ダンジョン秘話

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遭遇

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 彼は未開の地から歩いてきた。

 服とも呼べないぼろ切れと、蔓草や枝葉で体を覆っていた。見たことないけど原始人がいたらこんな感じだろうと彼を見かけた人は思っただろう。

 彼は初めて遭遇した相手に水を強請った。

 声をかけて3度目に親切な者たちに会い、頭から水をかけられた。飲みにくくはあったが綺麗な水だったのでありがたく口に含んだ。

 彼は歩くに連れ、出会う相手から布や毛皮を譲ってもらい、集落と呼べる場所にたどり着くころには履き物まで手に入れていた。

 集落には言葉の通じる相手がいなかった。
 しかし彼には持ち前のコミュニケーション能力があり、身振り手振りや声音を巧みに使い、欲しい物や頼みたいことをうまく伝えていった。

 やがて集落の者たちの言葉を覚えた彼は、彼自身の生い立ちを語り始めた。

 最初は彼の話をほら話だと相手にもされていなかったが、言葉が流暢になるにつれ、彼に耳を貸す者たちが現れていく。

 やがて彼の話をまとめる者や、真実を確かめるため冒険に出かける者まで現れた。

 彼は大勢に語り続けた。

 彼が語ったのは、一つのダンジョン。
 その最下層。

 彼はそこから歩いて出てきた、と話は始まる。
 
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