恋文筆弁士の最後の交換日記

京間 みずき

文字の大きさ
上 下
19 / 36

十八話 嫉妬

しおりを挟む
「ミコトなぜ、ああなる?」
文華の提案で、健一の為に女性様の洋服を買いに行く事になったのだが、、、

 「あらヤツメ様、 女性同士で、手を繋いで歩いている所」
 「見た事無いのですか?」
 
 そう今、文華と健一は、ヤツメのすぐ目の前で、手を繋ぎ、楽しいそうに、話をしながら、洋服店に向かっていた。

 その後ろで、ヤツメは二人の手元をにらみ付け、歩いていた。

 「ハァハァン~」
 「さてはヤツメ様、嫉妬しているのね」「意外と可愛い~」

 ミコトは、浮遊しながら、ヤツメの耳元で、呟き始める。

 「硬い恋のつぼみを、ほぐしてあげるんでしょ」「イライラしないの~」
まるで、嫉妬するヤツメをからかうかの様に

 「俺もまだ、手を握った事無いのに、、、」

 「あら、ヤツメ様意外と奥手だったのね」「そんなじゃ取られちゃいますよ」

 「文華さんをね」「クックック」
 ミコトは、そう言うと、ヤツメの顔をチラ見する。

 この時ヤツメは、不安な顔を出すが、まだ多少の余裕が、ミコトの目には見えた。
 「そんなわけ無いだろ」「健一君は、女性には興味無いと、あの時の瞳に嘘は無い」

 ミコトは、よほどヤツメが、不安な顔を見せるのが楽しいのか、潤いの有るその声で、あおり始める。

 「確かにね~」「あの時は、嘘は付いて無かったよ~」「でもね~人は、弱い者なの」

 「触れたその瞬間に、恋に落ちる」
 「そんな事だって有るのよ」

 「あら、ヤツメ様本気にしました」「冗談ですよ、冗談」「クックック」

ミコトはいつもヤツメそばいて、少し変わったやり方では有るが、恋の助言をする。

 「あの子は、本当にいい子ですよ」「健一君が、乙女心を持っている事に、気づいたその日より」
「文華ちゃんは、健一君の事を、軽べつする事なく、親身になって、相談に乗っていたのですよ」

 「ミコト何故そんな事が解る?」

 「普通好きでも無い男の人と、手を繋ぎますか?」「文華ちゃんは、無言で彼の手を握ったの見てました?」

 「同じだよってね」
 
 「出来無いよ、かんたんには、もし誰かに見られたらって」「考えると出来無い」

 「普通はね」

 「でも彼女は、それが出来るの」「コレはとても素敵な事ですよ」「ヤツメ様には、もったいない位に、、、」

 「彼女を大事しないと、私が許しませんよ」



 「あら」「私が、ベラベラ喋っているうちに、着きましたね」

 「私、人がゴミゴミした所、苦手なので、ここで帰ります」
 「健一君に、つまらない嫉妬しては、いけませんよ」

 ミコトは、そう言うと、早々に姿を消し
そして、文華に嫉妬している、自分がいる事に気付く
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

熱い風の果てへ

朝陽ゆりね
ライト文芸
沙良は母が遺した絵を求めてエジプトにやってきた。 カルナック神殿で一服中に池に落ちてしまう。 必死で泳いで這い上がるが、なんだか周囲の様子がおかしい。 そこで出会った青年は自らの名をラムセスと名乗る。 まさか―― そのまさかは的中する。 ここは第18王朝末期の古代エジプトだった。 ※本作はすでに販売終了した作品を改稿したものです。

お飾りの侯爵夫人

悠木矢彩
恋愛
今宵もあの方は帰ってきてくださらない… フリーアイコン あままつ様のを使用させて頂いています。

将来を誓い合った王子様は聖女と結ばれるそうです

きぬがやあきら
恋愛
「聖女になれなかったなりそこない。こんなところまで追って来るとはな。そんなに俺を忘れられないなら、一度くらい抱いてやろうか?」 5歳のオリヴィエは、神殿で出会ったアルディアの皇太子、ルーカスと恋に落ちた。アルディア王国では、皇太子が代々聖女を妻に迎える慣わしだ。しかし、13歳の選別式を迎えたオリヴィエは、聖女を落選してしまった。 その上盲目の知恵者オルガノに、若くして命を落とすと予言されたオリヴィエは、せめてルーカスの傍にいたいと、ルーカスが団長を務める聖騎士への道へと足を踏み入れる。しかし、やっとの思いで再開したルーカスは、昔の約束を忘れてしまったのではと錯覚するほど冷たい対応で――?

独身寮のふるさとごはん まかないさんの美味しい献立

水縞しま
ライト文芸
旧題:独身寮のまかないさん ~おいしい故郷の味こしらえます~ 第7回ライト文芸大賞【料理・グルメ賞】作品です。 ◇◇◇◇ 飛騨高山に本社を置く株式会社ワカミヤの独身寮『杉野館』。まかない担当として働く有村千影(ありむらちかげ)は、決まった予算の中で献立を考え、食材を調達し、調理してと日々奮闘していた。そんなある日、社員のひとりが失恋して落ち込んでしまう。食欲もないらしい。千影は彼の出身地、富山の郷土料理「ほたるいかの酢味噌和え」をこしらえて励まそうとする。 仕事に追われる社員には、熱々がおいしい「味噌煮込みうどん(愛知)」。 退職しようか思い悩む社員には、じんわりと出汁が沁みる「聖護院かぶと鯛の煮物(京都)」。 他にも飛騨高山の「赤かぶ漬け」「みだらしだんご」、大阪の「モダン焼き」など、故郷の味が盛りだくさん。 おいしい故郷の味に励まされたり、癒されたり、背中を押されたりするお話です。 

マキノのカフェ開業奮闘記 ~Café Le Repos~

Repos
ライト文芸
カフェ開業を夢見たマキノが、田舎の古民家を改装して開業する物語。 おいしいご飯がたくさん出てきます。 いろんな人に出会って、気づきがあったり、迷ったり、泣いたり。 助けられたり、恋をしたり。 愛とやさしさののあふれるお話です。 なろうにも投降中

あなたへの恋心を消し去りました

恋愛
 私には両親に決められた素敵な婚約者がいる。  私は彼のことが大好き。少し顔を見るだけで幸せな気持ちになる。  だけど、彼には私の気持ちが重いみたい。  今、彼には憧れの人がいる。その人は大人びた雰囲気をもつ二つ上の先輩。  彼は心は自由でいたい言っていた。  その女性と話す時、私には見せない楽しそうな笑顔を向ける貴方を見て、胸が張り裂けそうになる。  友人たちは言う。お互いに干渉しない割り切った夫婦のほうが気が楽だって……。  だから私は彼が自由になれるように、魔女にこの激しい気持ちを封印してもらったの。 ※このお話はハッピーエンドではありません。 ※短いお話でサクサクと進めたいと思います。

報酬はその笑顔で

鏡野ゆう
ライト文芸
彼女がその人と初めて会ったのは夏休みのバイト先でのことだった。 自分に正直で真っ直ぐな女子大生さんと、にこにこスマイルのパイロットさんとのお話。 『貴方は翼を失くさない』で榎本さんの部下として登場した飛行教導群のパイロット、但馬一尉のお話です。 ※小説家になろう、カクヨムでも公開中※

あなたの秘密を知ってしまったから私は消えます

おぜいくと
恋愛
「あなたの秘密を知ってしまったから私は消えます。さようなら」 そう書き残してエアリーはいなくなった…… 緑豊かな高原地帯にあるデニスミール王国の王子ロイスは、来月にエアリーと結婚式を挙げる予定だった。エアリーは隣国アーランドの王女で、元々は政略結婚が目的で引き合わされたのだが、誰にでも平等に接するエアリーの姿勢や穢れを知らない澄んだ目に俺は惹かれた。俺はエアリーに素直な気持ちを伝え、王家に代々伝わる指輪を渡した。エアリーはとても喜んでくれた。俺は早めにエアリーを呼び寄せた。デニスミールでの暮らしに慣れてほしかったからだ。初めは人見知りを発揮していたエアリーだったが、次第に打ち解けていった。 そう思っていたのに。 エアリーは突然姿を消した。俺が渡した指輪を置いて…… ※ストーリーは、ロイスとエアリーそれぞれの視点で交互に進みます。

処理中です...