29 / 32
二十八話 苦痛に歪む
しおりを挟む
柚華は、吸鬼達を挑発し彼等の怒りを一身に背負ったその時、サイナメが描いた封印の魔法陣が完成する。
サイナメ…
そう、秘境の何処で、サイナメは誰にも気付かれ無い様に、最新の注意を払い息を凝らしただ黙々と、封印の魔法陣を幾重に重ね、キビのはるか上空に描いていた。
空中に描かれた魔法陣は、完全なる形で、見る者恐怖を与える程大きく堂々たる物だった。
「これでやれる」「後はキビが一瞬の隙を見せるこの時を待つのみだ」「必ずやその一瞬の時は来る」「柚華よこの戦さ場の設計を…」
「たのむ」
この時、全ての吸鬼は動きを止め、突き刺さらんばかりの鋭い視線で、柚華の心をえぐり取ろうとするのだが、この時柚華は、絶対的自信に満ち溢れていた。
彼等は、柚華をにらみつけは、する物の、その場で羽ばたき、矢射る者はいない、ただ重い空気が、その場を支配する。
「誰が動けば、必ず攻撃は始まる」 「ユリネこの重き空気の中、動けるかい?」
ユリネは、大きくうなずく
「よし、えらい動けるならば」
「最良の一張りをキビに向かい放ちなさい」
多くの吸鬼が、上空を飛び交う中
「木々の隙を射抜くより厳しい」
「やれるかい」
「お姉たま了解だよ」
具現化した青き魔力の上で、ユリネは息をフッと勢い良く吐き捨てると、その瞳が輝き出し、そしてキビに狙いを定め、キリリと弓を引き、揺らめくマントの隙間より、その矢を解き放つ
彼女の解き放つ矢は、唸りを上げる事無く、静かにそして、鋭く飛び行く、その的中率は、母親譲りで正確無比なり…
「イケーーー」
矢じりの先端は、ギラリと光を放ち勢いを失う事無く突き進み
グサリ
「な、何、いつの間に…」キビは驚きながら、苦痛に顔を歪める。
赤き魔力を写し込んだ矢じりは、確実に、禁断の魔法陣を手に持つキビの右腕をとらえる。
吸鬼達は一斉に動き出す。
柚華は、悪しき魔力秘める矢が飛び交う中、その全てを見極め交わし、急下降し、地上スレスレを疾風の如くスピードで、駆け抜ける。
「ヒャホーー」
攻めて来る全ての吸鬼を、「オリャーー」裏刃刀で打ち払い難を逃れ、地上にヒョイと飛び降り、直ぐさま地面に片手をつき、「この地に浮遊する魔力よ、あの時、矢が飛び行く音を消してくれて、有難う」
「主人は嬉しく思う」
あの時
右手を貫かれたキビは、グラリと揺らぎ、わずかだが、落下した。
「グッ」「チィ」
その時を、サイナメは逃がさない、封印の魔法陣をキビに向かい解き放つ、「ヨシ、とらえた」「悪しき者達よ、消えて無くなれーー」
サイナメ…
そう、秘境の何処で、サイナメは誰にも気付かれ無い様に、最新の注意を払い息を凝らしただ黙々と、封印の魔法陣を幾重に重ね、キビのはるか上空に描いていた。
空中に描かれた魔法陣は、完全なる形で、見る者恐怖を与える程大きく堂々たる物だった。
「これでやれる」「後はキビが一瞬の隙を見せるこの時を待つのみだ」「必ずやその一瞬の時は来る」「柚華よこの戦さ場の設計を…」
「たのむ」
この時、全ての吸鬼は動きを止め、突き刺さらんばかりの鋭い視線で、柚華の心をえぐり取ろうとするのだが、この時柚華は、絶対的自信に満ち溢れていた。
彼等は、柚華をにらみつけは、する物の、その場で羽ばたき、矢射る者はいない、ただ重い空気が、その場を支配する。
「誰が動けば、必ず攻撃は始まる」 「ユリネこの重き空気の中、動けるかい?」
ユリネは、大きくうなずく
「よし、えらい動けるならば」
「最良の一張りをキビに向かい放ちなさい」
多くの吸鬼が、上空を飛び交う中
「木々の隙を射抜くより厳しい」
「やれるかい」
「お姉たま了解だよ」
具現化した青き魔力の上で、ユリネは息をフッと勢い良く吐き捨てると、その瞳が輝き出し、そしてキビに狙いを定め、キリリと弓を引き、揺らめくマントの隙間より、その矢を解き放つ
彼女の解き放つ矢は、唸りを上げる事無く、静かにそして、鋭く飛び行く、その的中率は、母親譲りで正確無比なり…
「イケーーー」
矢じりの先端は、ギラリと光を放ち勢いを失う事無く突き進み
グサリ
「な、何、いつの間に…」キビは驚きながら、苦痛に顔を歪める。
赤き魔力を写し込んだ矢じりは、確実に、禁断の魔法陣を手に持つキビの右腕をとらえる。
吸鬼達は一斉に動き出す。
柚華は、悪しき魔力秘める矢が飛び交う中、その全てを見極め交わし、急下降し、地上スレスレを疾風の如くスピードで、駆け抜ける。
「ヒャホーー」
攻めて来る全ての吸鬼を、「オリャーー」裏刃刀で打ち払い難を逃れ、地上にヒョイと飛び降り、直ぐさま地面に片手をつき、「この地に浮遊する魔力よ、あの時、矢が飛び行く音を消してくれて、有難う」
「主人は嬉しく思う」
あの時
右手を貫かれたキビは、グラリと揺らぎ、わずかだが、落下した。
「グッ」「チィ」
その時を、サイナメは逃がさない、封印の魔法陣をキビに向かい解き放つ、「ヨシ、とらえた」「悪しき者達よ、消えて無くなれーー」
0
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説
セレナの居場所 ~下賜された側妃~
緑谷めい
恋愛
後宮が廃され、国王エドガルドの側妃だったセレナは、ルーベン・アルファーロ侯爵に下賜された。自らの新たな居場所を作ろうと努力するセレナだったが、夫ルーベンの幼馴染だという伯爵家令嬢クラーラが頻繁に屋敷を訪れることに違和感を覚える。
旦那様、前世の記憶を取り戻したので離縁させて頂きます
結城芙由奈
恋愛
【前世の記憶が戻ったので、貴方はもう用済みです】
ある日突然私は前世の記憶を取り戻し、今自分が置かれている結婚生活がとても理不尽な事に気が付いた。こんな夫ならもういらない。前世の知識を活用すれば、この世界でもきっと女1人で生きていけるはず。そして私はクズ夫に離婚届を突きつけた―。
麗しのラシェール
真弓りの
恋愛
「僕の麗しのラシェール、君は今日も綺麗だ」
わたくしの旦那様は今日も愛の言葉を投げかける。でも、その言葉は美しい姉に捧げられるものだと知っているの。
ねえ、わたくし、貴方の子供を授かったの。……喜んで、くれる?
これは、誤解が元ですれ違った夫婦のお話です。
…………………………………………………………………………………………
短いお話ですが、珍しく冒頭鬱展開ですので、読む方はお気をつけて。
忌むべき番
藍田ひびき
恋愛
「メルヴィ・ハハリ。お前との婚姻は無効とし、国外追放に処す。その忌まわしい姿を、二度と俺に見せるな」
メルヴィはザブァヒワ皇国の皇太子ヴァルラムの番だと告げられ、強引に彼の後宮へ入れられた。しかしヴァルラムは他の妃のもとへ通うばかり。さらに、真の番が見つかったからとメルヴィへ追放を言い渡す。
彼は知らなかった。それこそがメルヴィの望みだということを――。
※ 8/4 誤字修正しました。
※ なろうにも投稿しています。
【完結】私だけが知らない
綾雅(要らない悪役令嬢1/7発売)
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
骸骨と呼ばれ、生贄になった王妃のカタの付け方
ウサギテイマーTK
恋愛
骸骨娘と揶揄され、家で酷い扱いを受けていたマリーヌは、国王の正妃として嫁いだ。だが結婚後、国王に愛されることなく、ここでも幽閉に近い扱いを受ける。側妃はマリーヌの義姉で、公式行事も側妃が請け負っている。マリーヌに与えられた最後の役割は、海の神への生贄だった。
注意:地震や津波の描写があります。ご注意を。やや残酷な描写もあります。
お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。
下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。
またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。
あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。
ご都合主義の多分ハッピーエンド?
小説家になろう様でも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる