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【意味怖】悪魔の契約
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ピンポーン!
「あー、面倒だなぁ」
保険のセールスの電話があまりにもしつこいから
とりあえず一回会って断ろうと思ったんだよな。
「悪魔生命の者です」
「どうぞ」
セールスマンは流れるような自己紹介から
早速セールストークへ。
「保険というのは、万が一の時の為のもの。
ですが、万が一なんてなかなか想像できないものです
なので、まずは想像できることから始めてみましょう」
はぁ・・・。
「あなたにとって夢、幸せってどんな事ですか?」
「そうですねぇ、綺麗で優しい奥さんがいて、暮らすのに困らないお金があって
30になる前位には子供も欲しいかなぁ」
「他には?」
「うーん、そんな幸せが一生続いたら良いと思うな」
「なるほど。では、そんな夢がもし叶う保険があったら
貴方は入りたいと思いますか?」
「そりゃもちろん、金額にもよるけど」
「実は私、悪魔なんですが、ご契約いただければその夢、叶えさせていただきます」
「はぁ?」
聞けば、この人間は本当は悪魔で
人間との契約を取らなければいけないんだが
最近は皆疑り深く、契約が取れずに上司にどやされているとか。
まぁこれっぽっちも信じてはいないけど
新手の詐欺とも違いそうだし、契約の詳細を聞くことにした。
「で、俺は何を払えばいいんですか?」
「悪魔は金銭を求めません。
対価として求めるのは、貴方がこれから確実に一生幸せになることです。」
胡散臭い、そんなうまい話があるわけない。
俺が幸せになることが、悪魔になんのメリットがあるというのだ。
だが・・・!
そもそも、悪魔が俺を幸せにしてくれるというんだから
その対価は約束されているようなもの。
俺は確実に幸せになれるんだから、支払いも確実にできるはず。
「じゃ、契約します」
「ご成約、ありがとうございます!」
そのとたん、その男の尻から黒々しい尻尾が伸びてきた。
「うわぁ!!!」
「それでは・・・」
悪魔はそういうと、霧のように消えていった。
まさか、本物だったとは・・・。
しばらくガクガク震えていたが、次第に、自分は一生幸せに暮らせるのだと
楽しみにもなった。
その後、すぐに宝くじの一等に当選し、一生使い切れない金が舞い込んできた。
さらに、その1年後に絶世の美女から逆にプロポーズされ
2年後の今、病院で子供が産まれるのを今か今かと待ちわびている。
「オンギャー!」
元気で可愛い子供だった。
幸せだ。俺は今人生で最高に幸せだ。
帰宅すると、いつぞやの悪魔が現れた。
「それではお支払いをお願いします」
「あぁ、ありがとう、支払いは俺の一生の幸せだったよな。
今俺は最高に幸せだ。これで満足だろ?
これからもよろしく頼む」
「えぇ、えぇ。では・・・」
悪魔は嬉しそうな顔で、男の体からぼうっと光るかたまりを抜くと、また、霧のように消えていく。
「人生山あり谷あり・・・ですからね」
不気味な声がこだますると、そこには幸せそうな男の死体だけが残された。
「あー、面倒だなぁ」
保険のセールスの電話があまりにもしつこいから
とりあえず一回会って断ろうと思ったんだよな。
「悪魔生命の者です」
「どうぞ」
セールスマンは流れるような自己紹介から
早速セールストークへ。
「保険というのは、万が一の時の為のもの。
ですが、万が一なんてなかなか想像できないものです
なので、まずは想像できることから始めてみましょう」
はぁ・・・。
「あなたにとって夢、幸せってどんな事ですか?」
「そうですねぇ、綺麗で優しい奥さんがいて、暮らすのに困らないお金があって
30になる前位には子供も欲しいかなぁ」
「他には?」
「うーん、そんな幸せが一生続いたら良いと思うな」
「なるほど。では、そんな夢がもし叶う保険があったら
貴方は入りたいと思いますか?」
「そりゃもちろん、金額にもよるけど」
「実は私、悪魔なんですが、ご契約いただければその夢、叶えさせていただきます」
「はぁ?」
聞けば、この人間は本当は悪魔で
人間との契約を取らなければいけないんだが
最近は皆疑り深く、契約が取れずに上司にどやされているとか。
まぁこれっぽっちも信じてはいないけど
新手の詐欺とも違いそうだし、契約の詳細を聞くことにした。
「で、俺は何を払えばいいんですか?」
「悪魔は金銭を求めません。
対価として求めるのは、貴方がこれから確実に一生幸せになることです。」
胡散臭い、そんなうまい話があるわけない。
俺が幸せになることが、悪魔になんのメリットがあるというのだ。
だが・・・!
そもそも、悪魔が俺を幸せにしてくれるというんだから
その対価は約束されているようなもの。
俺は確実に幸せになれるんだから、支払いも確実にできるはず。
「じゃ、契約します」
「ご成約、ありがとうございます!」
そのとたん、その男の尻から黒々しい尻尾が伸びてきた。
「うわぁ!!!」
「それでは・・・」
悪魔はそういうと、霧のように消えていった。
まさか、本物だったとは・・・。
しばらくガクガク震えていたが、次第に、自分は一生幸せに暮らせるのだと
楽しみにもなった。
その後、すぐに宝くじの一等に当選し、一生使い切れない金が舞い込んできた。
さらに、その1年後に絶世の美女から逆にプロポーズされ
2年後の今、病院で子供が産まれるのを今か今かと待ちわびている。
「オンギャー!」
元気で可愛い子供だった。
幸せだ。俺は今人生で最高に幸せだ。
帰宅すると、いつぞやの悪魔が現れた。
「それではお支払いをお願いします」
「あぁ、ありがとう、支払いは俺の一生の幸せだったよな。
今俺は最高に幸せだ。これで満足だろ?
これからもよろしく頼む」
「えぇ、えぇ。では・・・」
悪魔は嬉しそうな顔で、男の体からぼうっと光るかたまりを抜くと、また、霧のように消えていく。
「人生山あり谷あり・・・ですからね」
不気味な声がこだますると、そこには幸せそうな男の死体だけが残された。
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