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氷のような人
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「君が死んだところで、この世界は何も変わらない」
張り詰めた空気、氷の如く冷たい声色で眼前の男が告げる。
表情こそ笑みを描いてはいるけれど、さながらそれは仮面の様。瞳の奥は深海のように暗い色を宿していて、本心を隠しきれていなかった。
人を人と思わないこの男の手によって、私は全てを絶たれる。
私は彼の世界の中で「邪魔者」になったようだ。思い通りにならない奴は、必要ない。
人とは皆、彼にとって手駒でしかなく。意にそぐわぬ反逆者は容赦なく首をはねられる。
──今宵、私はとうとうその標的になってしまったわけだ。
「仮にここが100人の世界だったとして、君が一人死んだところで100-1=99の計算式が成り立ってしまうだけ」
人間不信にもほどがある。人間をただの駒として見ているにも限度があるだろう。
ただ、その反論は彼には通用しない。彼にとって人間とはあくまで「駒」、個体なんて見てはいない。
算数の問題、程度にしか考えられないのだろう。なんて可哀想な人なのか。
「君が死んだ瞬間に発生する「-1」の分だけ、数に変化が起こるだけさ。
──だから、心おきなく死んでくれて構わないよ」
この男には、心がない。だから、想像することも出来ないのだろう。
私が死んで悲しむ人がいる、だなんて。
ああ、郡のように冷たい人よ。いつかきっと、貴方も感情を知ることになるでしょう。
きっと、貴方は蓋をしているだけだ。端から感情がない人間なんて、いるはずがないんだ。
── あばよ、冷徹人間。
そう言い捨てて、私は彼の刃に身を委ねた。
張り詰めた空気、氷の如く冷たい声色で眼前の男が告げる。
表情こそ笑みを描いてはいるけれど、さながらそれは仮面の様。瞳の奥は深海のように暗い色を宿していて、本心を隠しきれていなかった。
人を人と思わないこの男の手によって、私は全てを絶たれる。
私は彼の世界の中で「邪魔者」になったようだ。思い通りにならない奴は、必要ない。
人とは皆、彼にとって手駒でしかなく。意にそぐわぬ反逆者は容赦なく首をはねられる。
──今宵、私はとうとうその標的になってしまったわけだ。
「仮にここが100人の世界だったとして、君が一人死んだところで100-1=99の計算式が成り立ってしまうだけ」
人間不信にもほどがある。人間をただの駒として見ているにも限度があるだろう。
ただ、その反論は彼には通用しない。彼にとって人間とはあくまで「駒」、個体なんて見てはいない。
算数の問題、程度にしか考えられないのだろう。なんて可哀想な人なのか。
「君が死んだ瞬間に発生する「-1」の分だけ、数に変化が起こるだけさ。
──だから、心おきなく死んでくれて構わないよ」
この男には、心がない。だから、想像することも出来ないのだろう。
私が死んで悲しむ人がいる、だなんて。
ああ、郡のように冷たい人よ。いつかきっと、貴方も感情を知ることになるでしょう。
きっと、貴方は蓋をしているだけだ。端から感情がない人間なんて、いるはずがないんだ。
── あばよ、冷徹人間。
そう言い捨てて、私は彼の刃に身を委ねた。
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