私鬼戦記 禁断の魔方陣とカエルに変えらし者

京間 みずき

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二十六話 削り取られる

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柚華達の後では、多くの吸鬼達に取り囲まれるように、絶対的に不利な状況で、忍術を駆使し戦っている姿が見えた。

 「キャキャキャ」「時間の問題だ」「もう間も無くだ」「もうまもなく完成する」「おっといけない、喜びのあまりによだれが…」シュルル
 キビは、今にもこぼれ落ちそおなよだれを腕で拭き取り、キリリと目を輝かせ桃花に向かいにらみつける。

 「ケ、ケロ」「忍びの者の力を、甘く見るな、そう易々とお前達にやられる訳なかろう」



 「確かに強い、奴らは忍びの者達の中でも桁違いに強い…」

 「だが、今は鳥鬼がいない」「あの時と違ってな」「よく見てみろよ、ギリギリの戦いをしているじゃあないか、キャキャキャ」

 「たかだか二十年の歳月でその腕、さび付いてる」「人間とは、実に愚かな生き物よ」

 キビの言う通り、乾と飛猿は圧倒的な不利な状況に強いられ、当然一瞬の隙を見せる事など出来ないギリギリの中で、戦っていた。
 
 だが、一つ嬉しい誤算もあった。

 「飛猿様、次ね南東の方角から二羽同時にお母さんを狙って来ます」「了解だ」
「次左手の方角から…三羽同時に」飛猿は、この言葉を聞き呪文を唱える「三位一体の術」忍びの術に紅き魔力を忍びこませ、三羽の吸鬼に向け解き放つ「オイオイオイとーー」紅き魔力を自在に操る。
 双子の千里眼を極めし者は、次から次に吸鬼の心を読み解き、飛猿に忍びの呪文を唱える時間を与る。モミジ様が残してくれたこの巻物、昨日の内に目を通していて、本当に良かった」

 そして双子かれらは、戦術を操る。


 「おい飛猿、なに楽してやがる」
乾は、シゲが愛用していた忍び刀を手に持ち、青き魔力を写し込み、上空から次々に襲いかかって来る吸鬼達を、次から次へと地面に叩きこむ、乾は間髪入れずに、呪文を唱え青き魔力のその先端を鋭く尖らせ

 その魔力を具現化する。

 大きく目を見開き、飛び交う吸鬼に向けて、無数の具現化されし青き魔力を一気に解き放つ

 「我が青き魔力達よ、舞い踊れーー」
 
 シュタ、シュタァーシュタァタァーー
 乾が放つ青き魔力は、確実に数羽の吸鬼をとらえ、地面に叩き落とす。

 地面に叩き落とされた全ての吸鬼は、黒き灰になり、禁断の魔法陣に吸い込まれる。

 「チィ、しかしキリネェな…」
 
 飛猿と乾の繰り出す技のキレ、魔力解き放つ力強よさは、全盛期をほうふつさせる程だったが、しかしその体力は、きり無く迫り来る吸鬼の攻撃を身体をくねらせ交わす度に、確実に削り取られていた。
 
 「ハァーハァーハァー」「一体後何羽居やがる」



 
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