夜空に星が流れるとき

浅黄幻影

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埋もれた財宝

埋もれた財宝(4)

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 ぼくが一番納得がいかないのは、埋もれた財宝発見の功労者のぼくに大人たちが怒りの矛先を向けたことだ。全部、ぼくのせいにされたのだ。
「おまえがあんなものを見つけなければ」
 そんな風に恨み節をしばらく言われた。まったく納得がいなかった。大人たちがいうとおりにやったのに、ぼく一人が悪者にされたのだから。
 おもしろくないぼくだったけれど、父も母もバルバラも、ぼくの心には気付いてくれていた。特にバルバラは心配してくれて、ぼくがくさくさしていると慰めの言葉を言ってくれた。
「ひどい目に遭いましたね、欲張った人間のせいでこんなことになるなんて。マリウスさんが悪いことなんて、何もないのに」
「本当だよ、みんなが目の色を変えて探せ探せって言っていたのに。それに、不発弾がひとつあったんだから他にもあるかもしれないじゃないか。全部見つけた方が危なくないよ」
「確かにそうかもしれませんが、でも、やっぱり危険です。マリウスさんが不発弾を見つけたと聞いたときには、私は震え上がりましたよ。まさかそんなことになるなんてって。眠っているものをやたらと掘り起こすなんて、自分から危険な目に遭いに行くようなものですよ。今回は何もなくてよかったですが、もし次の不発弾が生きていて、ツルハシが当たった瞬間に爆発なんてしたら……ああ、なんてことになってしまうか!」
 功名心ばかり考えていたぼくは、それまでぼんやりとしか考えていなかった自分の死をはっきりと理解した。
「もう誰も宝探しをしろなんて言わないと思いますけど、マリウスさんも気をつけた方がいいですよ。「見たくないものを見なかったことにするのは問題解決にならない」とは私もよく思いますが、だからといって自分から不発弾を掘り当てる必要なんて、ないですからね」
 バルバラの心配を受け、ぼくはそれからは何も掘らないことに決めた。

 不発弾騒ぎは収まったけれど、火の玉だけはまだ目撃されていた。町が静かになるにはまだ時間がかかりそうだった。
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