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5話※
しおりを挟む──ずちゅっ、ぷちゅっ、ぐちゅんっ。
扉も閉ざされて窓も無い部屋に、卑猥な水音と二つの吐息が響き渡る。服を見事に剥ぎ取られて全裸になったスコールに跨がるようにして、エルヴィールが上下に腰を動かしていた。
「はっ、あぁっ、やめっ、やめろ、エルヴィール」
ぐちゅぐちゅと液が溢れ出す繋がった秘部と、恍惚とした表情を浮かべる妻。スコールは交互に視線を向けて、頬を上気させながら、か細い声で呟く。
それでもエルヴィールは動くことを止めず。目の前にある夫の頬を両手で包み込み、ちゅっ、と触れるだけの口づけをした。
「だんなさま……本当に嫌なら、私を突き飛ばしたらいいのに。こんなに硬くさせて、大きくして……はぁ、ん……厭らしいだんなさま」
「っ、あっ、エルヴィール」
ずるずるとゆったりした動きで抜き差しを繰り返す度に、スコールは淡い吐息を漏らす。他の男のものなんて見たことはないけれど、夫の一物は恐らく立派だ。太く長い肉楔が蕩けきった内壁を擦る度に、目の前が白く霞んでいく。
「おっ、おまえは、何がしたいんだ。わたしが嫌いだから、このような真似を。それとも、わたしの弱味を知って、なにか脅そうと」
スコールの手が弱々しくエルヴィールの肩を押す。エルヴィールはそんな夫の手を握り、舌の動きを見せつけるようにして長い指先を舐め上げた。
「そんなまさか。旦那様が可愛くて愛おしくて堪りません。普段は無愛想な態度を見せている癖に、雷が怖くて隣で寝たり、私が寝ている時にこっそりキスをしたり、こんな風に私に犯される旦那様も含めて、ぜんぶ大好きです」
「はっ、あっ、ああっ」
ナカに埋まり込んだスコールの雄が更に膨れ上がる。こんな言葉を吐き捨てられて興奮するなんて、中々の変態っぷりではないか。決して自分が言える台詞ではないけれども。
「だんなさま、ここならこわーい雷の音も聞こえないでしょう? もっともっと、気持ち良くなりましょう?」
じゅぷっ、ぬちゅりっ。
エルヴィールは更に腰を沈めて、ずずずっと未知なる領域まで熱を纏った肉楔を呑み込む。気持ち良さを通り越した狂暴な刺激が脳天を突き上げて身体を蝕んで、エルヴィールの身体が大きく痙攣した。
「はっ、あっ、あぁ……っ!」
容赦なくナカを圧迫していくスコールの肉楔。ドクドクと脈を打って質量が増していく熱に、快感で脳が振り切れてしまいそうになる。
スコールも同じように、いや、それ以上に感じているのだろうか。下唇を震わせて汗に濡れた顔をエルヴィールの胸の膨らみに埋めた。
「わっ、たし、だんなさまと、義務的なセックスじゃなくて、もっと、もっと、こうやっ、て」
「ぐ、うっ、エルヴィール……!」
妻にされるがまま快感に打ち震えていたスコールだったが、快楽に乱れる妻の姿を目の前にして我慢の糸が切れてしまったのか──性器を繋げた状態のまま、エルヴィールの身体を勢い良く押し倒した。
「あっ、ああっ、あっ!」
ぐちゅっ、ずちゅっ、ぱんぱんぱんっ。
スコールは激しい勢いで抽挿を繰り返す。愛液を巻き込みながら引き抜いては、最奥を狙って勢い良く突き上げて。今までからは考えられないほど、情熱的で荒々しい抱き方に、エルヴィールの瞳から悦びの涙が溢れ出す。
「エルヴィール、お前はっ、こんな私でもいいと言うのかっ、男として情けないところも、多々あるっ、本当は、お前を毎日っ、抱いて眠りたい、こんな風に、抱きたいと思っている……!」
「もちろんですっ、だんなさまっ、だんなさまのぜんぶっ、わたしだけに、わたしだけにみせてっ」
二人は叫ぶように言葉を交わしながら、互いの身体を貪欲に求め合う。
エルヴィールはスコールの身体に両腕と両脚を絡めて、ひたすら嬌声を漏らした。本能の赴くがままに腰を振り続けているスコールは、涎がだらだらと垂れ落ちる妻の唇を性急に塞ぐ。
「エルヴィール、名前で、名前で呼んでくれ……!」
「はっ、はいっ、スコールさまっ、お慕いしております、スコールさま……!」
「私もだ。愛している、エルヴィール。初めて会った時から……!」
(えっ。それは全然知らなかった)
エルヴィールは一瞬だけ落ち着きを取り戻した頭の中で言葉を返す。しかし、直ぐに快感に身体を揺さぶられ、胸を密着させるようにして夫の身体にしがみついた。
熱を孕んだ緋色の瞳に見下ろされながら、更にナカを激しく蹂躙される。
こんな風に抱かれるなんて、数時間前の自分なら夢にも思っていなかっただろう。何度も絶頂を迎えて体力がヘトヘトなのに、またイかされて。脳と身体が壊れてしまいそうになる。
「はっ、あっ、スコールさまっ、もう、わたしっ……いっしょに、いっしょに……!」
「はっ、だ、出すぞ、エルヴィール……! しっかりと受け入れろ……!」
スコールはエルヴィールの腰を押さえ付けながら、全ての欲望を吐き出す。どぷっぬぷっ、と大量に流れ込んでいく熱い精液。一滴残らず搾り取ろうと、エルヴィールのナカが厭らしく蠢いた。
「んっ、はぁ……!」
「ぐ、ぅっ……!」
ビクビクと身体を痙攣させて、二人は縺れるように床へ倒れる。スコールはエルヴィールの身体に覆い被さったまま、髪を指先で撫でて頬に口づけて、力なく微笑みかけた。
その笑顔は今までに見たことのないもので。あまりにも愛おしく可愛らしい表情に、一度冷めかけた熱に極上の媚薬が注がれていく。
「スコール様。もう一度しましょう」
「え?」
「もう一度しましょう」
戸惑うスコールに、エルヴィールはもう一度同じ台詞を口にする。
エルヴィールは夫の返事を待つことなくスコールに再び跨がり、腰をゆっくりと揺らし始めた。
「あっ、エルヴィール、なにをっ」
「スコール様、もっと可愛い顔を見せて」
「あっ、あっ、やめっ」
スコールの理性に反して、再びエルヴィールのナカで熱を持ち始める雄々しい欲望。
結局、エルヴィールとスコールは気を失うまでまぐわい続けて。雷雨を凌ぐほどの二人の大きな喘ぎ声が、屋敷に響き渡っていった。
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