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十八話 洸夜の秘境

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 「お母様ところで、洸夜こうやの秘境は、どっちの方角ですか」


 「ケロ」「うむ、知らない」

 「えっ、なぜそんなにあっさり言えるのですか、お母様」

 ユリネはいつもの様に、訳の分からない事いながら、柚華に近寄り、「ヌーーン」ピタ「あのねきっとあっち」

 ユリネが、指差す人差しから、モヤモヤと赤き魔力が、溢れ出す。
 その魔力は、赤龍の如く勢いで、ユリネが指し示す方角に飛び行く
 
 なにを隠そう彼女は、赤き魔力の使いびと まだ未熟者な為に、「ユリネちゃん、あの赤龍ちっちゃいね」

 「ケロ、うむ大丈夫かな」「不安しか無い」


シュタァー「ヤッホーー」シュタタァーー

 多少の不安を残しながらも、柚華達は具現化した青き魔力に乗り、赤き赤龍に導くままに、まだ見ぬ洸夜の秘境目指し飛んで行く・・・

 ・・・


 「どうやらこの辺りみたいね?」

 「赤龍ちゃん消えちゃたモンね、お姉たま」

 「ケロ」

 断崖絶壁の崖と崖の間に冷んやりとした空気が潜むそこで、赤龍はスーーと消えた。
 
 柚華達の眼下には小川が流れ、上空を見上げると崖の上にうそうとしげる木々達が日の光をさえぎり、春の柔らかい日差しなど、いっさいと言っていいほど降り注ぐ事など無く「ケ、ケロ」「言わんこっちゃ無い、不安的中だ」「こんなところに、家など建てられ無い」

 「もうちょい行ってみましょう」

 「ヨシ行くのだ」「お姉たまーー」
  
 桃花の不安をよそに、小川の清らか水を掠め取らんばかりの高さと勢いで、上流に向かい再び突き進む・・・

 柚華達は、気づけば岩でおおわれた崖の谷間を抜けて、そしてそれは突然、姿を見せる。

 「なんなのここ!」

 「きれいだねお姉たま」

 「ケロ」

 山のあちらこちらで、光が漏れあふれ、幻想的な世界が広がっていた。

 「どうやらここが、洸夜の秘境の入り口じゃな」

 「なんなのこの光りの正体は」

 「ここは光り放つキノコが、山の至るところに生えて、それはそれは綺麗だと、昔うわさ話で聞いた事が有るが」「本当に存在するとは・・・」

 「本当素敵」

「きれいだね、カエルちゃん」

 「ケロ」
 
 洸夜の秘境には、強い光を放つキノコの群生地で、春のこの季節に限り見る事が出来き、それは余りに美しく、見る者の心は奪われる。

 桃花は、昔そんなうわさ話を耳にしていたのだが、三人は今まさにその景色を目の当たりにし心を回していた。

 柚華はスピードを落とし、感動しながらあたりを見回していると、ポッンと一軒の家屋が建っているのを発見する。

 「あっ、あれだ」「きっとあそこに乾様達が・・・」

 「うむ」「間違いないじゃろ」
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