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第27話『Q.遊びに誘ってほしいですか?」

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「最近俺の物語は展開が真面目すぎる」

 最近のラノベタイトル風に放つその一言。俺の本心だ。
 だってさ模擬試合で面白いことやれって言う方が無茶な話だよ。俺なんてほぼ即死だったんだからそんな余裕ないし、一番面白いことできそうなテューは瞬殺して終わりだし、そのあと何壮絶な物語を語り出すし……最近俺の物語は展開が真面目すぎる。大事なことなので二回言いました。まぁ正確には言ってませんがね。

 朝――。分厚い雲が太陽の光を遮り、薄暗い世界が広がっている。
 俺は今、布団から旅立ち、新しい一日を始めんとし制服へと手を伸ばしている。
 昨日は宿に帰ってからはいつも通り過ぎて、俺の異世界ライフを覗き見するとか言う相当無駄な時間を過ごすことがお好きな皆さんですら見ても仕様がないような事しかなく……これ以上言ったら炎上しそう。……俺はそんな皆さんが大好きだぜ! キリッ。

 それはそうと、昨日は二回もボッコボコにされたせいで精神的に疲労感があったからすぐにベットへとダイブしたのだ。リンクスタート! そのダイブじゃないね。んで、目を覚ましたら今日だったと言うわけよ。

「最近魔法の研究サボり気味だなぁ」

 魔法の研究はあれからほぼ進んでいない。と言うか、これ以上何をどうすればいいのかがわからないのだ。ここから先は使える人に聞くのが早いかもしれない。テューたちは使えるのかな?
 そんなことを考えながら、着替えを終えて階段を降りていく。朝食はいつも通りのパンとミルクだ。こんな天気でも、ミルクだけはいつものように白く輝いていた。



 ■■■

 カラーンカラーン。

「んー……セーイフ!」

 鐘の音と同時に教室にたどり着く。テューはニヤニヤとしながらこちらを見ていた。
 忍び足で自分の席へと向かい、静かに座る。

「今日は随分ギリゴリだね」

 今噛んだな。ギリゴリってなんだよ。ゴリラかよ。まぁ突っ込まないであげよう。
 朝の連絡事項を聴きながら、小声で話仕掛けてくるテュー。一旦無視し、話が終わった後に俺は事情を説明し始めた。

「道に迷った……」

「通学路で?」

「……うん」

「こ」

「黙れ」

 即座に突っ込む。なんで唐突に下ネタふっかけてくるんだこいつは。まぁいい。
 俺は話を続けた。

「いつもの道を通ろうとしたら、ガキどもがこっちは通行止めですって言うから別の道行ったんだよ。そしたらまた別のガキがいてそこも通れないって……何笑ってんだよ」

「いや……ククッ……別に……続けて?」

 なんなんだ? こいつ。
 笑いが堪えきれないというふうに口に力を入れてとんがらせながら話を聞いているテュー。なんだかよく分からないが、俺は構わず話を続ける。

「まぁそんなこんなで全然知らない道まで行ってしまい、困ったから元の道まで戻ったらガキどもは居ないし、どこにも通行止めなんて書いてないし……おいテュー、テメェ。さっきから何笑ってんだ」

「いやだってさ――」

「あのガキども今度あったら――」

「それ指示したの俺だし」

「…………は?」

 突然訳のわからないことを言い出すテュー。待て待て俺の頭が追い付いていない。……ダウンロード完了。よし。いつでもこい。

「だぁかぁらぁ、そのガキどもは俺の子分で、それは俺からの愛のいたず――」

 俺は無言でテューのみぞおちにパンチを入れた。そこには昨日クラスで一番強い称号を手に入れた男の、無残にも泡を吹いて倒れている姿があった。
 いい音したよ。ゴフッてね。



 ■■■

 昼休み――。

 いつものように集まって昼食をとる俺たち四人。豪快にお弁当を貪るテューを向かいに、ユナがティナと話を始めた。

「ティナ、今週末時間ある?」

「うん。あるよ!」

「久し振りに買い物しない?」

「いいね! 行こう行こう!」

 どうやら女子のショッピングの話のようだ。俺たちには関係ないとさ。
 ちなみにこの世界の時間や週、月の間隔は元いた世界と同じのようだ。太陽と月があることからも、この世界が地球に近いものである事がよく分かる。異常に違う環境でなくてよかったとホッとしているところだよ。
 そして、土日は学校は休み! つまりは自由な時間が増えるという事なのだが……スマホ充電できてないし、そもそも電波ないからアニメ見れないしなぁ……。

「テューも一緒に行かない?」

「良いのかい? 女子だけの秘密のショッピングにお邪魔しちゃっても」

 お前は怪しいお爺ちゃんか! 目と口を横に伸ばしながらそう言ったテューに対して、誘い主のティナは「別に構わないわ」と笑顔で答えた。あれ? 俺は?

「どうしても期待っていうならとおるも誘ってあげなくもないけど?」

 やった! なんかちょっと回りくどい言い方だけど、これって誘われてるんだよね? それにしてもユナはツンデレさんだねぇ。素直に誘ってくれれば良いのに。まぁ、そんなところも好きだけどね。
 俺は即答で行きます宣言をした。

「じゃあ日曜の朝九時に学校の校門集合で!」

 どうやら今回の幹事はティナがやってくれそうだ。
 こうして、俺は日曜日に初の異世界観光をすることになったのだった。
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