118 / 154
第七章 紫
第116話 「アイリスお姉様」
しおりを挟む
正午の鐘が鳴った後。
私はさりげなく周囲を警戒しながら、中庭を歩く。
近くの空は澄み渡っているが、遠くの空には分厚い雲が見え隠れしている。
――今夜は、真っ暗な夜になる。
あの雲が、夜になると星も月も隠してしまうのだ。
ふと、視線を感じた私は歩みを止めた。
視界の端でちらちらと何かが動いている。
カツ、カツ、と足音が近づいてくる。
「――虹の巫女」
振り返った私が目にしたのは、キャラメル色の髪、くりくりとした瞳。
使用人のエプロンを身につけた、年齢不詳の可愛らしい女性。
一度だけ顔を合わせたことのある情報屋――『調香の巫女』フローラだった。
――私は、口元に布を当てられ、意識を失った。
私はふと、目を覚ます。
案の定、私は手足に枷を嵌められ、石の牢に繋がれていた。
「……うーん、まずいわよね……」
連れ去られて牢に繋がれることは想定通りだったのだが、予想外だったのは私に薬を嗅がせた人物だ。
「調香の巫女……精神に作用する香りを操る、のよね」
予想外の手強い人物の登場に、不安が募る。
いくら毒のことを知っていても、警戒心を失わされたりしたら、みんなが毒入りのお茶を口にしてしまうかもしれない。
解毒薬があるから大丈夫だと信じたいが……。
何にせよ、既に風の力を使ってしまった私には、どうすることも出来ない。
メーアたちが上手くやってくれることを祈るしかないのだ。
私は、焦る気持ちを必死に抑え、これから来るであろうアイリスにかける言葉を考えるのだった。
程なくして、その時はやってきた。
コツコツと石の上を歩く足音が響く。
木戸をあけて部屋に入ってきたのは、予想通りの人物。
ランタンを手に冷たい微笑みを浮かべているアイリスだった。
「虹の巫女。起きたのね」
私は笑顔を浮かべ、繋がれた両手両足で可能な限り首を垂らして、アイリスに一礼した。
「アイリスお姉様、ご機嫌麗しゅう」
アイリスは、私の反応が予想外だったようで、鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしている。
「……何のつもり?」
「私はセオドア殿下の婚約者、パステル・ロイドと申します。ずっと、愛する婚約者の再従姉妹であらせられるアイリスお姉様に、ご挨拶しようと思っていたのです。ご挨拶が遅れて、申し訳ありません」
「疫病神の、婚約者ですって? 嘘おっしゃい。あなたはあの疫病神に雇われているのではなくて?」
案の定、アイリスは食いついた。
正確には婚約者ではないし、今は何故かセオに避けられている身だが――そんなことは言う必要がない。
「疫病神……それはセオのことですか? セオが、私を雇った? 何の話でしょう……私たちは、ただ一緒にいたいからそばにいるんです」
「だって、あの疫病神はね――」
「セオが、お姉様にご迷惑をおかけしたみたいで、申し訳ありません」
私はアイリスの言葉を遮って、再び頭を下げる。
アイリスは呆気に取られている。
今のところ、こちらのペースだ。
「私たちが結婚したら、アイリスお姉様も私の家族です。どうか私に免じて、許してあげてもらえませんか? お姉様の気が晴れるのなら、痛いことでも、苦しいことでも、何でも受け入れます。だから、セオを許してあげてほしいのです」
私は頭を下げたまま、真摯にお願いをする。
このままアイリスの敵愾心をなくすことが目的だ。
情報を得るのは、それからである。
「パステルと言ったわね。顔を上げなさい」
その言葉に、私は顔を上げる。
「パステル、あなたは、あの疫病神がそんなに好きなの? あいつはどう思っているの? 本当に、あなたたちは結婚するの?」
「私はセオが好きです。誰よりも大切に想っています。それから……セオは私にプロポーズしてくれました。私も、一生セオと共にありたいと願いました」
私がはっきりと答えると、アイリスは何故か顔を赤くして、もじもじし始めた。
ヒューゴに対してかなり積極的なようだったが、実は初心なのかもしれない。
「そ、その……どんなプロポーズだったの? あいつのどこが好きなの? デートの時はどうしてるの? どうやって想いが通じ合ったの? それからそれから――」
「へっ!? あ、あの、そんないっぺんに聞かれましても……」
「あっ! そ、そうよね。わたくしったら、つい……」
アイリスは、ランタンの薄暗い明かりでも分かるくらい真っ赤になっている。
時間遡行する前に話をした時、アイリスは人との関わり方が致命的に下手なのだろうと私は感じた。
思い込みも激しく、強引で、第一印象は最悪。関わり合いになりたくないタイプだ。
だが同時に、一度懐に潜り込んでしまえば、容易く心を開くタイプだろうとも感じられた。
正義をこんこんと説くのではなく、敵意がないことを示して仲良くなってしまえば良かったのである。
城で私を捕まえたフローラのように、人の心理を扱うのに長けた人間にとっては、アイリスは操りやすい性格だろう――まあ、私が扱うには、彼女は考えが突飛すぎるし、ちょっと引くほど積極的だが。
とにかく、私はそのまま、アイリスが興味を持ちそうな話題に持っていくことにした。
風の力を失った私が少しでも早く王都に戻るには、アイリスの協力を得ることが一番の近道なのだ。
「ふふ、お姉様、もしかして好きな方でもいらっしゃるんですか? 私で良かったら、聞きますよ。恋バナ」
「まぁ! ほ、ほんとうに!? どうしましょう、わたくし、お友達が出来たわ! 憧れの恋バナ……っ」
アイリスの、警戒するような冷たい雰囲気はすっかり消え去り、ぱあっと顔を綻ばせる。
「ねえ、本当にわたくしのお話を聞いてくれるの? お友達になって下さる?」
「はい、もちろんですよ。お姉様のお話、たくさん聞かせて下さい」
「まぁ……! 嬉しいわ! 無理言って来てもらって良かったわ……ねえ、それならこんな場所じゃなくて、わたくしの部屋に来て下さらない? 美味しいクッキーがあるの!」
そう言ってアイリスは鍵を取り出し、私の手足の枷を外していく。
……攫われたはずだったのだが、いつの間にか「無理言って来てもらった」ということに置き換わっている。
「ああ、パステル、手荒な真似をしてしまったわね。てっきり、あなたは疫病神がわたくしを手元に置くために連れて来られた人なんだと思ってたの。
あの疫病神も、ついに好きな人を見つけたのね! 弟が旅立って行くみたいで少し寂しい気もするけど、ホッとしたわ」
「いいえ、勘違いが解けて良かったです」
予想以上に懐かれてしまって若干困惑しているが、この調子で喋っていれば、重要な情報も出てくるかもしれない。
「ところでお姉様、ここはどこなのですか? 王都にいるセオたちは――」
「あっ、そうだわ! まあ、どうしましょう……わたくし、大変なことをしてしまったのよ!」
アイリスは、毒のことを思い出したのだろうか。
口に手を当てて、あわあわし始めた。
「あの、お姉様?」
「わたくし、忘れていたわ! わたくしとしたことが、あなたをここに招待したことを誰にも伝えていなかったのよ! ああ、でもフローラおば様が話しているかしら?」
毒のことではなかった。
……そして今度はいつの間にか、ここに招待されたことになってしまった。
だが、フローラの名前が出たのはチャンスだ。
「あの、フローラさんって?」
「フローラおば様はねえ、お父様がかつて、心から愛した人なのよ。お父様はお母様と望まない結婚をさせられたの。
フローラおば様はね、努力家なのよ? なんたって、お父様と結ばれるために、『調香の巫女』に頼み込んで力を引き継がせてもらったんだから」
「そんなことが……」
「けれどね、お父様はお母様との婚約を解消出来なかったの。フローラおば様はお父様との間に子供を授かっていたのだけど――ああ、可哀想なおば様。その子は流れてしまった上に、二度と子を産めない身体になってしまったの」
もしかして、それでフローラは『傷を癒す魔女』を探していたのだろうか?
ノエルタウンの領主――氷の魔法を必要としているのは、また別の話だろうか。
「それで……フローラさんはお城で、何を?」
「それがね、フローラおば様は魔女に会いたいらしくて、情報を集めるためにお城に潜入――あ」
今度こそアイリスは、ばたばたと落ち着かない様子で、慌て始めた。
「たたた、大変よ! 毒薬、もう使っちゃったかしら!」
「――毒薬?」
欲しかった情報のひとつが得られそうな気配に、私は身を乗り出したのだった。
私はさりげなく周囲を警戒しながら、中庭を歩く。
近くの空は澄み渡っているが、遠くの空には分厚い雲が見え隠れしている。
――今夜は、真っ暗な夜になる。
あの雲が、夜になると星も月も隠してしまうのだ。
ふと、視線を感じた私は歩みを止めた。
視界の端でちらちらと何かが動いている。
カツ、カツ、と足音が近づいてくる。
「――虹の巫女」
振り返った私が目にしたのは、キャラメル色の髪、くりくりとした瞳。
使用人のエプロンを身につけた、年齢不詳の可愛らしい女性。
一度だけ顔を合わせたことのある情報屋――『調香の巫女』フローラだった。
――私は、口元に布を当てられ、意識を失った。
私はふと、目を覚ます。
案の定、私は手足に枷を嵌められ、石の牢に繋がれていた。
「……うーん、まずいわよね……」
連れ去られて牢に繋がれることは想定通りだったのだが、予想外だったのは私に薬を嗅がせた人物だ。
「調香の巫女……精神に作用する香りを操る、のよね」
予想外の手強い人物の登場に、不安が募る。
いくら毒のことを知っていても、警戒心を失わされたりしたら、みんなが毒入りのお茶を口にしてしまうかもしれない。
解毒薬があるから大丈夫だと信じたいが……。
何にせよ、既に風の力を使ってしまった私には、どうすることも出来ない。
メーアたちが上手くやってくれることを祈るしかないのだ。
私は、焦る気持ちを必死に抑え、これから来るであろうアイリスにかける言葉を考えるのだった。
程なくして、その時はやってきた。
コツコツと石の上を歩く足音が響く。
木戸をあけて部屋に入ってきたのは、予想通りの人物。
ランタンを手に冷たい微笑みを浮かべているアイリスだった。
「虹の巫女。起きたのね」
私は笑顔を浮かべ、繋がれた両手両足で可能な限り首を垂らして、アイリスに一礼した。
「アイリスお姉様、ご機嫌麗しゅう」
アイリスは、私の反応が予想外だったようで、鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしている。
「……何のつもり?」
「私はセオドア殿下の婚約者、パステル・ロイドと申します。ずっと、愛する婚約者の再従姉妹であらせられるアイリスお姉様に、ご挨拶しようと思っていたのです。ご挨拶が遅れて、申し訳ありません」
「疫病神の、婚約者ですって? 嘘おっしゃい。あなたはあの疫病神に雇われているのではなくて?」
案の定、アイリスは食いついた。
正確には婚約者ではないし、今は何故かセオに避けられている身だが――そんなことは言う必要がない。
「疫病神……それはセオのことですか? セオが、私を雇った? 何の話でしょう……私たちは、ただ一緒にいたいからそばにいるんです」
「だって、あの疫病神はね――」
「セオが、お姉様にご迷惑をおかけしたみたいで、申し訳ありません」
私はアイリスの言葉を遮って、再び頭を下げる。
アイリスは呆気に取られている。
今のところ、こちらのペースだ。
「私たちが結婚したら、アイリスお姉様も私の家族です。どうか私に免じて、許してあげてもらえませんか? お姉様の気が晴れるのなら、痛いことでも、苦しいことでも、何でも受け入れます。だから、セオを許してあげてほしいのです」
私は頭を下げたまま、真摯にお願いをする。
このままアイリスの敵愾心をなくすことが目的だ。
情報を得るのは、それからである。
「パステルと言ったわね。顔を上げなさい」
その言葉に、私は顔を上げる。
「パステル、あなたは、あの疫病神がそんなに好きなの? あいつはどう思っているの? 本当に、あなたたちは結婚するの?」
「私はセオが好きです。誰よりも大切に想っています。それから……セオは私にプロポーズしてくれました。私も、一生セオと共にありたいと願いました」
私がはっきりと答えると、アイリスは何故か顔を赤くして、もじもじし始めた。
ヒューゴに対してかなり積極的なようだったが、実は初心なのかもしれない。
「そ、その……どんなプロポーズだったの? あいつのどこが好きなの? デートの時はどうしてるの? どうやって想いが通じ合ったの? それからそれから――」
「へっ!? あ、あの、そんないっぺんに聞かれましても……」
「あっ! そ、そうよね。わたくしったら、つい……」
アイリスは、ランタンの薄暗い明かりでも分かるくらい真っ赤になっている。
時間遡行する前に話をした時、アイリスは人との関わり方が致命的に下手なのだろうと私は感じた。
思い込みも激しく、強引で、第一印象は最悪。関わり合いになりたくないタイプだ。
だが同時に、一度懐に潜り込んでしまえば、容易く心を開くタイプだろうとも感じられた。
正義をこんこんと説くのではなく、敵意がないことを示して仲良くなってしまえば良かったのである。
城で私を捕まえたフローラのように、人の心理を扱うのに長けた人間にとっては、アイリスは操りやすい性格だろう――まあ、私が扱うには、彼女は考えが突飛すぎるし、ちょっと引くほど積極的だが。
とにかく、私はそのまま、アイリスが興味を持ちそうな話題に持っていくことにした。
風の力を失った私が少しでも早く王都に戻るには、アイリスの協力を得ることが一番の近道なのだ。
「ふふ、お姉様、もしかして好きな方でもいらっしゃるんですか? 私で良かったら、聞きますよ。恋バナ」
「まぁ! ほ、ほんとうに!? どうしましょう、わたくし、お友達が出来たわ! 憧れの恋バナ……っ」
アイリスの、警戒するような冷たい雰囲気はすっかり消え去り、ぱあっと顔を綻ばせる。
「ねえ、本当にわたくしのお話を聞いてくれるの? お友達になって下さる?」
「はい、もちろんですよ。お姉様のお話、たくさん聞かせて下さい」
「まぁ……! 嬉しいわ! 無理言って来てもらって良かったわ……ねえ、それならこんな場所じゃなくて、わたくしの部屋に来て下さらない? 美味しいクッキーがあるの!」
そう言ってアイリスは鍵を取り出し、私の手足の枷を外していく。
……攫われたはずだったのだが、いつの間にか「無理言って来てもらった」ということに置き換わっている。
「ああ、パステル、手荒な真似をしてしまったわね。てっきり、あなたは疫病神がわたくしを手元に置くために連れて来られた人なんだと思ってたの。
あの疫病神も、ついに好きな人を見つけたのね! 弟が旅立って行くみたいで少し寂しい気もするけど、ホッとしたわ」
「いいえ、勘違いが解けて良かったです」
予想以上に懐かれてしまって若干困惑しているが、この調子で喋っていれば、重要な情報も出てくるかもしれない。
「ところでお姉様、ここはどこなのですか? 王都にいるセオたちは――」
「あっ、そうだわ! まあ、どうしましょう……わたくし、大変なことをしてしまったのよ!」
アイリスは、毒のことを思い出したのだろうか。
口に手を当てて、あわあわし始めた。
「あの、お姉様?」
「わたくし、忘れていたわ! わたくしとしたことが、あなたをここに招待したことを誰にも伝えていなかったのよ! ああ、でもフローラおば様が話しているかしら?」
毒のことではなかった。
……そして今度はいつの間にか、ここに招待されたことになってしまった。
だが、フローラの名前が出たのはチャンスだ。
「あの、フローラさんって?」
「フローラおば様はねえ、お父様がかつて、心から愛した人なのよ。お父様はお母様と望まない結婚をさせられたの。
フローラおば様はね、努力家なのよ? なんたって、お父様と結ばれるために、『調香の巫女』に頼み込んで力を引き継がせてもらったんだから」
「そんなことが……」
「けれどね、お父様はお母様との婚約を解消出来なかったの。フローラおば様はお父様との間に子供を授かっていたのだけど――ああ、可哀想なおば様。その子は流れてしまった上に、二度と子を産めない身体になってしまったの」
もしかして、それでフローラは『傷を癒す魔女』を探していたのだろうか?
ノエルタウンの領主――氷の魔法を必要としているのは、また別の話だろうか。
「それで……フローラさんはお城で、何を?」
「それがね、フローラおば様は魔女に会いたいらしくて、情報を集めるためにお城に潜入――あ」
今度こそアイリスは、ばたばたと落ち着かない様子で、慌て始めた。
「たたた、大変よ! 毒薬、もう使っちゃったかしら!」
「――毒薬?」
欲しかった情報のひとつが得られそうな気配に、私は身を乗り出したのだった。
0
お気に入りに追加
19
あなたにおすすめの小説
冷徹宰相様の嫁探し
菱沼あゆ
ファンタジー
あまり裕福でない公爵家の次女、マレーヌは、ある日突然、第一王子エヴァンの正妃となるよう、申し渡される。
その知らせを持って来たのは、若き宰相アルベルトだったが。
マレーヌは思う。
いやいやいやっ。
私が好きなのは、王子様じゃなくてあなたの方なんですけど~っ!?
実家が無害そう、という理由で王子の妃に選ばれたマレーヌと、冷徹宰相の恋物語。
(「小説家になろう」でも公開しています)
絶対に間違えないから
mahiro
恋愛
あれは事故だった。
けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。
だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。
何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。
どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。
私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。
悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます
綾月百花
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。
白い結婚を言い渡されたお飾り妻ですが、ダンジョン攻略に励んでいます
時岡継美
ファンタジー
初夜に旦那様から「白い結婚」を言い渡され、お飾り妻としての生活が始まったヴィクトリアのライフワークはなんとダンジョンの攻略だった。
侯爵夫人として最低限の仕事をする傍ら、旦那様にも使用人たちにも内緒でダンジョンのラスボス戦に向けて準備を進めている。
しかし実は旦那様にも何やら秘密があるようで……?
他サイトでは「お飾り妻の趣味はダンジョン攻略です」のタイトルで公開している作品を加筆修正しております。
誤字脱字報告ありがとうございます!
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
記憶喪失になった嫌われ悪女は心を入れ替える事にした
結城芙由奈@12/27電子書籍配信中
ファンタジー
池で溺れて死にかけた私は意識を取り戻した時、全ての記憶を失っていた。それと同時に自分が周囲の人々から陰で悪女と呼ばれ、嫌われている事を知る。どうせ記憶喪失になったなら今から心を入れ替えて生きていこう。そして私はさらに衝撃の事実を知る事になる―。
【完結】アラサー喪女が転生したら悪役令嬢だった件。断罪からはじまる悪役令嬢は、回避不能なヤンデレ様に溺愛を確約されても困ります!
美杉。節約令嬢、書籍化進行中
恋愛
『ルド様……あなたが愛した人は私ですか? それともこの体のアーシエなのですか?』
そんな風に簡単に聞くことが出来たら、どれだけ良かっただろう。
目が覚めた瞬間、私は今置かれた現状に絶望した。
なにせ牢屋に繋がれた金髪縦ロールの令嬢になっていたのだから。
元々は社畜で喪女。挙句にオタクで、恋をすることもないままの死亡エンドだったようで、この世界に転生をしてきてしあったらしい。
ただまったく転生前のこの令嬢の記憶がなく、ただ状況から断罪シーンと私は推測した。
いきなり生き返って死亡エンドはないでしょう。さすがにこれは神様恨みますとばかりに、私はその場で断罪を行おうとする王太子ルドと対峙する。
なんとしても回避したい。そう思い行動をした私は、なぜか回避するどころか王太子であるルドとのヤンデレルートに突入してしまう。
このままヤンデレルートでの死亡エンドなんて絶対に嫌だ。なんとしても、ヤンデレルートを溺愛ルートへ移行させようと模索する。
悪役令嬢は誰なのか。私は誰なのか。
ルドの溺愛が加速するごとに、彼の愛する人が本当は誰なのかと、だんだん苦しくなっていく――
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる