精霊さんと一緒にスローライフ ～異世界でも現代知識とチートな精霊さんがいれば安心です～

第037話 出オチ的生命体

　人間、食生活さえしっかりしていれば結構耐えられる。

　これは、ブラック会社時代の経験則なのですが。

　元々お肉ちょびっとで慎ましい食生活だった村の人達。

　最近精霊さん達のハッスルの結果、肉の流通量が極端に増えまして。

　日々の食卓にも肉がそれなりに乗るようになりました。

　となると、どうなるのかというと。

　皆さん、元気です。

　めっちゃ、お仕事捗ってます。

　冬支度？

　お茶の子さいさいで処理していっています。

　畑仕事？

　畑が二倍に増えたのに、苦にもせず働いています。

　まぁねぇ。

　馬力が欲しければ、肉食えというのは基本ですが。

　ベジタリアンの方が肉を食べ始めてから真の力に目覚めるかのような。

　超野菜な人が胴着型の重りを落として、いっちょやってみっかと言うような。

　本気モード入りました。

　なので、村の人手が足りてまして。

　最近は、精霊さん達と一緒に道づくりに精を出しております。

　精霊さん情報では、森の奥の方に大きな湖があるそうで。

　その辺りに新しい村を興したいなと。

　まずは、そこまでの通路を開設している訳でございます。

　まぁ、やっている事は作業指示だけなのですが。

「じゃあ、お願いします」

　精霊さん達にお願いすると、畑の開墾の時のようにガガガと。

　重機も真っ青な効率で、道が生えてきます。

　しかも、ローマ街道よろしく三層構造を説明した日には。

　その通りのサンプルを作ってくれましたので。

　路肩に排水用の隙間を適度に空けながら、延伸している次第です。

　石畳、めっちゃ歩きやすい。

　いや、この世界に来てからずっと底の薄いサンダルでして。

　舗装の無い道ばかりで、凸凹や入ってくる砂に悩まされていましたので。

　舗装は偉大だなと思いました。

　実際には、私がいなくなった後を考えるのならば。

　砂利舗装とかの方が保守コストがかからないのですが。

　偶には我が儘も良いかなと思って、お願いしちゃいました。

　かくして、四メートルの車道に三メートルの歩道が両端に付いている立派な街道がズズズっと伸びている次第となりました。

　危険防止のため、更に両端五メートル程を切り開きながら進んでいる訳ですが。

　製材作業が捗る、捗る。

　物凄い勢いで、丸太が生産されていきます。

　精霊さん達の物作りの範疇は謎ですが。

　枝を落として丸太にするまでは完璧なのです。

　後、枝や切り株をある程度の大きさに砕いて薪にする部分もですね。

　ふむぅ……。

　性格が大雑把なのでしょうか。

　じっと見つめても、労働の楽しみに輝いたつぶらな瞳しか返ってこないので分かりませんが。

　あ。

　また、事故が発生しました。

　いや、森を拓くという事で。

　野生生物との遭遇というのがたまにありまして。

　大体の生き物は驚いて逃げていくのですが。

　こちらに襲い掛かってくる相手というのもいます。

　というか、いました（過去形）。

　暫定仮称、オークさんですね。

　ちなみに、森は弱肉強食でして。

　オオカミさんやクマさんが日常的にパトロールしているような場所です。

　ゲームの如く、ゴブリンさんとかが住み着いても、間違いなく食料でしょう。

　という訳で。

　この森で平和に暮らそうと思うのであれば。

　単体で人間を凌駕する生き物じゃないと難しいのです。

　で、オークさん。

　背の高さは二メートル半程度。

　横幅は倍くらいですね。

　膂力はありますが、ウェイトがあるため鈍重な印象です。

　人型の生き物ですが、お鼻が豚鼻っぽかったので、オークとしてみました。

　いやぁ、未知との遭遇。

　初めて出会った時は、叫びを上げて森の奥から飛び出してきたのですが。

　その声にびっくりした瞬間に精霊さん達が反応。

　あっという間に埋められて、土がもごもごしたかと思えば、埋葬完了でした。

　その後に、ぴょこっと魔石が生えてきた時には。

　精霊さんとは喧嘩しないって固く誓いました。

　で、事故に関してですが。

　ひょっこひょこと偶に遭遇するオークさん。

　出オチのように森から出てくると、没シュートされるので。

　もうね、事故だなと。

　私に取って？

　いや、オークさんにとってです。

　毎度、合掌しちゃいます。

　南無南無。