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第六章 赤
第100話 「地面の下」
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結局、アイリスの帰る日付けは分からないということだったが、問題はどうやって彼女に見つかることなく王城に忍び込むかという点である。
火の神殿は王城の敷地内、しかも王族にしか入れない場所にあるということは、やはりヒューゴの協力が必須だろう。
しかし、ヒューゴが城にいる間、彼はずっとアイリスに纏わりつかれている様子だ。
ノラやカイでさえアイリスに気付かれずに接触するのが困難だったのに、部外者の私たちがどう立ち回ればいいのだろうか。
私たちがああでもない、こうでもないと議論を交わしていると、玄関からノックの音が響いた。
「ただいまー。開けてくれー」
ノックの音と共に聞こえてきた声は、紛れもない、カイの声だった。
「今度こそカイにゃー? 全く、遅かったにゃー。まあ、おかげでスムーズに話が進んにゃけど」
ノラが玄関に向かい、どうやっているのか、器用に鍵を開ける。
「ん? その子が例の子かにゃ?」
「ああ、魔女だよ、噂の。ヒューゴ殿下が場所を突き止めてくれてな。さ、入ってくれ」
カイが背中を押して居間に押し込んだ人物に、私は見覚えがあった。
俯いていて表情はよく見えないが――カイが連れてきたのは、先日、街で見かけたとんがり帽子に黒いローブの魔女だった。
「カイ、ご苦労だった。無事務めを果たしてきたようだな」
ヒューゴがカイに声をかけると、カイはニカっと得意げに笑い、敬礼を返す。
「君が『魔女』か。顔を上げてくれないか」
ヒューゴがそう促すと、魔女は顔を上げる。
魔女は、子供だった。
七、八歳程度だろうか。
小さく丸い鼻とぽってりした唇は可愛らしく庇護欲を誘うが、眠そうな目はどこか虚ろで、子供らしからぬ哀愁を漂わせている。
「――腰まで届く長い髪と、物憂げな瞳は紫水晶と同じ色。無口で、いつも眠そうな娘。伝え聞いていた情報通りだな」
ヒューゴは魔女の目の前まで歩いて行って、少しかがむと、視線を合わせた。
彼女を安心させるように、笑みを浮かべる。
「突然連れてきて、すまない。私はヒューゴ。この国の王太子だ。君の名前を教えてくれないか?」
「……名前、ない。みんな、『魔女』、呼ぶ」
「名前が、ない? 君は孤児か何かか?」
「コジ、なに? あたい、知らない」
魔女は、片言でゆっくりと言葉を紡いでいく。
ヒューゴは、話すスピードを少し緩めて、質問を続ける。
「……そうか。なら、お父さんやお母さんはいるか?」
「父も、母も、知らない」
「なら、君はどうやって育った?」
「師匠、あたい、育てた。でも、先月、あたい、ひとり、街、出てきた」
「先月……魔女の目撃情報が出始めた頃と一致するな。その師匠はどこに?」
「地面の下」
魔女は、淡々と言葉を紡ぐ。
ヒューゴは憐憫の情を視線に乗せ、声のトーンを落とした。
「……そうか。辛いことを聞いた。すまない」
「つらい、ない。師匠、近く、いる」
「それでは、君は今一人で暮らしているんだな? 城に来る気はないか?」
「シロ?」
「ああ。街の真ん中にある、大きい建物だ。私たちは、君にその不思議な力を借りたいと思っていてね。君さえよければ、力を貸してもらう代わりに、城に部屋を用意するぞ」
「シロ、あたい、住む?」
「そうだ」
「いや」
魔女は、大きくかぶりを振った。
気のせいか、少し涙目になっている。
「あたい、師匠、そば、いる」
「だが、君の師匠は亡くなってしまったんだろう? なら――」
「師匠、生きてる」
「え?」
その言葉に、ヒューゴは笑みを消して目を丸くした。
「だって、さっき師匠は地面の下って」
「師匠、地面の下、住んでる。あたい、大きくなりすぎた。だから、出てきた」
魔女の言葉にすぐさま反応したのは、黒猫の妖精ノラだった。
ノラはヒューゴの肩に登ると、魔女に話しかける。
「……もしかして、魔女さんの師匠って、地底人族かにゃ?」
「師匠、名前、知らない。背、ちっちゃい。チカラ、強い。坑道、掘る。鍛治、好き、酒、好き」
「間違いないにゃ」
「……地底人? まさか、本当に存在するのか?」
「何言ってるにゃ。火の精霊もミーもいるんだから、地底人ぐらいいるにゃ」
ノラとヒューゴと魔女が話している邪魔をしないように、私はセオにこっそり質問をした。
「あの、地底人族って?」
「森妖精と一緒で、精霊の血を引く種族だよ。鉱山の精霊の血を引いていると言われていて、鍛治が得意なんだ。岩穴や地下、鉱山なんかに住んでる」
「へぇ……」
その間も三人の会話は先に進んでいる。
「それで、魔女殿。城に住まなくてもいいから、少し手伝ってもらいたいことがあるんだ。きちんと礼はする」
「お礼、なんでも?」
「ああ。私に出来る範囲であれば、可能な限り希望を叶えよう」
その回答を聞いて、魔女の眠そうな目が少し開き、輝きが宿った。
「いっぱいの、ごはん。師匠の、お酒」
「ああ、そのぐらいなら幾らでも」
ヒューゴは魔女の望みにくすりと笑みをこぼして、応える。
魔女の瞳は、きらきらと輝きを増した。
「なら、手伝う。あたい、何する?」
「君の力――傷を癒す力なのだろう? 精霊の傷も癒せるか?」
「精霊? 癒す?」
「ああ。怒り狂って鎮められた精霊の傷を癒し、人の世に呼び戻すことは、可能か?」
「それ、あたいのチカラ、無理。精霊、関わる、だめ。あたい、癒す、違う」
「そうか……」
「あたい、手伝える、ない?」
魔女は、少し寂しそうだ。
手伝えることがないなら、お礼をもらえないと思ったのだろう。
だが、ヒューゴは、即座に次の頼みを告げた。
「――いや、もう一つ、確かめたいことがある。これを」
ヒューゴは懐から一通の手紙を取り出し、魔女に手渡した。
「これがあれば城に入れる。君の都合の良い時に、城に来てもらいたいんだ。……念のため、診てもらいたい人物がいる」
「シロ、街の、真ん中?」
「そうだ。直接来てくれてもいいし、もし場所がわからなかったら、この部屋を訪ねてくれれば良い。そこにいるカイが、城へ案内してくれる」
「わかった。あたい、誰をみる?」
「父の大切な女だ。寝たきりになっている。それから――私の父だ。心を、病んでいる」
「わかった、二人、みる。あたい、行く、約束。ごはん、お酒、約束」
「ああ。食事と、酒を用意しておこう。約束だ」
「指切り、げんまん」
魔女とヒューゴは小指を絡めて約束を交わす。
カイに送られて、魔女は帰って行ったのだった。
火の神殿は王城の敷地内、しかも王族にしか入れない場所にあるということは、やはりヒューゴの協力が必須だろう。
しかし、ヒューゴが城にいる間、彼はずっとアイリスに纏わりつかれている様子だ。
ノラやカイでさえアイリスに気付かれずに接触するのが困難だったのに、部外者の私たちがどう立ち回ればいいのだろうか。
私たちがああでもない、こうでもないと議論を交わしていると、玄関からノックの音が響いた。
「ただいまー。開けてくれー」
ノックの音と共に聞こえてきた声は、紛れもない、カイの声だった。
「今度こそカイにゃー? 全く、遅かったにゃー。まあ、おかげでスムーズに話が進んにゃけど」
ノラが玄関に向かい、どうやっているのか、器用に鍵を開ける。
「ん? その子が例の子かにゃ?」
「ああ、魔女だよ、噂の。ヒューゴ殿下が場所を突き止めてくれてな。さ、入ってくれ」
カイが背中を押して居間に押し込んだ人物に、私は見覚えがあった。
俯いていて表情はよく見えないが――カイが連れてきたのは、先日、街で見かけたとんがり帽子に黒いローブの魔女だった。
「カイ、ご苦労だった。無事務めを果たしてきたようだな」
ヒューゴがカイに声をかけると、カイはニカっと得意げに笑い、敬礼を返す。
「君が『魔女』か。顔を上げてくれないか」
ヒューゴがそう促すと、魔女は顔を上げる。
魔女は、子供だった。
七、八歳程度だろうか。
小さく丸い鼻とぽってりした唇は可愛らしく庇護欲を誘うが、眠そうな目はどこか虚ろで、子供らしからぬ哀愁を漂わせている。
「――腰まで届く長い髪と、物憂げな瞳は紫水晶と同じ色。無口で、いつも眠そうな娘。伝え聞いていた情報通りだな」
ヒューゴは魔女の目の前まで歩いて行って、少しかがむと、視線を合わせた。
彼女を安心させるように、笑みを浮かべる。
「突然連れてきて、すまない。私はヒューゴ。この国の王太子だ。君の名前を教えてくれないか?」
「……名前、ない。みんな、『魔女』、呼ぶ」
「名前が、ない? 君は孤児か何かか?」
「コジ、なに? あたい、知らない」
魔女は、片言でゆっくりと言葉を紡いでいく。
ヒューゴは、話すスピードを少し緩めて、質問を続ける。
「……そうか。なら、お父さんやお母さんはいるか?」
「父も、母も、知らない」
「なら、君はどうやって育った?」
「師匠、あたい、育てた。でも、先月、あたい、ひとり、街、出てきた」
「先月……魔女の目撃情報が出始めた頃と一致するな。その師匠はどこに?」
「地面の下」
魔女は、淡々と言葉を紡ぐ。
ヒューゴは憐憫の情を視線に乗せ、声のトーンを落とした。
「……そうか。辛いことを聞いた。すまない」
「つらい、ない。師匠、近く、いる」
「それでは、君は今一人で暮らしているんだな? 城に来る気はないか?」
「シロ?」
「ああ。街の真ん中にある、大きい建物だ。私たちは、君にその不思議な力を借りたいと思っていてね。君さえよければ、力を貸してもらう代わりに、城に部屋を用意するぞ」
「シロ、あたい、住む?」
「そうだ」
「いや」
魔女は、大きくかぶりを振った。
気のせいか、少し涙目になっている。
「あたい、師匠、そば、いる」
「だが、君の師匠は亡くなってしまったんだろう? なら――」
「師匠、生きてる」
「え?」
その言葉に、ヒューゴは笑みを消して目を丸くした。
「だって、さっき師匠は地面の下って」
「師匠、地面の下、住んでる。あたい、大きくなりすぎた。だから、出てきた」
魔女の言葉にすぐさま反応したのは、黒猫の妖精ノラだった。
ノラはヒューゴの肩に登ると、魔女に話しかける。
「……もしかして、魔女さんの師匠って、地底人族かにゃ?」
「師匠、名前、知らない。背、ちっちゃい。チカラ、強い。坑道、掘る。鍛治、好き、酒、好き」
「間違いないにゃ」
「……地底人? まさか、本当に存在するのか?」
「何言ってるにゃ。火の精霊もミーもいるんだから、地底人ぐらいいるにゃ」
ノラとヒューゴと魔女が話している邪魔をしないように、私はセオにこっそり質問をした。
「あの、地底人族って?」
「森妖精と一緒で、精霊の血を引く種族だよ。鉱山の精霊の血を引いていると言われていて、鍛治が得意なんだ。岩穴や地下、鉱山なんかに住んでる」
「へぇ……」
その間も三人の会話は先に進んでいる。
「それで、魔女殿。城に住まなくてもいいから、少し手伝ってもらいたいことがあるんだ。きちんと礼はする」
「お礼、なんでも?」
「ああ。私に出来る範囲であれば、可能な限り希望を叶えよう」
その回答を聞いて、魔女の眠そうな目が少し開き、輝きが宿った。
「いっぱいの、ごはん。師匠の、お酒」
「ああ、そのぐらいなら幾らでも」
ヒューゴは魔女の望みにくすりと笑みをこぼして、応える。
魔女の瞳は、きらきらと輝きを増した。
「なら、手伝う。あたい、何する?」
「君の力――傷を癒す力なのだろう? 精霊の傷も癒せるか?」
「精霊? 癒す?」
「ああ。怒り狂って鎮められた精霊の傷を癒し、人の世に呼び戻すことは、可能か?」
「それ、あたいのチカラ、無理。精霊、関わる、だめ。あたい、癒す、違う」
「そうか……」
「あたい、手伝える、ない?」
魔女は、少し寂しそうだ。
手伝えることがないなら、お礼をもらえないと思ったのだろう。
だが、ヒューゴは、即座に次の頼みを告げた。
「――いや、もう一つ、確かめたいことがある。これを」
ヒューゴは懐から一通の手紙を取り出し、魔女に手渡した。
「これがあれば城に入れる。君の都合の良い時に、城に来てもらいたいんだ。……念のため、診てもらいたい人物がいる」
「シロ、街の、真ん中?」
「そうだ。直接来てくれてもいいし、もし場所がわからなかったら、この部屋を訪ねてくれれば良い。そこにいるカイが、城へ案内してくれる」
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「父の大切な女だ。寝たきりになっている。それから――私の父だ。心を、病んでいる」
「わかった、二人、みる。あたい、行く、約束。ごはん、お酒、約束」
「ああ。食事と、酒を用意しておこう。約束だ」
「指切り、げんまん」
魔女とヒューゴは小指を絡めて約束を交わす。
カイに送られて、魔女は帰って行ったのだった。
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