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第4章:三月のディスコード(6)
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リビングに出ると、父さんが僕に背中を向けて座っていた。
テーブルの上の紅茶から、甘い匂いが漂っている。
母さんは今日パート先の飲み会で遅くなるとのことで、この家には今日父さんと僕の二人だけだった。
珍しくテレビは消されていて、冷蔵庫のコンプレッサーが発する鈍い音だけがリビングに響いていた。
「どうしたの?」
「そこに座りなさい」
僕は、言われるがままに、父さんの向かい側の席に座った。
ほぼ丸一日誰にも座られていなかった合成皮革の座面は、少し冷たい。
「帰り道、駅の出口で卓球部の片桐先生にばったり会ってな」
父さんが、紅茶を一口飲みながら言った。
「いろいろ、話を聞いた」
雪のように白いカップが、無表情なソーサーの上に置かれた。
陶器のぶつかる甲高い音を合図に、体中の血液が凍りついた。
テーブルの上の紅茶から、甘い匂いが漂っている。
母さんは今日パート先の飲み会で遅くなるとのことで、この家には今日父さんと僕の二人だけだった。
珍しくテレビは消されていて、冷蔵庫のコンプレッサーが発する鈍い音だけがリビングに響いていた。
「どうしたの?」
「そこに座りなさい」
僕は、言われるがままに、父さんの向かい側の席に座った。
ほぼ丸一日誰にも座られていなかった合成皮革の座面は、少し冷たい。
「帰り道、駅の出口で卓球部の片桐先生にばったり会ってな」
父さんが、紅茶を一口飲みながら言った。
「いろいろ、話を聞いた」
雪のように白いカップが、無表情なソーサーの上に置かれた。
陶器のぶつかる甲高い音を合図に、体中の血液が凍りついた。
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