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さっきまでこの部屋で痴態を晒して喘いでいたアホは、カワイイ弟の顔を見るなり「お兄ちゃん」の顔をして部屋の外へと出ていってしまった。
こんなに単純だと、そりゃこのカワイイ皮を被った弟の本性にも気付かないだろうな。
「弟クン、中学生だっけ?」
「……そうですけど」
「中学生にもなって、オニイチャンが一緒じゃないと買い物にも行けないんだー」
「………………」
紬にだけ向けたしゅんとした顔も、今じゃ睨んでいるのか無表情なのか判別できないほど冷えきっている。
「余計なこと言ったら、あんたのこともバラすから」
それだけ言うと、凛は兄の後を追って部屋の前からいなくなった。
1人ぽつんと残された有賀は大きなため息をつく。
やっぱりあいつの相談にはのってやれねえなー、と柄にもなく少しだけ申し訳ない気持ちになった。
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