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十話 里中島

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 柚華達が足を踏み入れる里中島は、かつて壮絶なる戦いが、繰り広げたとは思えない程、人々は穏やか生活を行なっていた。 

 「お母様、本当に昔ここに、禁断の魔方陣が有ったの?」

 カエルとうかは、コクリとうなずく、だが二日の旅の疲れからか、うなずくだけ、何も語ろうとはしなかった。

 桃花とは対照的に、ユリネは目をギラギラに輝かせ、カエルとうかを頭の上に乗せ田畑の周りを

 「ヌーーン」「ヌーーン」と、訳の分からない言葉を発しながら駆け走る。
 
 里中島では、元忍びの者達が、先陣を切り、荒れた果てた荒野を開拓し、農家を専業と者や、魚を取り取った魚を江戸の町で売りさばき、漁師として今を生き抜く者の姿が見えた。
 
 「どうやらまだ、この地に吸鬼は、来て無見たいね」柚華はそう言うと、少し緊張がほぐれたのか、笑みをこぼす。

 「ヌーーン」「ヌーーン」「あっ綺麗なお水」「お姉たま、カエルちゃん、ここのお水美味しいよ」
 
 「ん、冷たくて美味しいね、ユリネちゃん」


 元忍びの者達は、ここに住む全ての者達に指導し、マサマキ山から、流れる清らな川の水を利用し、生活の基盤となる水路を引き込み、田畑に潤いを与え、食料に困る事無く彼等は生活していた。

 「カエルちゃん」「いつまで泳いでいるの」「お姉たまが、そろそろ行くって」

 「ケェーーケロ」

 彼等は、ひと時のやすらきに似た時間を過ごしながら、マサマキ山の山頂付近に有る飛猿が住む神社を目指し、歩き始める。
 
 「ヌーーン」「ヌーーン」ユリネは、相変わらず、訳の分からない事を発しながら、マサマキ山の山頂付近に有ると言う、神社目指し駆け走る。
 
 木々に覆われる薄暗い一本道を、ただひたすら、山頂に向かって歩いて行くと、突如それは現れる。

 「あっ見えたよ神社」
 

 「・・・凄い」「立派な神社ね」「私もっと、こじんまりとしているかと思っていたよ」

 それは、この島にはもったいないと思える程豪華で、立派な神社だった。
 まだ真新しい匂いが残る境内から神主姿の飛猿が表に出て来る。

 飛猿は、ちょと驚きの表情する物の、何気無く、きさくに二人に話しかける。
 「よっ、久しぶりだな柚華ちゃんと、ユリネちゃん、二人だけでここまで来たのか?」

 ・・・

 「こ、このカエルが、桃花なのか」「嘘だろ柚華ちゃん」

 「ケロ」
 「飛猿、久しぶりだな」

 「か、カエルが喋ったーー」

 目が飛び出す程驚く飛猿をよそに、桃花は、これまでのいきさつとを話し始めた
 その時だった。

 「飛猿様大変だ、助けてくれませんか」「江戸の町が、火の海に包まれる」

 「く、く、黒い羽根を持つ、化物が」

 この言葉に一番最初に反応したのは、柚華だった。

 「! 吸鬼」
 これまで笑顔を見せていた彼女の瞳が、キリリと鋭くなり、ためらう事無く呪文を唱る。

 すると左手から、溢れんばかりの勢いで、青き魔力が溢れ出す、裏刃刀を鞘から抜き、青き魔力を人差し指で、スーーとその刄に写し込む 「頼むよ」

 柚華はそう言うと、湾曲する内側に仕込む刄を、外側に向け、逆手で持ち渾身の力で振り抜き、青き魔力を解き放す。
 
 青き魔力は、シュタァーとうなりを上げて飛びゆく

 柚華は解き放たれた魔力に向かい駆け走りながら、立て続けに呪文を時放つ、「神速のきらめき」  彼女は圧倒的なスピードで時放つ青き魔力に追いつき、ヒョイと飛び乗る。


 「おいおい柚華のやつ行っちまった」「どうでもいいが、解き放つ魔力を具現化し、飛び乗る発想って有りなのか」

 「スゲェな」「流石桃花の娘だ」

 「てか、今吸鬼って言わなかったか、桃花」「どう言う事だ、聞かせてくれ」
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