私鬼戦記 禁断の魔方陣とカエルに変えらし者

京間 みずき

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十一話 青き魔力と紅き魔力

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里中島の山頂付近に設けられた神社の庭先から柚華はシュタァーと、うなりを上げる具現化した青き魔力をコントロールながら目にも止まらないスピードで、山の尾根に、沿うように、下に向かい飛んで行く
 「ヒャッ ホーーーィ」

 まるで木々の隙間をうかの如く、早技で目の前に迫り来る木々の枝を、身体をくねらせ交わし、交わす事の叶わない狭い場所は、大きく飛び交わし、再び具現化した青き魔力に飛び乗る。
 
 「ヒョイーー」と飛んで「ショイ」と乗る
 
 平野部には、黄色く色づく菜の花畑が、眼下に見えた。 柚華は、その菜の花畑のど真ん中の、わずか上を横ぎり、お気に入りのマントをひるがえし颯爽に飛び行く

 シュタァ、タァーー

 その勢いは衰える事無く陸地をこえて、海面ギリギリを滑るかの如く飛び走る。

 勢いそのままにして、江戸の町に上陸した柚華は、火元を探し当てる。

 「あそこだな」
 
 その眼光は、更に鋭さを増して、左手に持つ三本のクナイは、夕陽に照らされ、キラリと光る。

 火元に到着すると、有ろう事か、三羽の吸鬼と、一人の少年が、民家の屋根の上で、クサリガマを自在に操り、必死で戦っている姿が、見て取れた。

 「キャキャ」「キャキャキャキャ」


 「なんて事」「吸鬼が増えてる」


 これは、魔力を秘める誰かが、禁断の魔方陣の生け贄になった事の証だった。

 柚華は、サッとその少年の横に飛び降りると、直ぐにグイと右手を力強く天に向かって突き上げ、具現化された青き魔力を自在に操る、青き魔力は、その形を変え、青龍の如き勢いで、一羽の吸鬼に向かい飛んで行く

 「イケェーーー」  「とらえろ」

 当然事ながら、吸鬼はそれに気付き、黒く大きな翼を器用に使い方い、右に大きく旋回した。




 「・・・とらえた」
 


 青龍の如く天高く突き抜ける、青き魔力は、勢いそのままに、一羽の吸鬼の左翼を焦がし、ボワーーン  その役目を果たした青き魔力は、音をたてる事無く スーーと消え、左翼を失った吸鬼は、コントロールを失い地面に叩きつけられる。

 ドサッ

 耳障りな程うるさく鳴いていた吸鬼達はコクリと息を飲み込み、一瞬にて、この辺りが静寂に包まれる。

 地面に叩き付けられた吸鬼は、もがき苦しみながら、柚華をにらみつける。

 柚華はすかさず、裏刃刀を鞘から抜き、地面に向かい飛び降りグサリと突き刺す。

 「この地に眠る紅き魔力達よ」「この者を安らかに眠らせる為の魔力のみなもとよ」

 「この裏刃刀に憑依しろーー」

 くれないの魔力は封印の魔力


 柚華が手に持つ裏刃刀の剣先が、わずかに紅く色づき、ゆらめき始める。

  「すまないな、今楽にしてあげる」

 彼女は、もがき苦しむ吸鬼に向かいそう言うと、紅き魔力を秘める裏刃刀で、吸鬼の心の臓を貫く
 すると、吸鬼は、黒き灰とになり、封印され、安らかなる眠りに付く


 裏刃刀の本質は、人を傷付ける物ではない、狩猟民族ならではの、物なり・・・
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