私鬼戦記 禁断の魔方陣とカエルに変えらし者

京間 みずき

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ニ十二話 戦友が今集う

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「飛猿、久しぶりだな」
少し変わった形では有るが、乾と飛猿は、十五年ぶりな再会する。

 彼らは、お互い目と目で、語り合う
語る事無く、お互いの十五年間をねぎらい、そして苦労を感じ取る。

 ・・・

 「ケロ」

 「ウム、飛猿なにゆえ武人の格好でここに来た」

 飛猿は、痛む腹部を片手でおさえながら、ゆっくりと、起き上がりしかめ面のまま話し始めた。


 「正直言うとな、ちょと乾を脅かすつもりで、ここに来る途中で、三度笠と日本刀を買って見たんだ」「本当ちょと脅かすだけのつもりだったんだがな」

 「いざ、身にまとうと、昔の血が騒ぎ出して…」 「で、柚華ちゃんが、突然飛び出して来て、思わずってところだ」

 「自分でも良く分からないが、何が湧き上がり、止める事など出来無い」

 「そんな感情に支配されてしまった」

 それは、これまで命を削り戦って来た者のみが、味わう事を許される感情で、飛猿もこの感情に支配されて仕舞っていた。
 「ケロ、なるほど何となくわかるよ私にも」


「ワクワクが、止まらなかった」飛猿はそう言うと柚華の方向に、体を向ける。

 「すまなかったな、柚華ちゃん」


 「私なら大丈夫です飛猿様」

「それよりも一つ気になる事が…」
 柚華は、飛猿の懐から溢れ落ちたあの七色に光る石を手の平に乗せ、飛猿に向けスーーと差し出す。

 
 「その石は、変わり果てた鳥居とりいだ」

 「鳥居様まで、吸鬼キビに石に変えられてしまったのですか」

 「嗚呼、残念ながら、俺は彼女を守ってやる事が出来き無かった」「正確には間に合わなかったんだ…」

 「二日前、俺が鳥居の家を訪れたその時には、七色の石に変えられていた」「石に変貌した母親を大事に握りしめて、涙を拭う三人の子供達が、そこにはいた」
 
 「保護の為に、子供達を里中島に連れて行き、そして約束した、必ずや元の姿に戻すと…」

 「ケロ、そこで乾の力が必要になり、この地に足を踏み入れたのじゃな」

 「当然それも有るが、この地に眠る彼等にも、手を合わせる為に…」

 その話しを黙って聞いていた乾は、おもむろに立ち上がり、神棚の下に有るもの置きの扉を開ける。

 何やらゴソゴソと引っ張り出し、居間の中央にそれを置く ドン、ガチャガチャ

 「これらは、全て我々の恩人の遺留品だ」「二刀流を極めし者、鳥鬼ちょうき、第七十一代目首領ダイス様愛用の日本刀、二本」「出来るならば、柚華よこの先コレを使ってくれないか」

 「ダイス様を、こよなく愛し、尽くしてこられたクノイチ最強のモミジ様愛用のクナイ三本と、封印の巻物」「飛猿よ、これはお前に託したい」

 「そしてこれが、我らが糸切りの里の初代国頭、シゲ様愛用の忍び刀」「悪いがこの忍び刀は、俺が使わせてもらう」


 今形は違う物の、かつて里中島に描かれた禁断の魔法陣を封印する為に、命を削り凌ぎ合いし者達が、ここ洸夜の秘境にそろう
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