替えると、丙は気持ちが良さそうな顔をしていた。
「ところで白猿とは仲直りしたのか? 」
湿布を張りながら月読は尋ねた。
「別に謝ったりはしてねえよ」
先に手を出したのは丙だが、悪いとは思っていない様子だ。互いの意見が食い違うことはしょっちゅうあって口論も良くしているらしい、丙と山神の似ている性格を考えれば容易に想像はつく。
「でも丙が先に殴ったのだろう? 」
山神に返り討ちされた男は、おあいこだと鼻からフンと息を吐いた。その場で決着をつけて後に尾を引かず、其々の日常に戻っている。
「そんなものかねぇ」
溜息をついた月読は、四角い膏薬で覆われた背中をペシッと叩く。じつに湿布臭い漢の背中がここに完成した。
薬箱を閉じていると背後から腕が伸びた、引き寄せられた月読は不満げに鼻を鳴らす。
「やっぱりするんじゃないか」
「ムラムラしたんだよ。青空の下、たまには素面で抱くのも興がっていいじゃあねえか」
真昼の情事に月読が思い悩んで唸っていたら、さっさと膝へ乗せられ背中が密着する。上衣を脱いだ丙の剥きだしの筋肉と高い体温が直に触れる。
大きな手は着物の裾へ忍んで太腿を撫でてたくし上げた。白昼堂々と月読の下肢はさらされてしまい、誰か来たらどうするのかと抗議の声をあげる。
「誰もいねぇから安心しろって」
着物は捲り上げられ褌が露出した。丙は横紐を指でたどり、布の中へ手を入れてやわやわと弄ぶ。
「……っ……」
上下する太い指の刺激で月読のものは半起ちになった。布地をずらされて、頭をもたげる物は日の光にさらされる。明るい光りの中で細部までハッキリ見え、羞恥から月読は顔を背けた。
「ここはしっかり男なんだよなぁ」
「あっ……うぅっ」
太い指はピタピタ先端を叩き、屹立した物の形をなぞっている。触れられるたび気持ちのいい感覚が下肢へ伝わり月読は身じろぐ、口を開けて喘ぐと丙の口がせまり唇をふさがれた。分厚い舌が喉奥へ入り込んで器用に舌先を動かす。
「んんん……」
息苦しさを感じて月読が分厚い舌を軽く噛むと、喉の奥でうごめいていた舌は動きを止めて口内から出ていった。
顔を放した丙が月読を見つめる。
「すげぇそそるぜ、その顔」
前にも婀娜っぽいと揶揄されたけれど確かめようもない。どんな顔なのか尋ねてみようとも思ったが、よけいに面映ゆくなって月読は目を伏せる。
ふたたび唇が重なり強く吸われた。空いた手が着物の襟元をつかみ、襦袢ごと開ける。月読の胸元はあらわになり、丙が突起にかぶりついた。
「あうっ……」
大きな手は胸元を揉んで突起を押し上げた。痕のつきそうなほど強く吸われ、分厚い舌で舐め転がされる。ツンとした痛みと快感が集中して、凝った乳首が弾力をもつ。
「そんなに吸って……伸び……たら……どうしてくれる……っ」
喘ぐ月読が言葉をしぼり出すと、丙は楽しそうに音を立てて吸いこむ。
「ちょいと大きくなった方が俺の好みだがな。両方ともちゃんと吸っとくか」
「あっ、やめっ……くうっ」
もう片方も掴まれ吸われる。舌先が乳頭をつつき、ザラリとした感触は凝った尖りをもてあそぶ。神経の集まった部分を刺激され、月読は頤を仰けぞらせた。
さんざん弄られた両方の突起は、うすく赤みをおびてぷくりと膨らんでいた。白い布からはみ出して反り返った物は、先から淫猥な雫をたらす。夜のしじまに秘匿されていたものは、真昼の光にすべて照らし出されていた。
「やらしい姿が、よく見えるじゃねえか」
日光が肌を刺激して月読は身をよじる。丙のズボンも股間の部分が大きく盛りあがっていた。視線に気付いた男はズボンを寛ぎ中のものを引きずり出す、肉塊は既にはち切れんばかりに熱り立っていた。
「俺のもよく見えるぜ。ほれ触ってみろ」
大きな手に導かれて天を仰ぐ肉塊に触れると、膨張したものが手の中で脈打っている。見るたび大きい肉塊を月読は両手で包んで小さく嘆息する。
「おめぇよ、どこまで隼英に仕込まれたんだ? 」
デリカシーのない声が飛んできて、月読は眉間にシワを寄せて横目で見遣った。
「……ひととおり」
「本番はナシなんだろ? あっちはどうしてだんだよ」
「別に入れなくても、気持ちよくなる方法なら他にもある」
片眉を上げた月読はワザと乱暴に手を上下させて扱くが、物ともしない肉塊はますます硬く張りつめた。
月読はそろりと口を寄せて肉塊の先端を舐めた。大きすぎて咥えきれない肉の先を口に含めば、雄の匂いがムッと漂ってくる。ふくみきれない肉塊が口から飛び出すので、猫のようにペロペロ舐めた。
「咥えきれてねえじゃあねえか」
「あんたのが大きすぎるんだ」
肉塊の先端をやさしく吸って、亀頭を手の平で包みこねくり回す。丙は笑っているけど時々下腹の筋肉にグゥと力が入り、もどかしい感じが伝わってくる。ぬるりとした先走りを舌で掬って遊んでいたら、丙の大きな手が月読の頭をなでる。
「その顔を見てるのもいいが、我慢できねえ」
仰向けに足を抱えられて押し倒された。丙が顔を股間へ埋めて、分厚い舌は内腿をたどって奥の穴をつつく。
「あぁっ……ふっ」
断続的な刺激で尻の括約筋がキュッと締まる。舌でほぐされた場所へ性急に肉塊の先が挿し込まれた。限界まで張り詰めた肉塊は、みちりみちりと音を立てて奥へと侵攻する。入る度に内側を押し広げられ、奥まで一杯になり月読は苦しげに息を吐き出した。
根元まで挿し込まれて、足の付け根に丙の腰が当たる。
「うっ、あぐっ、ひのえっまだ動かす、なっ……」
何度交わっても丙の大きさには慣れない、腰はゆっくり動いて肉塊が月読の内側を行き来する。丙は腰を回し突いて馴染ませるように内奥を押し広げた。
「あっ……はあっ、くっ」
肉塊で擦られ、むず痒い感覚が身体の内側に生まれて徐々に快感へ変わる。いっぱいの肉塊は弱い部分も豪快に擦り、月読の身体は蛇のように妖しくのたうつ。
芯が溶けて淫悦の疼きで背骨がしびれる。内壁が勝手に蠢き、激しい抜き挿しに合わせて締めつけた。
「――――っっ――――あああっ!! 」
月読の背は弓のごとくしなって内腿が痙攣した。反ったものから白い液体が迸り腹を濡らす。最奥で締めつけた肉塊からも熱い液が放たれた。
弛緩した身体から、すこし柔らかくなった肉塊が引き抜かれる。
「うぅん……」
巨大な熱からの解放感と、引き抜かれる何とも言えない感触に吐息が出る。最奥に熱いものが残り、真昼の光で生温かくなった粘液は腹筋のくぼみをたどって流れ落ちた。
縁側の窓から入ってきた風が、湯上りの月読の髪をなでる。晩秋は日が陰るのも早く、山からひんやりした空気が降りてくる。窓を閉めた月読は着物の帯をキッチリ結んだ。
「痛ててっ」
「昨日の今日で無理するからだ。こっちも貼るから大人しくしてろ」
大丈夫だと言っていたわりには、腰が痛くなった丙に大きな湿布をベタリと張る。湿布で埋まった漢の背中を月読は見下ろした。
湿布だらけの背中から声がして、九郎について尋ねている様だ。
「九郎? うーん、特に変わりないと思うけど……」
「いや……変わりねえなら俺の思い過ごしだ……忘れてくれ」
そのような言い方をされると気になってしょうがない、不満に思った月読は丙の腰を上から拳でグイグイ押した。
「痛ててて、やめろっ! てめえ後で覚えとけよっ」
うつぶせのゴリラが悪態をつく。
夕方になり、ちらほら帰宅した人の気配がして家の中は賑やかになった。
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