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十三話 シラカバ

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「本当にこの小石、シラカバ様なの?」

 
 「おらっちは、目の前で見たんだ」「間違え無い」

「キビとか言う、吸鬼が気配を消して、お父様の背後に立ったその時に、キビは杖を・・・」「杖をトンっと地面に突き刺したんだ」「ボトって」「この小石が地面に落ちたんだ」


・・・


 白き魔力は介護の雫
その白き魔力を自在に操るシラカバは、悪しき力を持つ矢で射抜かれた者達の介護をこなす。

 「チィきりないな」
 シラカバは、吸鬼にその姿を見せる事無く「手当たり次第かよ」ぼやきながらも、確実に吹き込まれた悪しき魔力を、白き魔力で吸い取る。

 「目的は、おそらく俺を・・・」「あぶり出し、魔力の吸収」「つまり絶対に奴らに見つかる事は」

 「許されない」
 

 「チェ面倒極まり無い」

 この時シラカバは、面倒そうに頭をかきながらも、自分にかせた任務を、確実にこなす。
 
 吸鬼キビの視界を確認し、確実に、的確な判断で、人々を苦しむから救い出していた。

 この時吸鬼は、キビのみだった。
 
 シラカバは、油断など、していなかった。

 ただ一度だけ、我が子を発見したその時迄は、一度たりともキビから、目を離さなかった。

 一瞬の油断が、悲劇を招き、シラカバは、魔力を吸い取られ、石ころに変えられたので有る。

 吸鬼キビは、禁断の魔方陣に、シラカバの魔力を吹き込み、三羽の吸鬼を呼び出したと、半次郎は言う


 半次郎は、柚華に七色に光る小石を差し出し「頼む、おらっちのお父様を一緒に連れて行ってくれないか」「蛇骨の洞窟に」

 半次郎は、ポタリと涙する。
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