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空気
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凍ってた空気が砕け、宮川くんは「なんだそれ…」と力が抜けたように座り込んだ。
「えっ。大丈夫?」
慌てて駆け寄ると、宮川くんは「嫌いじゃない…ですか」と呆れたように笑ってみせた。
さっきの空気から一気に落ち着いて安心して。私は「うん」と笑って頷いた。
宮川くんは「…好きではないんですね」と諦めたように笑う。
しゃがんでいる彼が上目使いにそう言うから、一瞬ドキッとして言葉を飲んだ。
「…嫌いじゃ、ないよ」
好きだよ。
好きだけどそんなの言えないからそう言ってごまかす。
好きって言えばいいじゃんって思った?
そうでもないの。
私の年になれば慎重に結婚を考えたいし、宮川くんと私は正直…釣り合ってないから。
私の返答に、宮川くんは「ですよね」と悲しく笑う。
その顔にまた心が痛くなって。
でも、宮川くんの人生と私の人生。
適当に返事はできない。
…私、別れるのが怖いから結婚すると決めた人としか付き合いたくない。
なんてわがままも言ってられないんだろうけど。
昔から一人が怖かった。
別れとかそういうのが苦手だった。
だから宮川くんみたいに、渡り歩く人のことを好きになるのは…嫌だったのに。
「帰りますか。」
ゆっくり立ち上がって砂をほろう宮川くんに小さく頷く。
「さっきはごめんなさい」
と呟く彼の後ろをあるいて「大丈夫」と返事をする。
小さく
「好きだよ」と言って
「えっ。大丈夫?」
慌てて駆け寄ると、宮川くんは「嫌いじゃない…ですか」と呆れたように笑ってみせた。
さっきの空気から一気に落ち着いて安心して。私は「うん」と笑って頷いた。
宮川くんは「…好きではないんですね」と諦めたように笑う。
しゃがんでいる彼が上目使いにそう言うから、一瞬ドキッとして言葉を飲んだ。
「…嫌いじゃ、ないよ」
好きだよ。
好きだけどそんなの言えないからそう言ってごまかす。
好きって言えばいいじゃんって思った?
そうでもないの。
私の年になれば慎重に結婚を考えたいし、宮川くんと私は正直…釣り合ってないから。
私の返答に、宮川くんは「ですよね」と悲しく笑う。
その顔にまた心が痛くなって。
でも、宮川くんの人生と私の人生。
適当に返事はできない。
…私、別れるのが怖いから結婚すると決めた人としか付き合いたくない。
なんてわがままも言ってられないんだろうけど。
昔から一人が怖かった。
別れとかそういうのが苦手だった。
だから宮川くんみたいに、渡り歩く人のことを好きになるのは…嫌だったのに。
「帰りますか。」
ゆっくり立ち上がって砂をほろう宮川くんに小さく頷く。
「さっきはごめんなさい」
と呟く彼の後ろをあるいて「大丈夫」と返事をする。
小さく
「好きだよ」と言って
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