一坪から始まる新世界創造

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第044話 美人あらわる、あらわる

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 朝食ということで、『一坪の世界』の外に出てみると。

『一定以上の規模の生物が居住しました。一坪の世界を拡張します』

『複数の一定以上の規模の生物が居住しました(三種族)。一坪の世界を拡張します』

『一定以上の規模の生物が居住しました。一坪の世界を拡張します』

『複数の一定以上の規模の生物が居住しました(四種族)。一坪の世界を拡張します』

 と、報告がありまして。

 レーシアさんの件は薄々予測していたのですが、もう一件。

 はてと考えて、アイシャさんかと納得。

 最近は研究や製品開発に籠る機会も多かったですし、住処、帰る場所として認識してもらえたなら嬉しいなと。

 三十三坪六十六畳の空間。

 最近は、ぼこっと増える感じではなく、全体が徐々に広がっているようなのでちょっと認識し辛いですが。

 それでも広がる世界にわくわくします。

 朝食後は、タイルの質感を確認するために、露天風呂の増築を皆で頑張ります。

 今までは二人が足を伸ばしてゆったり出来る程度だったのですが、三人分くらいに広げようかと。

 ドラゴンスライムさん達が、ガチガチと接着したブロックを破壊しぱくぱくと平らげてくれます。

 無機質も龍土や龍鉱に変えられるカラクリをちょっと教えて欲しいなとは思いますが。
 開いた空間を整地、立ち上げまして、皆でぺたぺたタイルを張っていきます。

「おぉぉ。綺麗です!!」

「ほんまや、だいぶ感じが変わんなぁ……」

「えぇと、これはどういった設備なのだろうか?」

 真っ青なタイルの中に、白い半透明な大小の浴槽がででんと並ぶのは壮観です。

 使い方がよく分かっていないレーシアさんのために、じゃばーとお湯を注ぎまして。

「後はお願いします」

「分かりました!!」

「了解や!!」

 女性陣に任せて、部屋に戻ります。

 どうせ今日か明日にはディリータさんから呼び出しが来そうだなと。

 ちょっと気の利く領主であれば、あれだけ一方的に権利をぶん投げられたら困るだろうし。

 何か相殺するようなご褒美を考えようかなと思っていると、キャッキャと年相応の楽しそうな声が聞こえてきまして。

 和やかな事で、結構ですと微笑んでしまった。

「あれは良い文化だ!!」

 開口一番きりっと阿呆な事を告げるレーシアさんをころりんと膝枕。

「な、なにをするのだ!?」

 くっ殺女騎士みたいな台詞を吐くレーシアさんの服を剥ぎ剥ぎ。

 二人はちょっと離席してもらっています。

 というのも、冒険者として長く生活していたのもありまして、古傷だらけなんです。

 折角の美貌が勿体ないなと。

 スケベ心?

 あの青痣塗れの状況が浮かんじゃうんで、全然感じません。

 弱めに作ってもらった麻酔薬を服薬してもらい、感覚が鈍った辺りでスライムさん達にお願いし、真皮の部分含めて溶かして再生薬を塗り込んでいきます。

 エルディアさんくらいなら痛みを感じずに出来ますが、真皮よりも深くから影響が出ているケースもあるので麻酔薬必須です。

 刺されてぼっこり火山のように盛り上がったり、火傷のケロイドが広がっていたりと、中々に壮絶でしたが根気よく、もみもみ。

 全身マッサージを含めて施術をしていると逃亡以来張っていた気が緩んだのかすやすやと寝息が。

 施術完了と共に部屋へ運んで戻ると、待てをする犬のようにはふはふした二人がいまして。

 しょうがないなと思いつつ、頑張りました。

 出来れば寝る前に覚えて欲しいなとは考えましたが。

 全員寝かしつけて、俺も風呂へ。

 スライムさん達と戯れて、身支度をしていると、ノックが。

 出ると、黒鹿屋さんの小僧さんから書状がありまして。

 急遽領主の面会希望があるそうで、登城して欲しいとの事でした。

 思ったよりもせっかちな御仁なんだなと思いつつも、三人を起こしに向かうのでした。
「な!! なんなのだこれはー!!」

 きゅっと帯を結んで完成と出る準備を済ませたタイミングで、ばたばたと近づいてくる足音。

 いつものパターンかと思いきや、バタンと扉が開いた瞬間目の前には一糸まとわぬ全裸のレーシアさん。

 そっちかー、そうきたかーとお目々を隠していると、ずかずかと。

「こ、これはいかなる所存か!!」

「傷の件ですか?」

「薬師でも治せぬと……。武に生きるのであれば、詮無き事と諦めておったのが……」

「そういう施術を商売にしようかと思っているのですが……」

「感動した!!」

 感極まって抱きしめてくるのは良いのですが、ふにっとしたものが当たってどうしたものかと。

 しばらくすると、二人が回収してくれたので助かったなと。

 さくさく用意を済ませて、皆で黒鹿屋に向かう事にしました。
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