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第004話 人生という荒波を征くにあたって、時に臭い物に蓋をしなくてはならないのだYo!!
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考えなしに飛び出した俺の方を振り向いたドラゴンさん。
しばしの思考タイムの後に、先程ガブッチョし損なった奴と認識したようで、ムカ着火モードに移行。
怒髪天を衝く勢いで、顔色がドス黒く変化。
ふすーっと吐き出された鼻息には炎と黒い煙が入り混じっている訳で。
いやぁ、元気が良いなぁ、何かいいことでもあったのかい? と問いたい気分ですよ、こんちくしょ!!
掃除機の云万倍、航空機のエンジンみたいな高音で空気を吸い込むドラゴンさん。
みちみちと音を鳴らしながら喉が数倍に膨らむ。
限界とばかりにドラゴンさんの体躯が停止した瞬間。
世界中が静まり返った静寂の中、再度横っ飛びを敢行した訳ですが。
歴史フィルムで見た火炎放射器なんて玩具じゃねという勢いの火球が飛来。
「あっちぃ!! あじゃじゃじゃじゃ……」
横合いを通り抜けた余波ですら灼熱。
その火球が木々をへし折りながら飛んでいき、轟音とともに爆発。
ツートンカラーのアイドルもかくやの勢いで大☆炎☆上の火球は粘性の高い可燃物が含まれているようで、べじゃりっと生き物のように広がっていき。
巻き込まれた立木は樹齢云百年と思われる太い幹をあっという間に炭に変え、焼失していく訳で。
あんなん、当たったらマジに瞬時に焼死ですよ、チェキラッ!!
頭の中のDJが叫ぶ中、冷や汗と共に眺めていた俺を瞳で捕捉したドラゴンさん。
じたばたとしばし暴れながら怒りを表現すると、再度吸引力の変わらないただ一つの生き物って感じで吸い込み開始。
お前はピンクの球体かと悪態を吐きながら、周りを眺める。
片や大炎上、片や深い森の中。
どっちに逃げても、セカンドアクションが取り辛い訳で。
いや、森の中に逃げ込んでも良いのですが。
間違いなく爆発物と追いかけっこの中、樹々に邪魔されながら逃げ切れる可能性ゼロなのです。
うわっ…私の勝算、低すぎ…? と両手で口を覆うイメージを浮かべながら、絶賛大後悔中。
それでも、女の子二人が逃げる時間を稼いだなら徳が積めたかなぁと。
魂のスープに戻ってから、天国にいけるなら良かったなと半分諦めた訳ですが。
咆哮一閃。
これでもかと広げられた赤黒い顎から放たれる火球。
眼前にストップモーションで迫る火球を眺めていたら、無性に腹が立ってきた訳で。
創造神を生身で殴り倒さないと死んでも死に切れるかと。
「あんのじじぃ!! 人中、砕いたらぁぁ!! 邪魔じゃぃ、どっか行かんかいぃぃ!!」
喉を枯らさん勢いで叫びながら、火球を殴ろうとばかりに右ストレートを繰り出してみた。
と、その瞬間、火球は消失。
振り抜いた右ストレートスタイルの俺と吐き出した格好のドラゴンさんは目を丸くして、お見合い。
両者の頭上を『……とカラス』が通り抜ける中、『一坪の世界』の中には太陽が生まれていた。
時間停止状態の中、赤々と揺蕩うルビーのような球体が浮かぶ。
あぁ、こんなものまで入れられるのかと一人納得していると、ドラゴンさんが落ち着きを取り戻し、再度吸引開始。
一瞬どうしてやろうかと考えた後、火球を『一坪の世界』から排出。
逆襲じゃぁぁ!!
自分の吐き出したモノでも食らえ!!
そんな思いで、ぽいっと。
迫ってきたのと同じ勢いで飛び出した太陽は、ドラゴンさんに当たった瞬間爆発。
驚愕の眼差しで息を吸い込んでいたドラゴンさんの鼻や口からも炎は吸い込まれていく訳で。
次の瞬間ドラゴンさんの胸の辺りがぼごぉっと秘孔を突かれたモブの如く膨らみ、破れ、炎を撒き散らす。
あぁ、きっと体内には可燃物を貯める器官とかがあったんだろうなと。
吐き出す時に、引火させつつ排出させると。
逆に炎なんて吸い込んじゃったら、誘爆しちゃうよなぁなんて眺めていると、体中の穴という穴から血液を垂れ流しているドラゴンさんが座った目でこちらを捕捉。
体内からの炎で焙られた瞳はほのかに白く濁りながら、怨敵を視線で射殺すという思いを滾らせ、こちらを睨みつけていた。
ふるふると震えていた後脚はがちりと大地を噛む。
すぃっと先程までとは違う、体躯全体に酸素を供給する呼吸。
それが止まった刹那、巨体がブレた。
あの大空の王者、大地に敵うもの無き生物がなりふりを構わない全力。
プライドをかなぐり捨てた顎での一閃が迫る中、万策尽きた俺は最後の札を切るしかないなと諦めた。
両手を差し出し、口を開く。
「臭い物には……」
世界を揺らし、迫る顎。
赤い口中の中、煤けた牙はサーブボードを越える大きさを誇りながら、断罪の刃を閉じんと噛み込まれる。
「蓋ぁっ!!」
その瞬間、巨大なモノが通り抜ける時特有の風が眼前を通り過ぎた。
しばしの思考タイムの後に、先程ガブッチョし損なった奴と認識したようで、ムカ着火モードに移行。
怒髪天を衝く勢いで、顔色がドス黒く変化。
ふすーっと吐き出された鼻息には炎と黒い煙が入り混じっている訳で。
いやぁ、元気が良いなぁ、何かいいことでもあったのかい? と問いたい気分ですよ、こんちくしょ!!
掃除機の云万倍、航空機のエンジンみたいな高音で空気を吸い込むドラゴンさん。
みちみちと音を鳴らしながら喉が数倍に膨らむ。
限界とばかりにドラゴンさんの体躯が停止した瞬間。
世界中が静まり返った静寂の中、再度横っ飛びを敢行した訳ですが。
歴史フィルムで見た火炎放射器なんて玩具じゃねという勢いの火球が飛来。
「あっちぃ!! あじゃじゃじゃじゃ……」
横合いを通り抜けた余波ですら灼熱。
その火球が木々をへし折りながら飛んでいき、轟音とともに爆発。
ツートンカラーのアイドルもかくやの勢いで大☆炎☆上の火球は粘性の高い可燃物が含まれているようで、べじゃりっと生き物のように広がっていき。
巻き込まれた立木は樹齢云百年と思われる太い幹をあっという間に炭に変え、焼失していく訳で。
あんなん、当たったらマジに瞬時に焼死ですよ、チェキラッ!!
頭の中のDJが叫ぶ中、冷や汗と共に眺めていた俺を瞳で捕捉したドラゴンさん。
じたばたとしばし暴れながら怒りを表現すると、再度吸引力の変わらないただ一つの生き物って感じで吸い込み開始。
お前はピンクの球体かと悪態を吐きながら、周りを眺める。
片や大炎上、片や深い森の中。
どっちに逃げても、セカンドアクションが取り辛い訳で。
いや、森の中に逃げ込んでも良いのですが。
間違いなく爆発物と追いかけっこの中、樹々に邪魔されながら逃げ切れる可能性ゼロなのです。
うわっ…私の勝算、低すぎ…? と両手で口を覆うイメージを浮かべながら、絶賛大後悔中。
それでも、女の子二人が逃げる時間を稼いだなら徳が積めたかなぁと。
魂のスープに戻ってから、天国にいけるなら良かったなと半分諦めた訳ですが。
咆哮一閃。
これでもかと広げられた赤黒い顎から放たれる火球。
眼前にストップモーションで迫る火球を眺めていたら、無性に腹が立ってきた訳で。
創造神を生身で殴り倒さないと死んでも死に切れるかと。
「あんのじじぃ!! 人中、砕いたらぁぁ!! 邪魔じゃぃ、どっか行かんかいぃぃ!!」
喉を枯らさん勢いで叫びながら、火球を殴ろうとばかりに右ストレートを繰り出してみた。
と、その瞬間、火球は消失。
振り抜いた右ストレートスタイルの俺と吐き出した格好のドラゴンさんは目を丸くして、お見合い。
両者の頭上を『……とカラス』が通り抜ける中、『一坪の世界』の中には太陽が生まれていた。
時間停止状態の中、赤々と揺蕩うルビーのような球体が浮かぶ。
あぁ、こんなものまで入れられるのかと一人納得していると、ドラゴンさんが落ち着きを取り戻し、再度吸引開始。
一瞬どうしてやろうかと考えた後、火球を『一坪の世界』から排出。
逆襲じゃぁぁ!!
自分の吐き出したモノでも食らえ!!
そんな思いで、ぽいっと。
迫ってきたのと同じ勢いで飛び出した太陽は、ドラゴンさんに当たった瞬間爆発。
驚愕の眼差しで息を吸い込んでいたドラゴンさんの鼻や口からも炎は吸い込まれていく訳で。
次の瞬間ドラゴンさんの胸の辺りがぼごぉっと秘孔を突かれたモブの如く膨らみ、破れ、炎を撒き散らす。
あぁ、きっと体内には可燃物を貯める器官とかがあったんだろうなと。
吐き出す時に、引火させつつ排出させると。
逆に炎なんて吸い込んじゃったら、誘爆しちゃうよなぁなんて眺めていると、体中の穴という穴から血液を垂れ流しているドラゴンさんが座った目でこちらを捕捉。
体内からの炎で焙られた瞳はほのかに白く濁りながら、怨敵を視線で射殺すという思いを滾らせ、こちらを睨みつけていた。
ふるふると震えていた後脚はがちりと大地を噛む。
すぃっと先程までとは違う、体躯全体に酸素を供給する呼吸。
それが止まった刹那、巨体がブレた。
あの大空の王者、大地に敵うもの無き生物がなりふりを構わない全力。
プライドをかなぐり捨てた顎での一閃が迫る中、万策尽きた俺は最後の札を切るしかないなと諦めた。
両手を差し出し、口を開く。
「臭い物には……」
世界を揺らし、迫る顎。
赤い口中の中、煤けた牙はサーブボードを越える大きさを誇りながら、断罪の刃を閉じんと噛み込まれる。
「蓋ぁっ!!」
その瞬間、巨大なモノが通り抜ける時特有の風が眼前を通り過ぎた。
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